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ー王宮ー


「クリスティナ嬢、久しいね。」

「ジェイス殿下にご挨拶申し上げます。ご機嫌麗しゅう。」

「ティナ、今日はごめんなさい。」

「いいえ、アンヌ様。ご事情はフレデリック様からうかがっておりますから。」

「クリスティナ嬢、これが話していた本だ。」

「まあ、ありがとう存じます。」

「マリーアンヌたっての希望でもあるからね。」

「えっ?」

「ふふ。ティナはね毎日大変だから本を読むのに没頭してストレス発散してもらえたら、私も嬉しいもの!」

「そういうことだから、気にしないでくれ。君の大変さはマリーアンヌから聞いているしね。

さて、今日は王妃陛下と三人でお茶をするということだからフレッド、久しぶりに剣を交えよう。」

「では準備に参りましょう。クリスティナ嬢、また。」


フレッドとジェイスは去っていき、ティナとアンヌは王妃の私室へ向かった。


「クリスティナちゃん、久しぶりね。」

「王妃様、ご機嫌麗しゅう。」

「さっ、座って。」

「はい、失礼します。」


王妃の私室で三人でお茶を始める。話題は来週に迫っているアンヌの誕生パーティについてだ。


「それで、ティナ、アロイスはまたなの?」

「はい…」

「あの子は何を考えているのかしら…」


ティナはパーティのエスコートをアロイスから断られたことについて話した。


「お母様、アロイスは何も考えていませんわ…」

「王妃様、アロイス様は元々『ああ』なのですわ…」

「そうだったわね…では、クリスティナちゃんは誰にエスコートしてもらうの?」

「お兄様に頼むつもりですわ。」

「あら、それだったら、フレッドに頼めばいいじゃない?」

「そうよ!フレッドお兄様にエスコートしてもらえばいいのよ!」

「そ、そんなことできる訳…」

「「私達が言えば大丈夫よ!」」



「クリスティナ嬢のエスコート?勿論だよ!」


剣の稽古をしているフレッドとジェイスの元へやってきたティナとアンヌ。

アンヌが開口一番、フレッドにエスコートの話をしたら勿論と返事が返ってきた。


「フレデリック様、宜しいのですか?」

「勿論。君をエスコートできるなんて光栄だよ?」

「はう…あ、あの宜しくお願いいたします。」

「ああ。」


ティナとフレッドが仲良くしているのをニヤニヤしながらアンヌとジェイスが見ている。


「マリーアンヌ、あのふたり()()なんだよね?」

「ええ…まだティナには婚約者がおりますから…」

「傍から見たらどう考えても好き同士だよね?」

「ええ…。」

「まあ、俺たちは見守るしかないのかな?」

「そうですね…。私が結婚するまでにはせめて婚約者同士になってくれるといいのですが…」

「アロイスは最近どうなんだい?」

「とある男爵令嬢にうつつを抜かしておりますわ。

ですから、私のパーティの際のエスコートをお兄様に頼みにきたのです。」

「なるほどね。当日、その男爵令嬢見られるかな?」

「ええ、同じ学年の子女とその両親には招待状を送っておりますから。」

「楽しみにしておこう。」

「悪い考えはお止めくださいね?」


何かを企んでいそうな表情のジェイスはアンヌの肩を抱いて、ティナとフレッドの元へ行き四人で会話を楽しんだ。


ー·ー·ー·ー·ー·ー·ー


近頃、貴族令嬢の間では似たような会話がされていた。


「本日もクリスティナ様はお美しいわ…。

もちろん、ご一緒されておられるマリーアンヌ殿下もお美しい…。目の保養ですわね。」

「ええ。おふたりとも気取らないし、私達のような下位貴族にも分け隔てなく接してくださるものね。」

「本当ね。でも、どうして美しい女神のようなクリスティナ様が()()リストス公爵子息の婚約者様なのかしら…」

「そういえば、リストス様は、先日の伯爵家のお茶会でクリスティナ様以外の御令嬢をエスコートしていたわ…」

「私も先日、リストス公爵家の馬車にクリスティナ様以外の御令嬢が乗っているのを見たわ…」

「その御令嬢って、セシリア·パーマー男爵令嬢ではなくて?」

「確かそうでしたわ!こんなことを言ってはあれですが、クリスティナ様とパーマー男爵令嬢を比べると…

勿論、比べることは烏滸がましいけれど…。ねえ?」

「「雲泥の差ですわ!」」

「しかも伺った話ですけれど、リストス様はクリスティナ様がお茶に誘ったときは当日になって欠席するって噂よ…?」

「まあ!どうして、そんなことができるのかしら?」

「本当にねえ…今度のマリーアンヌ殿下の誕生パーティも男爵令嬢をエスコートされたら、私、怒りで震えて何か起こしてしまいそうですわ!」

「私もよ!ですが、クリスティナ様の()は男爵令嬢だけでなくリストス様の姉君もですわよね…?」

「弟好きは有名ですものね…」

「いくら姉といえどもクリスティナ様を無視して弟とくっついているなんて…」

「本当よね…サージス侯爵家が怖くないのかしら?」

「クリスティナ様のご実家であるサージス侯爵家を敵に回す家は何処にもありませんのに…」


アロイスは学園ではセシリアと過ごし、公爵家ではティナを無視して姉にべったりしているというのが貴族子女の界隈では有名になっているのだった。


ーパーティ当日ー


「クリスティナ、準備はできたかい?」

「はい、お兄様。」


久しぶりに家族揃って馬車に乗り込む。


「お兄様、あちらの学院はいかがですか?」

「うん、充実しているよ。クリスティナはどう?」

「はい、私も充実しておりますわ。マリーアンヌ様にもとてもよくしてもらってますし。」

「フレッドは?」

「フレデリック様ですか?適度な距離で仲良くさせていただいていると思いますが?」

「そうか、()()なんだな…。」

「お兄様?」

「何でもないよ。今日はジェイス殿下も参加されるのだろう?」

「ええ、先週到着されておりましたわ。」

「それより、今更だけどフレッドがエスコートするんだよね?」

「はい。」


ティナはどうしてそんなことを訊くのかわからないけど、兄なりに心配してくれているのだろう。と思った。

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