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本物の公爵令嬢  作者: Na20


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「こ、皇帝陛下にご挨拶申し上げます」



 まさか皇帝から声を掛けられるとは。急ぎ礼をする。



「ははは!そんなにかしこまらないでくれ」


「は、はい」


「ふむ……銀髪に新緑の瞳、それに顔も公爵夫人とよく似ている」



 皇帝は何かを呟きながら、これでもかというくらい私を見ているが、この状況はどうすればいいのか。

 黙っていればいいのか、何か言った方がいいのか……



「父上、彼女が困っているのでやめてください」



 そう言ってハルが私と皇帝の間に割って立つ。

 どうすればいいのか分からず困っていたので、正直ホッとしたのは秘密だ。



「おっと、すまない。うら若きお嬢さんに失礼だったな」


「い、いえ……」


「レイ、この人のことは気にしなくても大丈夫だよ」


「え、でも」



 皇帝相手に気にしないなんて無理に決まっている。



「こらこら。お前は何を言っているんだ」



 ただこんな風に軽口を言い合える関係であるのは羨ましい。

 そんなことを思っていると、皇帝が自身の後ろに立つ人物に声をかけた。



「ほらニールもこっちへこい」


「……はっ」



 皇帝の姿に重なっていたためその姿が見えなかったが、ニールと呼ばれた男性が一歩前へと出てくる。



「……」



 銀髪の男性は私を無言で見つめた。

 その新緑の瞳は、涙で潤んでいるように見える。

 そして少しずつ近づいてくると、私の目の前で膝をついた。



「あの……」



 思わず声を掛けてしまった。

 どこか具合でも悪いのか。

 初めて会ったはずなのに、どうしてだかこの男性のことが心配で仕方がない。



「……顔を」


「?」



 男性が何かを呟いた。ただその声は小さくなんと言ったのかは分からない。

 けれど次に発せられた言葉は、しっかりと私の耳に届いた。



「顔をよく見せて、くれないだろうか?」


「っ、は、はい……」



 拒否することも当然できた。

 しかし私の中の何かが、それを望んでいなかった。

 私は肯定の言葉を口にし、首を縦に振る。

 すると男性の手が、壊れ物を触るかのように私の頬に触れた。



「ああ……本当にイリスにそっくりだ。目も、鼻も、口も……そして私と同じ色の髪と瞳……間違いようがない。この子は私とイリスの娘だ……!よかった、本当によかった……」



 そう言って目の前の男性は涙を流しながら、私の手を強く握りしめた。

 痛くはない。むしろ心地よいくらいだ。



「やはりか」


「ええ、ええ。間違いありません。引き離されたあの日からずっと、この日が来るのを待ちわびていました……!」



 彼らの会話から、私はこの男性の娘なのだろう。

 けれど突然の出来事で、まだ頭の中で整理がつかず、どう反応すればいいのか分からない。



「ハル……」



 私はハルに助けを求めた。



「ニール殿。こうして再会できたのは喜ばしいが、彼女が戸惑っている。少し落ち着いてくれ」


「っ、す、すまない!」



 そう言って握っていた手を離してくれたが、手を離されてホッとしたような寂しいような、なんともいえない気持ちになった。



「では早くこの茶番を終わらせ、皆で国へ帰るとしようか」


「はい」

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