4.職業を割り振ったら作業指示を出していこう!(4)
効率落ちたら手数で勝負。
二倍でダメなら三倍速。
もともと村を使った狩りのルートは、四パターンを想定していたのだ。
前年の狩りで家々の中には崩壊したものもあるけれど、そのあたりは幸いにしてまだまだ積もった雪で補える。補修の手が足りないというのであれば、狩りが終わるまでは建設準備をするしかない大工たちを派遣できる。
仕留め役が二人になる以上大型の魔物は狙えないが、これも最初から小型狙いなので問題なし。万が一仕留めきれなくても、魔法を放った後の魔物であれば危険性も低いはずだ。
唯一悩ましいのは、魔物の誘導役だろうか。護衛は四人。うち、これまで誘導役をこなしてきたのは二人だけ。なんでも小器用にこなせるカイルと、弓の得意なもう一人だ。
残る二人は肉弾メインで、正直あまり弓の扱いが上手くない。これなら護衛たちよりも、村の狩人たちの方がよほど上手く射れるだろう。
あっ解決した。
まあ、これもいつかはやるはずだったこと。護衛がいなきゃ魔物狩りができないとなったら、いずれどこかで支障が出る。そうなる前に、経験を積ませておくのも大事でしょう、ということで。
はいじゃあ計画を復唱。
「三日間で今後の村の食糧を得るために……」
「今度は三人ずつ三班に分かれて…………?」
「そのうちの一班は、俺たちの中から誘導役を出せと!?」
私の説明を聞いた狩人たちが、顔を見合わせて繰り返す。
その顔は見る見るうちに青ざめていき、最後にきれいに揃った悲鳴を上げた。
「無茶言うな――――――――――――――――!!!!!!????」
うーん、信頼度がゴリゴリ削れている音がする!
ま、本音を言うならこの三日で完全に食糧を狩り切る必要はないんだけどね。
食糧は現時点で六日分。狩りが失敗しても、リカバリー期間は三日ある。
魔物狩りの効率が落ちたということは、一般獣狩りの効率は徐々に上がってきているということ。日を追うごとに獣が増えているのであれば、今後の食糧についてはなにかしら考えようもある。
とはいえ、それをわざわざ口にする必要はない。
なにせ、この先の大目標は成体魔物狩り、その結果の魔石入手だ。
魔石を得て、村を発展させ、国が黙るしかないくらいに力を得る。そのためには、やっぱり護衛だけが狩りをしていても仕方ないのである。
今ならまだ、狩りに失敗しても致命傷にはなりにくい。ダメでもともと。失敗前提。多少無茶でもやることをやって、まずは魔物というものに慣れていかなければ始まらない。
そのためならば、信頼度なんて安いもの。
私は荒れに荒れる狩人チームをあとに残し、次なる信頼度削りへと駆けだした。
〇
はい、次は家事労働班です。
「はいはい、領主さんいらっしゃい。今日はなんの御用ですか?」
やってきたのは談話室。私の訪問を見て、家事労働班の一人で村の女性最年長の、六十五歳の柔和な老女が腰を上げる。
彼女も含めて、家事労働班は現在三人。正直いつものメンバーなので言うことはないけれど、強いて言うなら、構成するのは全員比較的年配の女性たちだ。
理由はシンプルに、体力的な問題だ。こんな僻地に開拓に来るくらいだから、彼女たちも体力があって健康であるものの、それはあくまで年の割にと言う話。やはり若いパワーにはかなわず、効率面の都合から留守を任せているのである。
今回もしばらく大工仕事なので、彼女たちは引き続き留守番だ。
みんなが働いている間、屋敷内での掃除や洗濯、炊事の準備に子守りといったことを一手に担ってもらう。
で、肝心なのが後半二つだ。
「今日はあなたたちにいくつか依頼があって来たのよ」
という前置きのもと、私は家事班にかくかくしかじか今後の計画を説明する。
基本的に調理や配膳は仕事上がりの女衆も手伝うけれど、その下準備は彼女たちの仕事。食材の管理も、目に余らない限りは彼女たちに任せている。
今回の依頼は、この使用食材の半分カット――。
「はいはい、わかりましたよ。……みんなは残念がるでしょうけど、大変な状況ですからね」
と、もう一つ。
「はい?」
ヘレナの授業がなくなり、特に手伝えるような仕事もなく、談話室で子守られながらダラダラ遊んでいる子供たちのレンタルである。




