推しカプの為なら悪役令嬢にだってなります
ヴァネッサ・マンダレイ。
父に蜂蜜のように甘く育てられ、母にお人形のように愛され、兄二人に蝶々のように大事にされた侯爵家のご令嬢。
麗しい眼差しは蜂蜜色。
麗しい御髪は夜の帳のような深い藤色。
すっと通った鼻筋に、優しく微笑む形の良い唇。頬はうっすらと薔薇色に染まっている。まつ毛は瞳を伏せれば影を落とすほど美しい。
少女人形のような体躯は、触ると手折れてしまうほど細く儚い。白魚のような手は、手荒れなど知らないかのようにしっとりときめ細かい。
誰もが羨むような可憐で麗しいお嬢様。
そんなわたくしが、否、あたしが前世の推しカプ(大好きなカップリング)と今世でも出会ってしまった。
これは運命?それとも宿命?
あたしの推しカプの、あの伝説の名エンデング『999本の薔薇、結婚式エンド』を間近で見る。その為やったら婚約者破棄も意地悪もお邪魔虫もやったらァ!
あの手この手でフラグ立てたるわ!
覚悟しときィや、ヒロイン!
※この小説は、一部残酷な描写が含まれる可能性があります。