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神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第六章《迷宮都市ナユタ編》

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第298話《決断》

 最深部の空気が、重く沈んでいた。

 崩れた骸の山の奥で、黒い塊がゆっくりと蠢く。


 リカリーネは息を整えながら、その場に崩れ落ちそうになる体を支えていた。

 ナユが前へ出る。


「もう大丈夫なのです」


 静かな声だった。

 だが、迷いはない。


 黒い塊が形を変える。

 腕のような影が伸び、空気が軋む。


 ヴァイスが低く言う。


「再生が速い。普通の攻撃では削り切れん」


『解析結果一致。再生能力を越える総量ダメージが必要です』


 ミラの助言は簡潔だった。


『短時間に連続した高密度攻撃を推奨します』


 ナユは小さく頷く。


「分かったのです」


 右手を開く。

 左拳を軽く握る。


「竜言語魔法で倒し切るのです……竜装ドラグアム!」


 魔力が流れる。

 制御は完璧。

 負荷もない。


「――竜爪ドラグロウ


 指先に見えない爪が重なる。

 鋭い力が収束する。


「――竜拳ドラグナク


 拳に圧縮された打撃の力が宿る。


 黒い塊が迫る。


 ナユは踏み込んだ。


 斬る。


 シュン。


 影の表面が裂ける。


 間合いを詰める。


 殴る。


 ドンッ!!


 内部へ衝撃が通る。


 だが終わらない。


 再生しようと蠢く。


「まだなのです」


 ナユは止まらない。


 斬る。

 殴る。

 斬る。

 殴る。


 連続。


 速度が上がる。

 空気が震える。


 竜爪。

 竜拳。

 竜爪。

 竜拳。


 黒い塊の再生が追いつかない。

 形が崩れ始める。


『再生速度低下。崩壊閾値接近』


「押し切るのです!」


 最後に踏み込み。


 全身の流れを一点へ。


「――終わりなのです!!」


 竜爪の斬撃が裂き。


 直後。


 竜拳の衝撃が内部を打ち砕く。


 黒い塊が大きく歪み。


 ――砕けた。


 崩壊。


 闇が霧のように散る。


 静寂。


 リカリーネが息を呑む。


「……やった……?」


 だが。


 次の瞬間。


 散った闇の一部が、天井へ吸い寄せられた。


 黒い霧が渦を巻き。


 天井の石を侵食し。


 ――突き破る。


 轟音。


 瓦礫が落ちる。


 闇は上へ。


 地上へ。


 逃げていく。


 ナユの目が細くなる。


「……逃げたのです」


『解析結果。本体ではありません』


 ミラの声が続く。


『本体は地上、街中央方向に高密度反応を確認』


 ヴァイスが短く言う。


「ここは核ではない」


 ナユはゆっくり息を吐いた。


「つまり」


 小さく拳を握る。


「本番は、これからなのです」


 崩れた天井の向こうに、わずかな夜空が見えた。


「今日の記録:最深部の黒い塊を竜言語魔法で撃破しました。ミラの助言どおり再生を越える連続攻撃で崩壊させたのです。でも本体ではなく、闇は天井を抜けて地上へ逃げました。次は街中央へ向かうのです。日報完了!」

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