宵闇騒動〜双子と彼女。〜
「あれ?この子はだーあーれ?」溌剌とした方が彼女を見つけて不思議そうに見つめる。すると、シオンが答えた。
「俺達の『ご友人』だ。お父様から昨日、話があっただろう?」
「マジ?!この子がそう!?えー、可愛い〜〜!」
花が満開に咲くような笑顔を彼女に向ける双子の片割れ。それはそれは心底嬉しそうである。
「おれは六条アスカ!よろしく〜!」挨拶をしながら自然に握手まで交わすアスカ。全くもって勢いが良すぎる。
「…六条ヒナタ。よろしく。」凛然としながらも、どこかぶっきらぼうな様子で双子の眼鏡をかけた方の双子の片割れも続けて挨拶をする。そして、ヒナタが挨拶を終えると……
「よろしく〜〜!!!」
アスカは勢いよく彼女に抱きついた。いわゆる、ハグをした。
彼女は驚きのあまり声が出ない。されるがままであった。
彼女だけでなく、ヒナタやリオンも、アスカのあまりの勢いに驚いていた。……サカキは変わらず無表情で、シオンはなぜか微笑ましそうに見つめているのだが。
「………っ!いい加減にしろ!!!」
ヒナタがアスカの腰を蹴り上げる。アスカは「ん"に"ゃっ?!」と、しっぽを踏まれてしまった猫のような声を上げながら、反射で彼女から手を離した。
「全く…同じ顔で節操無く見えることしないでくれる?僕に対しての風評被害だよ。」
呆れながら不満気に言うヒナタ。
「えー?可愛いからハグしたのにぃ…あと、普通に挨拶?だし?」
一体なにが悪いのかいまいち分かっていないアスカ。
そんな中で……
「おいおいおいおい。なに盛り上がってるんだよ?まだ何も終わってねぇだろうがよ。」
向かい側に居る男は苛ついた様子で話す。
「ん〜?あ、なになに〜?あんたら、まだ居たんだ?てっきりしっぽ巻いてお家に帰ったのかと思った♡」
妖艶に笑いながら、けれどはっきりと挑発を込めた言葉を放つアスカ。
男は更に苛ついた。
「生意気言ってんじゃねぇよこのガキが!!俺達はなぁ!そこに居る『天使』と一緒に家に帰るんだよ!とっととそいつを寄越しやがれ!!」
声を荒らげながら言う男に「落ち着け。」と男性が冷静に諌める。続けて、
「まあ、できれば五体満足の方がより高額なんだが…この際、両手足が無くとも構わないな。」
と話した。
そして…2人はほぼ同時に短剣を取り出して構えた。
「はぁ…。悪趣味にも程があるでしょ。」ため息混じりにヒナタは言う。アスカはヒナタの左側に立つと、軽く片腕を肩に乗せてもたれ掛かるようにしながら、こう言った。
「ならさぁ…。ちゃぁんとおれ達の『お仕事』しないとなぁ?」
アスカの赤い目には、獲物を狩る猫の様な、獰猛な光が宿っていた。




