5/6 ナッくんがもし野良イタチになったら
夜に近所へお散歩しに行きました。
私が玄関へ向かって歩くと、ナッくんが後ろから追いかけてきます。
『行くな!』とばかりに私を追い越して、前に立ち塞がります。
ドアを開けると先に飛び出して、『行くなってば!』みたいに見上げてきます。
いつもなら「ごめんね」と言いながら部屋の中に戻すところ──
「ナッくん、一緒にお散歩行く?」
抱き上げると、いつもと違う展開にナッくん、固まりました。
誰も歩いてない夜の道を、ナッくんを抱いて歩きました。
肩に掴まりながら、ソワソワするナッくん。
やがて大きな通りに出ましたが、田舎なので車の1台も走っていません。
ナッくんを下に降ろすと──
ソワソワしながら、ちょっとだけ冒険するようにうろついてから、すぐに飼い主の足下にやってきて固まりました。
いや、固まったというよりは、溶けたアイスクリームみたいにやわらかくなって、地面にひっつきました。
私が離れたら追っかけてくるかな?
そう思い、1メートルほど移動すると──
微動だにせず、ずっとじーっとその場にひっついています。
外の景色とナッくんの取り合わせがなんだか変な感じ……
こんなところにいるはずのないどうぶつみたい。
野良イタチがこうやってじーっとしているのを誰かが見つけたら、びっくりするだろうな。
もしもナッくんが迷子になって、野良イタチになったら──
ずーっとこうやってじーっとしてるのかな。
生きていけないやん……。
「帰ろっか、ナッくん」
抱き上げると、おもちのようにびよーんと伸びました。
全身くたびれたように脱力──
部屋の中ではいつも抱っこすると、手を離しても大丈夫なくらい私の肩に掴まってキョロキョロするのですが──
外で抱っこすると手を離したらズルズルと落ちそうになるぐらい生気がなくなります。
6歳になっても内弁慶だね……。





by