ep1 3宇宙編 03
進行方向よりの高速接近する巨大な機影があります。
機体を制御するDOLAが警告を発する。
「あたしのIDを提示して救難信号出しておいて。」
美月が口頭で指示を出す。
「承知しました。」
「アンノウン機体から応答がありました。船籍判明。フーリア所属のキュアストルデイルです。
「やった!」
「大当たり!」
美月とミィはハイタッチを交わして喜びあう。
「キュアストルデイルは当機の保護を提案してきました。」
「いいんじゃない」
美月が投げやりに返事をする。ー
「承知しました」
)
「AI誘導で16番ゲートに案内されるようです」
「それはAI同士仲良くやってよ」
美月は丸投げする事にした。
丸い巨大な光の塊が近付いてくる。
「なによ、あれは」
「問い合わせに返答がありました。」
DOLAが答える。
「デブリ対策のバリアがあるそうです。
不用意な接触を避けるために警告として光っているようです」
「ゲートへのナビゲーションビーコンを受信しました。」
「地球のお方!何かお困りの事はありませんかな?」
青髪の老紳士がホログラムで現れて問いかけてくる。
「問題無いわ。広い宇宙で見付けてくれてありがとう
」
「いやいや、たいした事ではございませんよ」
「王室のイヤリングのお導きです」
「王室の?」
「はい。身に付けてにいらっしゃらないので、お聞きしたところ、ご友情の証に差し上げたと」
老紳士が美月の耳をまじまじ見つめながら話を続ける。
友情の証と言う話には心当たりがあったので顔を青くする。
「やっぱり高かったじゃない!」
「メリルはそんな物どうやって手に入れたのよ」
しかも勝手にあげちゃうなんて何を考えているんだか!
「美月さまのおいかりおごもっともですが、それは良いのです」
老紳士は諦めたような口調できっぱりと言った。
「さあさ。ドッキング完了です。ようこそ、キュアストルデイルへ。歓迎いたしますぞ。申し遅れました。
わたくし、姫様の教育係を拝命しております。気軽にじいやとお呼びください」
「はい、これはどうも。ごていねいに」
「船の受け入れのために一次的にバリアを解除します」
爺やさんがそう言うと目の前の巨大な光が消えて真紅の本体が姿を現した楕円型の本体の奥には無数の脚が触手のように広がってうねうねと動いている。
「エチゼンクラゲだあ!」
ミィが指さして絶叫した。
たしかにその姿は紅い金属のクラゲそのものだった。しかも硬質な本体に似合わず触手は生きているみたいに滑らかに動くのだ
「以前、大量発生してマジ大変だったんだよ」
ミィが震えた声を絞り出す。よほど苦労をしたのだろうのだろう。
「お前のせいでお魚が取れなかったんだったんだぞーー」
ぞの時ばかりはいつも捕った魚を分けてくれる漁師さんも素通りだった。
当時の悲しさと悔しさが蘇る。
「あのクラゲを仕留める方法はない?」
ミィがとんでもないことを言い出した。
「馬鹿なこといわないの!あの中にはメリルアランも、地球の要人もみんないるのよ?」
。「三角形もな。フヒヒ」
「お答えします。当機のイオンブースターを点火状態でぶつけてやれば少しは堪えるかと。」
「辞めてくだされ、オーバーキルですぞ」
じいやさんの慌てぶりを見るに、マジヤバらしい。
「それじゃあ景気よく」
「やめい!」
ミィの暴走を既の所で美月がチョップで止める。
「あ~う~」
「冗談はさて置いて、キュアストルデイルに参りませんか」
「そうだな、行ってやらんこともない」
爺やさんの招待にミィが大仰に応える。
「さあ、こちらに」
案内されるままに機体の外に出ると小型のシャトルがまちかまえていた。それに乗り込むと自動的に動き出す。
「待機室までご案内します」
シャトルはガレージのような空間を抜けてホテルの廊下のような空間を進んで行く。そして最後には豪華な内装の部屋に案内されて降ろされた。
するとフーリヤ女声が籠いっぱいの果物を持っ入ってきた。
「うひょー、これ食べていいの?いいんだな!うまーい!」
ミィはご機嫌でよくわからない果物を頬張る。
続いてこれまたフーリアの女性が三人入ってくる。手には何やら
布を持っている。そして、美月を見付けて恭しく礼をする。
「美月様ですね。お召し物のご用意をしましょう」
そう言ってテキパキと美月の着替えを始める。
「どうですか?大変にお似合いですよ」
そう褒めてくれる。
それは宇宙のように深い闇色のドレスだった。胸元の大きく開いたパーティードレス。所々にキラキラお光る宝飾が縫い付けられている。まるで闇夜に光る星星のように煌やいている。センスの良い服である
「キャー、とんでもない服着ちゃったーー!」
内心大騒ぎなのだが表面だけは取り繕って冷静を演じている。
「それでは会場に向かいましょうか」
爺やさんの案内で小型機に乗せられて
綺麗な廊下を進んでいく。どこをどう通ったのかはもはや分からないが巨大なホールに到着した。
円形の空間で、ー天井も巨大なドーム状になっている。プラネタリウムのような作りと言えば判りやすいだろうか。
所々に温かな色味のろうそくのような光りが灯されて幻想的な雰囲気だ。
美月が感心していると明かりが一斉に消えた。辺りが暗闇に包まれる。いや、補助程度の白い明かりわずかに場内をてらしている。
次の瞬間、ドーム天井と壁一面360度に宇宙空間が映し出される。天井の頂点が
進行方向なのだろう。蒼く美しい光がみるみるうちに大きくなってくる。あれは地球だ。
そう気がついた時には、陸地も雲も詳細に見分けられる距離に近づいていた。
会場が感嘆の声に包まれる。
オービタル・スペースポート・ハブよりは遠いが、これ程の大写しで見る機会などそうはないだろう。
本来、大型船舶は安全の為、国際銀河空港より地球へ近づいてはいけない決まりになっているのだが、今回は特別に許可されたらしい。地球の姿を眺めながらのセレモニーはさぞかし素晴らしいものだろう。
セレモニーは、厳かに幕を開けた。それは、地球と銀河連盟。そして、この「地球に縁のある惑星フーリアとの親睦を願ったものであり、ついでに、フーリア皇女の結婚披露宴でもあった。
「え?結婚披露宴??」
美月は不意に聞こえた単語に不穏なものを感じて警戒する。
円会場の中央部分はドーナツ状の吹き抜けになっていて大きな穴があいているのだが、その穴の中央部分にゴンドラのように円形ステージがせり上がってきた。ステージの上には見覚えのある二人組がおめかしをして立っている。
壇上で着飾ったメリルとがアランがにこやかに手を振っていた。
美月ミィの驚きの声が場内に響く。
「あのバカップルが皇女
だとぉっ!?」
「公私混同だとぉっ!?」
ミィと美月は口々に驚きの声を漏らすのだった。
美月とミィの叫び声に会場が騒然となる。しかし、その声でアランとメリルは美月たちの存在に気がついたようだ。
「美月さん」
「ミィさん」
「「来てくれたんですね」」
観衆の中から二人を見つけたバカップルが喜びの声を上げる。「邦堂さんに、宇宙酔いで体調を崩したため来れないって聞いて心配しましたよ」
そう、嬉しそうにブンブン手を振ってみせる。「そう、その邦堂さんが……!」
そんな、セレモニーのざわめき。
ーー本来、静寂であるべきだが、二人の叫び声のせいだーー。
を破ったのは爆発騒ぎだった。
美月の位置から見て正面の壁が爆破されて崩れている。
爆破で打ち破られたおくから無数の機械兵たちが入ってくる。
地上で襲ってきた物と同一の機械兵こと、ゼリー人間だ。
と同時に警報が鳴り響き、周囲にいたフーリア人が。武装した衛兵スタイルに変化する。槍の様な棒の先端に光る槍先が付いた物を右手に構えて左手には大きな光る透明な盾のようなものを構えている。
衛兵だろうか、そんな光景が各地で展開されている。
物凄い数の衛兵が睨みを利かせる中、壇上のバカップルの影から邦堂が、突如ニョキッと姿をあらわすやいなや、バカップル二人を人質として拘束した。
「メリルさん。少々、やり過ぎましたね
宰相さんがご立腹ですよ。」
法堂が皆に聞こえるようにメリルに耳打ちする。
「ええ、文句を言っていましたわね」
「まさか命を狙って来るほどとは」
崩れた壁の奥から4体の機械兵に囲まれた恰幅の良い男が姿を現す。
「何がまさか!だ。前々から警告していたではないか。我が息子との婚約を突然不意にして、そのような男と結婚などとはどういう了見だ。
姫様、あなたの御心が全く読めないと息子が伏せってしまいましたぞ。
「宰相?それはそちらに問題があるのではなくて?」
「アランとはこんなにも通じあっていますのに」
「「ねー」」
でた、見つめ合って手を合わせるポーズ。
観衆から歓声の声が上がる。バカップルを見せられ何がそんなに楽しいのよ」イライラマックスな美月の思いとは裏腹にますますの盛り上がりを見せる。
「きゃあー、かわいい!」
そんな黄色い声も聞こえる。
これがグローバルの反応か。美月は諦めに似た気持ちで外野の声をシャットアウトする。
少しだけ宰相に同情してしまう。
とは言え、このクーデター騒ぎはやり過ぎだ。宰相を名乗るこのブクブク太った男に憤りをおぼえる。
「あんにゃろぉー、アランをコケにしやがってー」
ミィもミィで怒り心頭の様子で、奇しくも2人の気持ちは揃ってしまったのだった。




