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今日の昼休みは、図書室へとやって来た。
「思っていたよりもずいぶん広いね」
本当は一人で来るつもりだったが、テオハルト様も一緒だ。
昼食を早めに終わらせてから図書室へ来たが、今日も私たち以外誰もいない。
もしかしたら図書室は、あまり人気のある場所じゃないのかもしれない。
まだ二回しか来たことがないから、実際のところは分からないけれど。
でも誰からの視線も気にする必要がないのはありがたい。
本棚を確認しながら、図書室への奥へと進んでいく。
「何の本を探しているんだい?」
「あ……」
私が探しているのは、前回来たときに読んだあの本。
やはりどうしてもあの本に書かれていた『祝福の一族』が気になり、こうして調べに来たのだ。
「えっと……ランカ帝国の歴史書を探しているんです。たしかこの辺りで見かけたはずなんですが……」
テオハルト様に、ランカ帝国について調べているのを知られるのはなんだか恥ずかしい。
けれどこうして一緒にいる以上誤魔化すわけにもいかないので、正直に話した。
「ミレイア嬢は帝国に興味が?」
「……そう、ですね。いつか行ってみたいなとは思っています」
嘘ではない。
ただ現実はそれが無理だということを、痛いほど理解しているだけ。
「ミレイア嬢なら大歓迎だよ。その時はぜひ私に帝国を案内させてくれ。ミレイア嬢に見せたい場所がたくさんあるんだ」
「……ありがとうございます」
叶うことはないと分かっている。
それでもテオハルト様の言葉に、私は純粋に嬉しくなった。
「あ、もしかしてこの本かな?」
それから少しして、あの本が見つかった。
テオハルト様から本を受け取る。
【ランカ帝国の歴史】……間違いない。
「はい、この本です」
「見つかってよかった」
テオハルト様のおかげで、早く見つけることができた。
図書室に置かれた時計を見る。今からならまだ読めるだろう。
図書室には至るところに椅子やソファが置かれている。
様々な色や形。ここが家なら統一感がなく、まとまりのない部屋に感じるだろう。
しかしここだと馴染んで見えるから不思議だ。
「ここに座ろうか」
「はい」
丸いテーブルに、向かい合わせに置かれた二つのソファ。
私たちはそこに座った。
「何か調べたいことがあるんだろう?私のことは気にせずに読んでくれ」
やはりテオハルト様は何でもお見通しだ。
正直に言えばテオハルト様が目の前にいるのは気になる。けれどそれ以上にとても心強く安心できる。
「お気遣いありがとうございます。それではお言葉に甘えさせていただきますね」
「ああ。もし聞きたいことがあれば遠慮なく聞いてくれ」
「……はい、ありがとうございます」
お礼を伝え、本を開く。
この間は時間が足りなく目を通せなかった、後半部分を重点的に読み進めていった。




