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『凡人修仙伝』: 不死身を目指してただ逃げてたら、いつのまにか最強になってた  作者: 白吊带
第二卷: 煉気編一初めて世間に·血色禁地
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禁地の中心区域

  韓立は焦らなかった。この禁断の地(きんだんのち)の中心区域は、外縁部とはまったく異なるのだから。


 中心区域以外の場所では、霊草(れいそう)や珍果(ちんか)は無秩序に点在し、どこにでも見つかる可能性があった。基本的に早い者勝ちで、入手した者はすぐにその場を離れる。そのため、霊薬(れいやく)を巡る争いはそれほど多くない。むしろ、他者を排除する「大掃除」や、宝を奪うための殺し合いで命を落とす者の方が圧倒的に多かった。


 しかし、中心区域は違った!かつて生還した弟子たちの話によれば、この中心区域は広大で、禁断の地全体の三分の一以上を占め、周囲を石壁(せきへき)で囲まれた巨大な円形区域だ。四つの銅門(どうもん)から内側に向かって、外層(がいそう)、中層(ちゅうそう)、核心層(かくしんそう)という三つの層に分かれており、まるで果実の皮、果肉、種のように境界がはっきりしていて、非常に奇妙な構造をしているのだ!


 韓立が今立っているこの絵のように美しい場所こそが、中心区域の最外層(さいがいそう)だった。


 資料によれば、ここから次の層までの距離はさほど広くなく、一里(約0.5km)ほどの幅しかない。この範囲に生える草花や樹木は、一つ一つが珍しく、この世のものとは思えないほどだが、霊薬として修仙者(しゅうせんしゃ)に実用的な効能を持つものはごくわずかで、ほとんどは観賞用に過ぎなかった。


 七大派(ななだいは)の多くの者は、この層は禁断の地の主(ぬし)が意図的に造った庭園のような場所であり、目にも鮮やかで美しい植物たちは、主が楽しむために植えられたのだろうと推測していた。実用的なものを探すなら、禁断の地の他の区域を探した方がよほど効率的だったのだ!


 修仙者にとって真に有用な上質の霊薬(じょうしつれいやく)は、中心区域第二層、すなわち中層(ちゅうそう)に産する。ここに潜入する各派の弟子たちの多くは、この層目当てで来ているのだ。中でも、築基丹(ちくきたん)を煉製(れんせい)するための三大主薬(しゅやく)は彼らの最大の目標だった。韓立もまた、これらの霊薬を必ず手に入れるつもりだった!


 この第二層、中層の実態を知った韓立は、資料を目にしてしばらく呆然(ぼうぜん)とした。


 なんと第二層は、巨大な環状山脈(かんじょうさんみゃく)そのもので、年中、五本の指すら見えないほどの濃霧(のうむ)に覆われているのだ。この山中には、洞窟(どうくつ)、密谷(みつこく)、断崖(だんがい)といった天然の霊地(れいち)や、石室(せきしつ)、石殿(せきでん)といった人工建造物が存在し、様々な天地霊薬(てんちれいやく)がそれらの場所に生育していた。


 醜男(ぶおとこ)と韓立が交換した資料も、主にこうした霊薬の分布図だった。誰もが、自分が辿り着く区域が既存の資料に含まれているとは限らないと理解していたからこそ、分布図は多ければ多いほど良い。そうすれば、より容易に自分の位置を特定し、図面に従って探索できるのだ!


 しかし、この山の霧はあまりにも濃厚(のうこう)だ!修仙者が山中に入ると、ほんの数歩進んだだけで完全に霧に迷い込み、足を取られながらゆっくりと手探りで進むしかない。再び外に出られるかどうかは、完全に運次第だった。


 さらに厄介なのは、環状山脈(かんじょうさんみゃく)には無数の妖獣(ようじゅう)が棲息(せいそく)していることだ。一級下階(いっきゅうかかい)の炎鼠(ほねずみ)や風兎(かぜうさぎ)から、一級頂階(いっきゅうちょうかい)の金鱗の大蛇(きんりんのおろち)や氷炎狼(ひょうえんろう)まで、七大派が知る、あるいは知らないほぼ全ての一級妖獣(ようじゅう)が揃っているというのだ。


 下位の妖獣なら、煉気期(れんきき)六、七層の修仙者でも一人で七、八匹は問題なく相手にできる。しかし、最上位の妖獣ともなれば、七大派の精鋭弟子たちですら、一目散に逃げ出すしかなかった。


 幸いなことに、最後の類いの妖獣は山中で非常に稀(まれ)で、その大半は特定の霊薬を守る番獣(ばんじゅう)となっており、安易に外に出てくることはない!


 そのため、手強い妖獣の大半は一級上階(いっきゅうじょうかい)のものだ。数人の精鋭弟子たちが連携すれば、容易に倒すことができる。もちろん、単独で遭遇すれば、血戦(けっせん)は避けられない。

 山の濃霧(のうむ)か、妖獣(ようじゅう)のどちらか一方だけなら、自負心の強い精鋭弟子たちは、なんとか山に潜入して霊薬を採集しようと試みたかもしれない。しかし、両方が同時に存在するとなると、彼らもただ顔を見合わせるしかなかった。そんな状況で山に入るのは、死を意味するに等しいのだから!


 そのため、禁断の地が開かれた当初の数回は、中心区域の外縁で普通の霊薬を採集するだけで満足し、環状山脈(かんじょうさんみゃく)に入ろうとする弟子など一人もいなかった!


 しかし、数回後、掩月宗(えんげつしゅう)の一人の修士が、あらゆる手を尽くして「月陽宝珠(げつようほうじゅ)」という法宝(ほうほう)を煉製(れんせい)した。この宝物は攻撃にも防御にも使えず、唯一の作用は奇光(きこう)を放ち、様々な濃霧(のうむ)や毒瘴(どくしょう)を抑制(よくせい)することだった。彼が禁断の地のためだけに特別に用意したものだ!


 案の定、この宝珠を得た掩月宗の弟子たちは、次に禁断の地が開かれた際、大いに活躍した。

 彼らは他の六派に内緒で山中の大部分の霧を払い、環状山脈(かんじょうさんみゃく)から霊薬を満載して帰還した。そしてこの時の収穫で大量の築基丹(ちくきたん)を煉製し、弟子を広く募集して宗門の勢力を飛躍的に拡大させ、掩月宗を越国(えっこく)第一の修仙派(しゅうせんは)の地位に押し上げたのだった。


 しかし、俗に言うように、壁に穴あれば風通る。掩月宗が「月陽宝珠(げつようほうじゅ)」を使って禁断の地で天地霊薬(てんちれいやく)を独占したという情報は、やがて漏れ伝わった。間もなく、独り占めを快く思わない他の六派が詰め寄ってきたのである。


 衆怒(しゅうど)を買うことを避けつつも、宝珠を簡単には渡したくない掩月宗は、六派との長い駆け引きと値切りの末、ついに宝珠を献上し、七大派共有の物とすることを認めた。


 そしてこの宝珠は、七派が順番に保管することになった。禁断の地探索が終わる度に、宝珠を預かっていた門派はこれを引き渡し、別の門派が保管を引き継ぐのだ。


 どの門派が宝珠を預かっていようとも、禁断の地内では、その門派の弟子は他の各派の弟子の監視下で、事前に決められた時間にこの宝珠を使用しなければならない。霧を払うタイミングを故意に早めたり遅らせたりすることは絶対に許されなかった。


 こうして、中心区域に間に合った全ての弟子が、同時に環状山脈(かんじょうさんみゃく)に入って霊薬を採集できるようになり、極めて公平な状態が作られたのである。


 この条件は、一見すると掩月宗が大損をして禁断の地の霊薬独占の夢を断たれたように見えるが、実際には掩月宗に滅門(めつもん)の危機を回避させ、次第に強大化していく機会をもたらしたのだった。


 今では、掩月宗は七大派の中で群を抜いており、その実力は計り知れない!他の各派が二派連合を組まなければ、とても太刀打ちできないほどである!


 韓立が焦らず、目の前の醜男(ぶおとこ)と悠長に虚々実々(きょきょじつじつ)の駆け引きを続けていられたのも、このためだった。


 今回の七大派は、潜入前にすでに霧を払う時間を約束しており、それは三日目の朝と決まっていた。


 韓立がこれまで休む暇もなく中心区域を目指して急いだのは、途中で誰かに妨害されて山に入る時間に遅れることを恐れたからだ。今や中心区域に到達した以上、逆に焦る必要はなかった。今すぐ第二層に急行したところで、そこに立ち込める霧をただ呆然(ぼうぜん)と見つめるだけなのだから!


 そして、禁断の地の中心、第三層ともなれば、さらに神秘(しんぴ)に包まれている!


 環状山脈(かんじょうさんみゃく)の頂上に立てば、第二層に囲まれた広大な区域の中心に、高さ百丈(ひゃくじょう)もの巨大な宝塔(ほうとう)が聳(そび)え立ち、その周囲を緑の密林(みつりん)が水も漏らさぬほどに取り囲んでいるのがはっきりと見える。これが所謂(いわゆる)第三層、禁断の地の最深部(さいしんぶ)なのだ!


 七大派の高人は自門の弟子たちの報告を聞き、これこそが禁断の地の主(ぬし)の元住居に違いないと即座に理解し、この宝塔内の品々に熱い視線を向けた!


 しかし、第二層と第三層の境界には、正体不明の強力な禁制(きんせい)が今も作動しており、侵入を試みる全ての弟子を阻(はば)んでいる。この禁制は、煉気期(れんきき)の弟子ごときが破れるものではなく、かといって築基期(ちくきき)以上の修士は禁断の地に入れない。そのため、宝塔の中に何があるのかは、今なお解けぬ謎のままなのである!


 韓立はこの第三層の巨塔(きょとう)に、まったく興味がなかった。彼にとっては、第二層で十分な天地霊薬(てんちれいやく)を見つけ、無事に生還することができれば、それこそ天に感謝し、神仏(しんぶつ)の加護(かご)があったと喜ぶべきことだったのだ。


 韓立は目の前の醜男(ぶおとこ)と、実に一刻(いっこく)もの間、辛抱強くやり過ごしてから、ようやくその絡みを振り切り、脇の草木(くさき)の中へと消えていった!姿を消す寸前、振り返って相手を見ると、あの鍾吾(しょうご)は相変わらずのんびりとその場に残り、微塵(みじん)も去る気配はなかった!


 どうやらこうした「強者(つわもの)」どもは、水を濁して漁夫の利を得ようとする他の弟子たちを、十中八九(じっちゅうはっく)まで排除しなければ、手を休めることはないらしい。おそらく他の三門(さんもん)でも、同じことをしている者がいるはずだ!


 韓立はそう考えながら、銅門(どうもん)から離れた場所をあちこち探し回った。


 一本の巨木(きょぼく)の下で、韓立は目立たない樹洞(じゅどう)を発見し、内心ほっとした。


 そこに潜り込むと、入口に簡単な防御の仕掛けを施し、その後は何も考えずにぐっすりと眠り込んだ。


 韓立はしっかり休む必要があった。翌朝、環状山脈(かんじょうさんみゃく)の霧が晴れる時、何が起こるか分かったものではない!まずは自身の状態を万全に戻すことが、最良の策だった。


 しかし彼は確信していた。明日、環状山脈(かんじょうさんみゃく)の前に立ち、霧が晴れるのを待つ各派の弟子たちは、決して多くはないだろう。そして一人残らず、あの封岳(ほうがく)と同じくらい、あるいはそれ以上に手強い者ばかりだということを!


 韓立はこの夜、非常に深く眠った。翌日の夜明け前になって、ようやくゆっくりと目を覚ました。


 禁断の地探索の最も重要な一日が、ついに到来したのだ!


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