れっつごーぼうけんしゃぎるど(何か忘れてるような気がするんだけど)
あ~やっちまった。幾らなんでも目立ち過ぎたなぁ。確かに人が集まって来たからといって屋根を移動する必要は無かったのに何で俺はあの選択を取ったんだろう?
お陰でアイゼンバッハ卿からお小言を頂戴しちゃったぜ。他の三人は俺の指示に従っただけだと免除してもらったから良かったが失敗は失敗だな。
さてこれからの予定は変更無く冒険者ギルドに行くのだが、それなら教会から手紙を渡して来いとお使いを頼まれた。それもお小言の短縮が報酬と言う事実上のタダ働きだ。この辺がイナバとアイゼンバッハ女史の格の違いなのだろう。
色々な考え事をしている間に二本の剣が交差した看板の冒険者ギルドに到着した。デカいし、プレイヤーがわんさか居る。中に入ってキョロキョロと見渡して空いている受付を探す。
なんだろう、一部の受付に過剰な人数が並んでいる。それも男のプレイヤーが大半だ。女性のプレイヤーも順番が回ってくるのが近付くにつれてキャアキャア言っている。
あぁ、美人受付嬢が居るのか。チラッとそちら見ると笑顔の仮面を着けた美人が実に巧くあしらっている。アレ?あの人、何処かで見たような気が……あっ、目が合った。その一番多くのプレイヤーが並んでいる美人受付嬢がこちらに気付いてニコリと笑いかけられて背筋がゾクリと冷える。
何故?どうして?何を怒ってるの?俺、何か悪い事をしたっけ?そもそも彼女に会った事があったっけ?まあ良い、先ずは受付で手紙を渡して登録を済ませてしまおう。
一番並んでいるプレイヤーの少ない列の後ろに並び順番を待つ。
「お待たせ致しました。この度は冒険者ギルドにどのような御用でしょうか?」
順番が回ってきて中々に可愛らしい受付嬢が用件を聞いてくる。
「教会のロレーナ=アイゼンバッハ伯爵より冒険者ギルドにお手紙を預かってきています」
「この蝋印は教会の物ですね。分かりました。ではギルドマスターを呼んできますね」
「いや、手紙を渡してくれるだけで結構です。後はギルドの登録したいのですが?」
「では私は此方の手紙をギルドマスターに渡して参ります。お待ち頂けるのであればこの受付でお受け致しますが宜しいでしょうか?」
「じゃあ待ってます」
そう言うと受付嬢が奥へと消える。登録までの時間、気になっていた例の美人さんの事を思い出してみる。…………うぅっ、そこまで出かかっているんだが、出てこない。どうも嫌な記憶がセットになっているらしく記憶の狭間から出てくるのを拒否してるらしい。
「お待たせ致しましたケイ様」
先程の受付嬢の声と違ったので顔を上げて見ると目の前には件の美人さん。
「私の事、覚えていますか?」
「ええっと……あ〜貴女のような美人と会ったことはあったかな?」
一瞬、表情が柔らかになって直ぐに柳眉を逆立てる。
「まさかお忘れになっていたなんて。私、ポプラが…「あぁ!この世界に来て一番初め会った受付さん!」……思い出して頂けたようですね。どうして直ぐに来て下さらなかったんですか?私、ずっと待っていたんですよ?」
うわっ、涙まで浮かべてる。絶対に嘘泣きだけど周りの視線がヤヴァイ。というか、なんでこの人はさっきまでいた受付を離れてこっちに来たんだよ。




