(12)こんな魚を食べてみた ボラ
今回は、一般には、評価が低いとされているボラの話です。
今回は、ボラの話です。
ボラという名前を聞いて「えーっ、ボラを食べるの?」
と、言う方は多いと思います。
ボラと言うと、カラスミを取る魚、または臭い魚というイメージでしょうか。
実は、匂いのするボラとは、沿岸部や河口の汚染のひどい場所で採れるボラに限っての話で、沖合いや外海、綺麗な河口で採れるボラは臭くは無いのです。
そもそもボラは、海底の有機物を砂ごと飲み込んだり、岩に付いた藻を食べる習性があるので、河口付近の汚れのひどい場所にいるボラはヘドロでどうしても臭くなってしまうのです。
逆に綺麗な海に住むボラは、腹を切っても、砂が多く出るだけで、臭くはありません。
でも、出てくる砂の量には、驚きます。
ボラは、地元のスーパーマーケットで、切り身(刺身用)で売られる事が、たまにありますが、一匹物で見ることは、なかなかありません。
その為、一匹物を手に入れるには、漁師に頼むか、自分で釣るかになります。
さて、一匹物のボラが手に入ったら、早速さばく事になるのですが、ウロコの凄さにまず、びっくりすると思います。
ボラのウロコは、硬く大きいので、ウロコ落としは大変なのです。
辺りにウロコを飛び散らせながら、ウロコ落としが終わったら、今度は腹を切りますが、内臓と一緒に出てくる砂の多さに、またびっくりです。
砂にびっくりした次は、内臓の中に、おかしな物が混ざっている事に気付いて、またびっくりすると思います。
一見すると、そろばん玉を大きくした様に見える、その物体を見て、貴方は、
「何ですか?これは」
と、思う事でしょう。
不思議に思う、その物体は、ボラの胃袋です。
通称は、「ボラのへそ」と呼ばれています。
この胃袋は、ほとんど筋肉の様な感じで、食べ方としては、焼いて食べる事が多いです。
食べてみると、食感は、砂肝に似ています。
さて、肝心の身の方ですが、せっかく鮮度の良いボラが手に入ったので、刺身にしてみましょう。
まず、三枚におろし、皮をひきます。
皮側の身は、綺麗な赤色をしています。
身自体は、綺麗な白身です。
では、お造りにして、食べてみましょう。
身は、なかなか、しっかりとした食感です。
さすが、ロッドをへし折るだけのパワーがある魚です。
いい筋肉してます。
また、脂がいい感じでのっています。
冬は、ボラの旬で、脂ののりがハンパでは、ないのです。
やっぱり、ボラは、冬が一番です。
こんなに良い食感と脂を持つ魚は、なかなかいないと思います。
個人的には、タチウオ、マサバ、ブリに次いで、好きな刺身のランキング第四位に認定したいと思います。
皆さんも、ボラを店先で見かけたら、ぜひご賞味あれ。
その、美味しさに絶対、評価が変わると思いますよ。
では、ごちそう様でした。
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。ボラは、昔は養殖もされていた事があるらしく、江戸時代の伊勢地方では、殿様への献上品だったそうです。人気の高い魚だったのですね。体長が1m近い老成魚のボラは、トドと呼ばれますが、ことわざの「トドのつまり」の語源になっています。小学館の魚介の図鑑によれば、トドクラスのボラは脂ののりすぎにより、食べると、腹を下す事もあるそうです。




