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運転している者は、社長だった。
社長といえば聞こえはいいが、
隣の助手席にいる者と事務所で待機している2名だけが部下だ。
様々なリースを生業としている会社だった。
助手席の部下の携帯が数分前に鳴り、電話に出た部下が社長に言った。
「あのイベント用の一式、いつでも良いので取りにきてください、とのことです」
夕方だったが、その日、隣にいる部下とイイ案配で仕事をこなしていた社長は、
「ちょっと夜になっちまうが、今日中に、回収しちまうか!」と、車を走らせていた。
その意向に、部下は、「はい!」と威勢よく返事もしてくれ、都内のオフィスビルにある、立体駐車場に入ると下の方は埋まっており、上へ上へとグルグル回り、やっと二人を乗せたバンは駐車した。