表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Re:君と見る異世界景色  作者: 猫鼠真梧
第二章【君と見る偽り流星群】
17/17

【苦しみの日々は再び】       プロローグ

 カゲロウとの激しい血戦の日々を終え、安堵して過ごしていた俺とアリアとリア。

 この異世界の季節は冬で、城の中は結構寒かった。

「にしても、この世界の冬、寒すぎんだろっ!」

 俺は体を震わせ、自分の身を抱く。ーー自分の部屋で一人、寒い寒いとぶつぶつ言っている俺だが、パーカーを着て、その上に少しボロボロになったブレザーを着て布団に入っているのに、寒い。

 歯をカタカタと鳴らし、体を震わせ、瞼をぴくぴくさせる。

 すると、誰かが俺の部屋のドアをノックする。

「瑠璃様。お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」

 ドアの外側から、声が聞こえる。

「あぁ、どうぞ」

 俺は体を震わせて、そう言う。

「では失礼します」

 そう言って、誰かが俺の部屋のドアを開ける。

「おぉ、リアか」

 俺はそう言って、体を震わせながら座る体制にする。

「はい。瑠璃様、おはようございます」

 リアはそう言って、笑みを浮かべながら頭を下げた。

「あぁ、おはようって寒っ!」

 俺はそう言って、自分の身を強く抱く。

「そうですね。今日はやけに寒いですね。…昨日の夜とは断然と違う寒さですね」

 リアはそう言って、窓の方を見る。俺はリアを見てその目線の先にある窓の方を見る。

「それで、今日はどうしたんだ?」

 俺はそうリアに問う。

「はい、実は今日。瑠璃様に話があるとベラトリックス団長が起こしになるんです。もう少し早く手紙が来ていたら早く知らせられていたのですが、精霊殺しのことがあって王都は一次立ち入り禁止になってしまいましたから、色々と遅れているのです」

 リアはそう言って、視線を俺の方に戻す。

「一緒に戦っていたなら、王都が立ち入り禁止エリアだということも知っているはずなんですが、なんで普通の一般の手紙を送る所にこんな重要な手紙を渡したのでしょうか…」

 リアはそう言って首をかしげる。

 もちろん俺も首をかしげてなぜだろうと考えている。

「とりあえず、瑠璃様。今日はこちらの服に着替えていただいて、ベラトリックス団長の前に出てください」

 リアはそう言って、俺が前着ていた召使いの服…なんか言い方があれだが、これしか言い方が浮かばん。だから、召使いの服と言わせてもらう。

「あぁ、分かった」

 俺はそう言って、ベッドから降りてリアの方に服を受け取りに行った。

 ってか、寒さをなぜか忘れていた。

「すみません。こんな朝早くに」

 とリアは言っているが、太陽の位置から考えると多分昼前……。

「リアが謝ることなんてないぞ。それに俺は早起きしても大丈夫な男だ。朝早くとか全然気にしなくていい」

 そう言って、俺は親指を立てた。

「そうですか。良かったです! それじゃあ、もうすぐ来られるかもしれませんので準備の方をお願いします」

 リアはそう言って笑みを見せながら言った。

「あぁ」

 と俺は笑顔で理を見た。

「どうぞ、準備をっ!」

 リアは笑みでそう言ってくる。

「あぁ…」

 そして、リアは鼻息を荒くしてずっと俺の部屋のドア前に立つ。

「あの…リアさん? 準備をするのでドアが閉められるように廊下の方へと下がっていただけませんか?」

「……どうしてですか?」

「ーーいや人がいると恥ずかしくて着替えられないからだよっ!」


 そして、俺はリアを廊下に押し出して、部屋のカギを締めてから着替えて、廊下に出た。

 廊下にはリアがいて、少し不満そうな表情をして俺と一緒に歩き始めた。

「にしても、ベラトリックスさんが俺に話って、一体なんなんだろう?」

 俺はそうつぶやく。

「ん~私にも少しわかりませんね。精霊殺しを倒した後、団長が来ることも手紙を出すこともありませんでしたし」

 リアはそう言って、下を向いて考える。

「まぁあ、何を話すかは会ってから話して分かることだ。それまではリラックスしておこうか。それじゃないと、反対したい意見が出た時にしっかりと反対の理由を言えないしな」

 俺はそう言う。

「そうですね。瑠璃様、頑張ってくださいっ!」

 リアはそう言って、胸の前で両腕でガッツポーズをする。

「もちろん。何があっても、お前らのためなら頑張るつもりだ」

 と、俺は片目を閉じて開いている方の目でリアを見る。

 リアは笑顔で俺を見る。

「さて、朝の準備から入りましょうか。団長が来るのはもう少し後だと思うので、今はごゆっくりとなさってください瑠璃様」

 リアはそう言って、いつも朝食を食べている大机の部屋のドアを開ける。

「あぁ、少し疲れが残っているからそうさせてもらうよ。すまないな、今日は手伝いをできなくて」

 昨日の夜。リアとアリアで星を見ていた。アリアが自分の部屋に戻った後も俺はリアと星を見ていた。

 それで、疲れがなぜ出るかというと……。

 いや、思い出すだけで照れてしまう。

 俺はそう言って、頬を手で触る。

「どうしたんですか瑠璃様?」

「あぁっ! …なんでもない」

 俺は顔を赤く染めて、部屋に入る。

 部屋に入ると、暖炉に火がつけられていて温かい。

 少し真っ青になっていた頬も少し、少しずつと赤く染めていった。

「ほえ~あったけ~」

 俺はそう言って、手のひらを暖炉に当てる。

 だんだんと頬が緩くなってくる。

 そして、大机部屋のドアが開いた。

「失礼するね。るりいるって…何をしているの、るり?」

 部屋に入ってきたのはアリアだった。

「少し温まっている。それで、今日はベラトリックスさんが来るらしいな」

 俺はそう言って、立ち上がる。

「うん。そうみたいね…」

 アリアはなぜか心配そうな顔をして、うつむく。

「どうしたんだ?」

 俺はうつむいて、急に喋らなくなったアリアを見て、どうしたんだと問う。

「いや、少し嫌な予感がして…」

 そして、アリアは首を振って、

「いや、何でもないわ。とりあえずベラトリックスさんがもう玄関にいるよ」

「ーーえっ! 嘘だろ、それはまずいな」

 俺はそう言って、部屋を飛び出た。

 俺が部屋を出た後、アリアはうつむいて、ゆっくりと俺の後を追った。


 そして、俺はベラトリックスさんとの挨拶を終え…。

「あぁ、部屋の中に」

 そス俺が言うと、ベラトリックスさんは手のひらを見せて首を振った。

「いや、ここで大丈夫です」

「そうですか…それで、俺に何か用があって来たのですよね?」

 俺はそう言って首をかしげる。

「はい。ちょうど今、アリア様もリア様も来たことですし…単刀直入に言います」

 ベラトリックスさんの声のトーンが変わった。

 俺も少し、嫌な予感がしてきた。

「瑠璃様、今日からあなたは当分この城に居ることができなくなりました」

 ベラトリックスさんがそう言った後、城は静寂に包まれた。

 嫌な予感。どうやら敵中だな。

 そして少しの間、沈黙が続いたが、

「一体それはどういうことなんですかっ!?」

 アリアがベラトリックスさんに向かって、大声でそう言う。

「実は、剣聖団で少し話し合ったのですが、瑠璃様がいると、精霊殺しは瑠璃様の居る所を襲撃しに来るとかなんかみんなあーだこーだと言っていて、瑠璃様をこの王都から、リージェル領から出てもらわないといけなくなりました。移動先は瑠璃様にしか言わないようにとのこと。ということで瑠璃様。荷造りの準備を」

 ベラトリックスさんは少し不満そうに俺に言う。

「ちょっと待ってください。…なぜ、ベラトリックス団長はそんなに不満そうな顔をして言うんですか?」

 リアはそう言う。

「瑠璃様がいれば精霊殺しは瑠璃様を狙ってその場所に襲ってくる。アリア様の安全の方を優先するために瑠璃様の移動をする。つまり、私の部下は瑠璃様の命なんてどうでもいいと言っているように聞こえてな。でも、ルール上、瑠璃様の移動は決定されたことです」

 さっきの説明に色々と言いたいが、

「まぁ、ハッキリって俺も自分の命なんてどうだっていい」

「ーー瑠璃様っ!」

 リアがそう俺の名を呼ぶ。

「そうだろっ! 俺の命はどうだっていい。アリアの命の方が大事だ。アリアがもし死んだら、この王都からリージェル領は終わりだっ!」

 俺はそう言う。

「ベラトリックスさん。連れて行ってください。俺の荷物はこの城に」

 俺はそう言って、城から出た。

「はっ。それではアリア様、失礼します」

「ーーるりっ!」

 アリアが俺の名を叫ぶが、俺は振り向かずに歩いた。

 

 そう、俺はこのアリアが仕切る領を追放となったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ