表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第六章《迷宮都市ナユタ編》

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

303/323

第299話《搬送》

 崩れた天井の向こうへ、闇は逃げていった。

 瓦礫がまだ小さく落ち続け、最深部に鈍い音が響く。


 ナユはしばらく上を見ていたが、すぐに視線を戻した。


「追うのは後なのです」


 短く言う。


 振り返ると、リカリーネが立っているのもやっとの状態だった。

 仲間達は倒れたまま動けない。


 ナユは静かに息を吐く。


「まずは全員の安全確保なのです」


 ヴァイスが頷く。


「正しい判断だ。地上の本体は逃げん」


『現在位置から冒険者ギルドのシェルターまで、最短搬送ルートを提示します』


 ミラの声が続く。


『負傷者四名。自力歩行困難。即時搬送推奨』


 ナユは小さく頷いた。


「分かったのです」


 軽く手を前へ出す。


「来るのです――ハク、クロ」


 空間が揺れる。


 白い光と黒い影が現れ、二体の幻影獣が姿を取った。


 ハクが静かに首を傾げる。

 クロは低く鳴いた。


「お願いなのです」


 ナユは真剣な目で言う。


「この人達を安全に運びたいのです。力を貸してほしいのです」


 ハクが一歩前へ出て、静かにうなずく。

 クロも尻尾を振り、了解を示した。


 リカリーネが仲間達を確認する。


「ガイは意識なしだけど呼吸は安定。ロゥリィも同様。ウルトは骨折の可能性あり。師匠は魔力枯渇」


「急ぐのです」


 ナユは動いた。


 まずガイをハクの背へ。

 ロゥリィとウルトをクロに。

 バルドランはヴァイスが担ぐ。


 リカリーネがふらつきながら立つ。


「……わたしは歩ける……」


 ナユがすぐ横に来る。


「無理しないのです」


「でも……」


「リカちゃんは最後まで戦ったのです。ここからは任せるのです」


 リカリーネは少しだけ迷い、そして小さく頷いた。


 ハクの背へ乗る。


「ナユ……ありがと」


「当然なのです」


 準備が整う。


 ミラの声が響く。


『上層までのルート確定。崩落箇所は三か所。回避可能です』


「行くのです」


 ナユの一声で、全員が動いた。


 瓦礫を避け、

 崩れた通路を抜け、

 静まり返ったダンジョンを一気に戻る。


 途中、魔物の気配はない。

 ただ嫌な空気だけが残っている。


 やがて。


 地下入口の光が見えた。


 外気が流れ込む。


 ナユは最後に周囲を確認した。


「ここまでなのです」


 外へ出る。


 夜の空気が冷たい。


 少し離れた場所に、冒険者ギルドのシェルター入口が見えた。

 灯りが揺れ、人の気配がある。


 ナユは真っ直ぐ向かう。


 扉を叩く。


 中から声。


「誰だ!」


「救助なのです」


 扉が開く。


 職員達が驚く。


「負傷者だ!中へ!」


 すぐに運び込まれる。

 治療班が走る。

 担架が用意される。


 ガイ達は次々と引き取られた。


 リカリーネも降ろされ、振り返る。


「……ナユ」


 少しだけ不安そうな目。


「本体、行くの?」


 ナユは小さく笑う。


「もちろん行くのです」


 拳を軽く握る。


「ここからが本番なのです」


 ヴァイスが横に立つ。


「街中央だな」


『高密度反応、依然として地上中央に存在します』


 ナユは夜空を見上げた。


 黒い雲の奥に、嫌な気配が広がっている。


「待ってるのです」


 静かに言う。


「すぐ行くのです」


 ハクとクロを一度撫でる。


「ここで皆を守ってほしいのです」


 二体は静かに応じた。


 ナユは背を向ける。


 ヴァイスと並び、

 街の中心へ向かって歩き出した。


「今日の記録:最深部から全員を救出し、ハクとクロの力で冒険者ギルドのシェルターまで搬送しました。皆は無事治療を受けています。本体は街中央にいるので、これから向かうのです。本当の戦いはここからなのです。日報完了!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ