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Ishikawa Family国際結婚物語 加筆修正版  作者: 石川パパン


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ベトナムのお葬式には泥棒が来る!? 彼女の祖父の突然の別れから学んだ文化の違いと、天国の祖父へ誓った私の決意

「わたしたちの家族は、みんなすごく仲良しこよしだよ」


ベトナムに住むトゥイは、いつも嬉しそうにそう話していた。


ベトナムという国は日本以上に家族の絆が深く、身内を何よりも大切にする。当時のトゥイは地方都市の大きな家で、母親、叔父の家族、そしておじいちゃん、おばあちゃんと一緒に暮らしていた。


Skypeで通話をつなぐと、背景からはのどかなニワトリの鳴き声や、小さな子供たちが走り回る声がいつも聞こえてきた。その賑やかな生活音が、私にはとても心地よかった。


何でもオープンに話してくれるトゥイが、ある日、珍しく沈んだ声で言った。


「おじいちゃんの体調が悪くて入院しているの。とても心配」


その言葉に、私は胸が締め付けられた。実はその前年、私自身もおじいさんを亡くしたばかりだったのだ。病院へ駆けつけた時にはすでに冷たくなっていた、あの時の悲しみが鮮明に蘇る。


「そっか。でも、早く退院できるといいね」

「うん、たぶんもうすぐ退院できると思う」

「よかった。安心したよ」


そんな会話をしてホッとしていた数日後、事態は急変した。



「大変!」

「どうしたの!?」

「おじいちゃんが、亡くなってしまったよ。悲しいよ。辛いよ」


退院目前と思われていた矢先の、あまりにも急な別れだった。画面越しの彼女の悲痛な声に、私は懸命に言葉を探した。


「私のおじいちゃんも去年亡くなったから、トゥイの気持ち、すごくよく分かるよ。悲しいよね」

「うん。これからおじいちゃんのお葬式とか、いろいろあって忙しくなる」

「分かった。無理しないでね。余裕ができた時でいいから、また連絡ちょうだい。ずっと待ってるから」


ベトナムのお葬式について全く知らなかった私は、ネットで現地の事情を調べてみた。すると、三日三晩かけて盛大に行うこと、そしてお寺で故人が天国へ行けるよう手厚く祈ることなどが書かれていた。


しかし同時に、衝撃的な事実も目にした。


あるブログには「お葬式には誰でも自由に出入りできるため、見知らぬ泥棒が紛れ込むことがある。日本人=お金持ちが親族にいると知られると狙われやすいため、安全を考慮して日本人妻だけ一時帰国させた」というエピソードが綴られていたのだ。


これにはハッとさせられた。親日国とはいえ、ここは日本ではないのだ。


日本のように、ズボンの後ろポケットに財布を突っ込んで歩けるような国ばかりではない。「自分だけは大丈夫だろう」と安易な気持ちで海外へ行き、痛い目を見る日本人は後を絶たない。


今後、私がトゥイの家族と関わっていくなら、「ここは日本とは違う」という危機管理をしっかりと持ち、私が彼女たちを守れるようにならなければいけない。ただ悲しむだけでなく、そんな覚悟のようなものが芽生えた瞬間でもあった。


その後、トゥイは頻繁にお寺へ通うようになった。足の悪いおばあさんを自分のバイクに乗せ、送り迎えをしているのだという。


「おじいさんが天国に行けるように、お寺でたくさんお祈りしてるの」


その健気な姿に、私はまた一人、空を見上げた。


去年亡くなった私のおじいさんも、きっと今頃、天国から私のことを見守ってくれているはずだ。できれば、私がトゥイと出会い、結婚して幸せになった姿を直接見てもらいたかったなと思う。


おじいさん。


私はこれから、遠い国で育ったこの心優しい女性と、一緒に生きていきます。


絶対に幸せになります。


どうか天国から、私たちのことを温かく見守っていてくださいね。

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