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神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第一章《TS転生しちゃいました!》

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第41話《来訪》

 翌朝。

 王都の空は澄み渡り、屋敷の庭に差す光が磨かれた石畳を照らしていた。

 昨夜の出来事等、まるで夢だったかのように静かだった。


 だが、屋敷の門前には見慣れぬ影があった。

 王立学術院の紋章を刻んだ馬車。

 黒衣ではなく、淡い灰の外套を羽織った初老の男が、微笑みを浮かべて立っている。


「おやおや、朝早くから恐縮ですが……」


 フェルネ。

 宮廷顧問にして学術院の学者。

 その穏やかな声は、春風のように柔らかく、しかしどこか計算された響きを持っていた。


 応対に出たセバスチャンが一礼する。


「ようこそお越し下さいました。どのような御用件で?」


「王命ではございませんよ。個人的な興味でしてね。――あの子、奇跡を起こしたと伺いました」


 セバスチャンの表情は変わらない。

 だが、その瞳の奥に一瞬、冷たい光が走った。


「ナユ様はまだ幼くございます。王の御病を癒したのは偶然かと。お見せできるようなものは何も」


「ほう……偶然、ですか」


 フェルネは小さく笑い、杖の先で敷石を軽く叩いた。

 鈍い音が響く。

 まるで測るように、彼は空気の“揺らぎ”を感じ取っているようだった。


「――良い空気です。この屋敷には、王都では珍しい“穢れ”の少なさを感じます。あの子の存在が……そうさせているのかもしれませんね」


「学者殿は、何をお確かめになりたいのですか」


「ただ観察を。研究の一環です。もちろん、害するつもりはありませんとも」


 そう言って笑うフェルネの瞳は、どこか底知れない。

 表情こそ温和だが、目の奥には確かな探求の炎があった。


 


 その時――

 廊下の奥から、母がナユを抱いて現れた。


「まあ、来客?朝早くから……」


 フェルネは軽く頭を下げ、柔らかく微笑む。


「これはこれは。あの“奇跡の子”を拝見できるとは」


 母は少し戸惑いながらも、抱く腕に力を込めた。


「ナユはまだ赤ん坊です。どうか驚かせないでくださいね」


「ええ、もちろん。私はただ、祝福を伝えに来たのです」


 フェルネは一歩近づき、そっとナユの小さな手を取った。

 その指先が一瞬、微かに光を帯びる。

 見逃すような一瞬――だが、セバスチャンの視線が鋭く動いた。


「……何をなさいました?」


「おや? ただの“挨拶”ですよ。学者式のご挨拶、というやつです」


 フェルネは軽く笑い、何事もなかったかのように背を向けた。


「また伺いますよ。観察は、日を改めて……」


 去っていく背中を見送りながら、セバスチャンは微かに眉をひそめる。


 ナユの手に、わずかに“魔力の痕”が残っていた。


 


「……妙ですな。まるで“識別”の印のような……」


 その声を、ナユは静かに聞いていた。

 母の腕の中で、目をぱちくりと瞬かせながら。


 ――あの人、絶対ただの学者じゃないな。

 雰囲気が、理系オタクというより……なんかスパイ寄り。


 ナユの胸に、微かな警戒の火が灯った。


 


「今日の記録:フェルネ来訪。王都の学者らしいが、あの眼は“観察者”のそれ。俺の手に魔力の痕。セバスチャンも警戒中……日報完了。」

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