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王太子の愛妾枠で結婚したのに、気がついたら私しか妃がいない!  作者: チョコころね


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22/27

22.友好の理由


「そう。隣国はザミアに、姫を嫁がせたくない理由しかない。だが、ルカス殿は隣国を説得できると言ったんだ」

「それは…気になるわね」


 今、姫をザミアに嫁がせたくない理由は、ザミアがザミアだからだ。

 好戦的で、兄弟国である隣国――アデニアの領土()狙っている。


「…ザミアが、アデニアの領土を狙わないと宣誓するとか?」

「それじゃあ、ザミアはザミアじゃなくなるから、在りえないな」


 国を大きくするというのは、ザミアのアイデンティティだ。


「ザミアの長年の野望…というか『存在意義』ね。それを支えているのは…」

「代々の国王――と言う事になるかな」


 絶対に勝つというならともかく、現状がそうではない以上、国が疲弊することを喜ぶ国民はいない。


 建国以来、ザミアの王は『国を広げたい』と願った。

 その後を継いだ今の国王も。

 今の…

 その、ザミアの王族らしからぬ弟。


「もしかして、王弟殿下は…」


 ザミアの国王に、なろうとしているのでは…


 殆ど口の動きだけの、マルグリッドのつぶやきを、レアンドルは拾った。

 驚いた様子はなかったが、妙に納得した声がした。


「…あぁ、それなら、アデニアも姫を嫁がせることを納得するかもしれない」


 ザミアが好戦的な国ではなくなるというなら、隣国だけでなく、周辺国家は皆ほっとするだろう。

 そのための援助すら、するかもしれない。


 何となく二人とも、正解にたどり着いた感はあったが、それがどんな困難を伴うかと思うとげっそりした。




「だってあのザミアよ。王様だけじゃない、周囲も強硬派で固まってるでしょう?」


 確かに…と認めた後で、でもとレアンドルは続ける。


「今の王の時代になって、国外の紛争は減っているんだ。単に、フィカスに負けた傷跡が癒えてないって考えていたんだが、こうなってくると、王弟殿下が関わっている可能性も多そうだ」

「すでに、足場は固めているってこと?」

「噂すら回ってこないから、まだそこまで行ってないと思うが、慎重にしてし過ぎる事はない案件だから…」


 あの国で、王弟の謀反なんて、気取(けど)られただけで首が飛びそうだ。


「まぁ、内向きの事は分からないけど、隣国とのパイプができれば、心強いだろうと思う」

「そりゃそうでしょうけど…」


 苦難の末、王弟が王様になったとして、長年の国是が、そう簡単に方向転換できるだろうか?

 マルグリッドは懐疑的に思った。


「だが、とりあえず、これでルカス殿がウチに来た理由が分かったな…姫へのプロポーズも、嘘ではないだろうが、そちらは表向きのパフォーマンスだろう」


 マルグリッドが後を続ける。


「王弟殿下は、我が国と(よしみ)を結びに来たのね」


 レアンドルが頷く。


「もし我々の想像が正しいなら、殿下は、自国内もそうだけど、出来るだけ他国にも味方が欲しいだろう」


 国をひっくり返すのだ。

 支持してくれる人、国は幾らあっても足りない。


「きっかけは、ザミアの国王が、コンスタンス姫に関わった事かしら」

「少しずつエルベ(ウチ)を調べて、ウチが逆にザミア国内で、姫の元近衛騎士を探している事に気づいて、何らかの交渉の余地があると踏んだのかも知れない」


 エルベの王太子には、すでに寵愛している愛妾がいる――とか。

 マルグリッドには言わなかったが、コレが結構な決め手になったのだろうと、レアンドルは思った。


「あとは、この国がザミアと直接、領土が隣接してないのも、良かったんだろう」

「少なくとも、隣国を足掛かりにザミアに攻め込むような国じゃない、というのもポイントだったかもね」


 そのままレアンドルはしばらくマルグリッドと話し、思考をまとめると、父親である国王に会いに行った。


 マルグリッドに、


『コンスタンス姫の処遇について考えておいて』


 と言い残して。



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