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『凡人修仙伝』: 不死身を目指してただ逃げてたら、いつのまにか最強になってた  作者: 白吊带
第二卷: 煉気編一初めて世間に·血色禁地
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融霊符

 


 韓立は口の中に苦味が広がるのを感じた。これほど慎重に慎重を重ねてきたにもかかわらず、やはり伏撃に遭ってしまった。それも最悪の状況、一対多での包囲だ!


 彼が今いる場所は、資料で「**一線天(いっせんてん)**」と呼ばれる地帯だ。環境は極めて険悪で、法器(ほうき)で飛行しない限り、この区域を通って中心区域へ向かう道はこの細道一本しかない。


 小道の両側は、どこまでも切り立った険しい峰々だ。韓立のように俗世の武術を身につけ、軽功(けいこう)にも長けた者ですら、安易に登攀(とはん)を試みようとは思わない!


 ましてや法器で上空を飛び越えるなど、論外だ。それは自殺行為であり、公然と標的になるようなものだ。必要がなければ、各派の弟子たちがこんな愚行に及ぶはずがない。かつての先輩たちの痛ましい経験もまた、それを物語っていた。禁地内で法器飛行は厳禁であり、さもなければ死体となるのが落ちだった。


 韓立はこの地へ入る際、かなり躊躇した。しかし結局、峰々を越える近道を飛ぶ勇気は出せず、従順に小道に沿ってゆっくりと歩を進めるしかなかった。


 当然ながら、この地の危険性を鑑み、韓立は十二分の警戒を怠らなかった。道中、神経を張り詰め続けた。だがそれでも、彼が峠を抜けた途端、一息つく間もなく、まったく予兆なく、この二人に前後の退路を塞がれてしまったのだ。


 頬髯(ほおひげ)の男の凶悪な表情を見て、韓立は悟った。今ここで口先だけのやり取りをしても無駄だと! まず自身に**防御水幕(ぼうぎょすいまく)**を展開し、続けて**飛天盾(ひてんじゅん)**を祭り出した。手には法器「**金蚨子母刃(きんぷしぼじん)**」と、わずかに残る初級高階符籙(ふろく)の中から「**土牢術(どろうじゅつ)**」を構えた。


 頬髯の男と背後に立つ男は、韓立の一挙手一投足を冷ややかに見つめ、阻止や先制攻撃を仕掛ける様子は微塵もなかった。二人とも自信満々で、韓立を始末することに十分な確信を持っているようだ。だからこそ、これほど余裕たっぷりなのだ。


 無理もない! 背後に立つ男だけでも十二層頂点の法力(ほうりき)、ましてや頬髯の男は十三層の功法(こうほう)だ。彼らが韓立という十一層の**新米(しんまい)**を前にして、十中八九成功すると考え、大したことではないと感じるのも当然だった。


 韓立はそれを見て、わずかに乾いた唇を舐めた。心の内で冷笑を浮かべた。相手がこれほど慢心しているなら、その隙を最大限に利用するまでだ。


 そこで、声色(こわいろ)を変えず、韓立は体勢を横へ少しずらした。自分と二人が鼎立(ていりつ)の形になるように。腹背に敵を受けるのを避けるためだ。案の定、二人はこの隙を突いて攻めてはこなかった。


 修仙界(しゅうせんかい)に足を踏み入れて以来、最も手強い敵に直面しながらも、韓立はさほど畏れを抱いていなかった。


 確かに、他人との正面衝突は極力避けてきた。だがそれは、自身に全く自信がないわけでは決してないからだ。韓立は自負していた。法力の差は確かに大きく、持久戦には不利だが、所持する**頂級法器(ちょうきゅうほうき)**と**符宝(ふほう)**がその差を十分に埋め合わせてくれると。


 それに、いざとなれば「**天雷子(てんらいし)**」を放てば、相手の一人を消し去ることなど造作もない。


 ただ、それを惜しげもなく使うかどうかは、また別の問題だった。


 しかし韓立には疑問もあった。なぜ頬髯の男と天闕堡(てんけつほう)の者が争わず、むしろ手を組んでいるのか? 同じ門派の師兄弟ならともかく、この二人は明らかに別の派閥の者だ!


「小僧、度胸があるな! 禁地の外で、俺を愚弄(ぐろう)しおって、それにあの淫売(いんばい)と目くばせまでしやがった。今こそお前の命で詫びてもらうぞ!」頬髯の男が凶神悪鬼(きょうじんあっき)のように宣言した。


 そして男は振り返り、天闕堡の男に言った:

「厳兄弟(げんきょうだい)、こいつは俺の恨みの相手だ。俺一人で始末するから、ゆっくりと“もてなして”やる。修仙界がそんなに甘い場所じゃないって思い知らせてやる!**来世(らいせ)で誰かを怒らせる前には、まず目をこすって見極めろってな!」**


 天闕堡の男はそれを聞き、肩をすくめて気にも留めない様子で言った:

「好きにするといい。俺は脇で見てるからな。ただし、前回みたいに**小舟(こぶね)を転覆(てんぷく)**させんなよ! そうすりゃ、また命の恩を売られる羽目になるからな!」


「ハハッ、あれは完全に不意打ちだった! 今度の新米相手なら、力の半分も出せば十二分だぜ!」頬髯の男は一瞬顔を赤らめたが、すぐに口をへの字に曲げ、侮蔑(ぶべつ)の笑みを浮かべた。


「ふう、好きにしろ。俺は、お前の訃報(ふほう)を聞く羽目にはなりたくないからな。何しろ長年の酒飲み友達だ。気の合う奴をまた見つけるのは、そう簡単じゃねえんだぜ!」


 天闕堡の男は首を振った。頬髯の男の自惚(うぬぼ)れっぷりに、かなり手を焼いているようだ! しかし彼もまた、目の前の相手が旧友にとって何らかの脅威となるとは思っていなかった。何しろ、自分が傍で見張っているのだから!


 韓立は傍らで、二人がまったく遠慮のない会話をはっきりと聞いていた。そこからいくつかの手がかりを得て、心にあった疑問も解けた。


 この二人はもともと友達だったのだ。しかも、かなり親密な間柄のようだ。


 これは厄介だ! 二人は連携して戦うことに慣れており、普通の人間が一時的に組むよりもはるかに手強い。相手の口調から察するに、一度や二度のコンビネーションではなさそうだ!


 韓立は思わず強い憂鬱(ゆううつ)に襲われた!


「どうやら雷電(らいでん)の如き手段を講じ、まず一人を重点的に始末し、残ったもう一人をどうにかするしかなさそうだ。だが、これはあまりにも不運すぎる! 各派の弟子はランダムに転送されるはずなのに、彼らが同じ場所に集まるなんて。全く天の理(てんのことわり)に反している!」韓立は恨めしげに考えた。二人のこの幸運を疑い、ひどく不公平に感じたのだ!


 韓立は知らなかった。天闕堡の男もまた、内心で得意げにこの件について考えていたことを。


 男は、頬髯の男が韓立へ向かって歩くのを見て、思わず思いにふけった。旧友と集まれた最大の功労者である「**融霊符(ゆうれいふ)**」についてだ。


「高階融霊符(こうかいゆうれいふ)は本当に便利だ。禁地へ踏み込む直前、自分と友人の間で同時にこの符籙を使えば、二人の霊気(れいき)を一時的に結合させ、禁制(きんせい)の転送を同じ場所へ誘導できる。成功率は五分五分だと聞いていたし、値段も法外(ほうがい)に高く、普通の初級高階符をはるかに超える。だが彼らは成功し、ここに潜伏して、この道を通る各派の弟子たち数名を連携して葬り、大いに収穫を得たのだ!」


「それに、彼、厳某(げんぼう)は愚かではない! 大金を払い、途方もない危険を冒してこの禁地に来たのは、多くの者が虎視眈々(こしたんたん)と狙う霊薬(れいやく)のためではない。ここで公然と人を殺し宝を奪い、大儲けするためだ。しかも一切の後遺症(こういしょう)なしに。二人が連携し、明らかに手強い強者には手を出さなければ、目的を楽々と達成できると確信している。その後、頃合いを見て手を引き、どこかに隠れていればいい。時間が来るまでそこにいて、安全にここから脱出するのだ!これは完璧な計画だ。自分にしか考えつかない!」天闕堡の男は、ここを出た後の輝かしい未来を思い描き、有頂天(うちょうてん)になり、自惚れ始めた。当然、これから起こる戦いに心を向ける余裕などなかった。


 その時、頬髯の男が緑色の革袋(かわぶくろ)を一つ外し、残忍な笑みを浮かべて韓立に近づいてきた。どうやら攻撃を仕掛けるつもりのようだ。


 しかし、旧友の忠告が効いたのか、途中で符籙を一枚使用し、自身に緑色の光の幕を張った。防御を強化するためだ。


 この光景を見て、韓立は眉をひそめた。頭が痛くなった!


 彼はもともと霊獣山(れいじゅうざん)の手口を非常に警戒し、この男の油断を突いて先に始末しようと考えていた。だが相手が防御法術を施した今、そう簡単にはいかなくなった。


 もちろん「天雷子」を放てば、相手にどんな手段があろうとも無意味だ。だがそれは使い捨ての消耗品(しょうもうひん)だ。生死の境目や極めて重要な局面でなければ、韓立は使うつもりはなかった!


 この男が無理なら、韓立は当然、もう一方にいる天闕堡の弟子に目を向けた。


 その男が両手を後ろで組み、空を仰ぎながら何かを考え込んでいる様子で、こちらの出来事には全く注意を払っていないのを見て、韓立は内心大喜びした。隙があると悟ったのだ!


 そして、ためらうことなく手にした「土牢術」の符籙を、突然、頬髯の男へと放った。


 結果、符籙は空中で一道の黄光(こうこう)と化し、相手の体へ激しく突き刺さった。なんと頬髯の男の防御法術である緑の幕の外側に、さらに大きな黄色い幕が形成され、彼をがっちりと閉じ込めたのだ。一歩も前へ進めない。


 ***


**注釈**


**一線天(いっせんてん)**: 切り立った断崖(だんがい)に挟まれた非常に細い通路。禁地内の危険な地形の一つ。


**防御水幕(ぼうぎょすいまく)**: 水属性の防御法術。水でできた幕で攻撃を防ぐ。


**飛天盾(ひてんじゅん)**: 飛行・防御機能を持つ盾型の法器(ほうき)。


**金蚨子母刃(きんぷしぼじん)**: 親刃(おやば)と子刃(こば)で構成される特殊な法器。追尾(ついび)攻撃などに用いられる。


**土牢術(どろうじゅつ)**: 土で相手を閉じ込める初級高階の符籙術(ふろくじゅつ)。


**法力(ほうりき)/功法(こうほう)**: 修仙者が操る神秘的な力と、その修行体系・段階。


**新米(しんまい)**: 経験の浅い者。ここでは修仙界の新人を指す。


**頂級法器(ちょうきゅうほうき)/符宝(ふほう)**: 最上級の法具と、符籙と法宝(ほうほう)の中間的な強力なアイテム。


**天雷子(てんらいし)**: 強力な雷撃を封じ込めた一次性的な攻撃アイテム。非常に貴重。


**来世(らいせ)**: 死後の世界、次の生まれ変わり。


**小舟(こぶね)を転覆(てんぷく)**: 「溝で船を転がす」の意。油断による失敗の喩え。


**融霊符(ゆうれいふ)**: 複数人の霊気(れいき)を一時的に結合させ、転送陣(てんそうじん)での出現位置を同一にする高級符籙。非常に高価。


**霊気(れいき)**: 自然界に存在する修仙の基礎となるエネルギー。


**禁制(きんせい)**: 特定区域に仕掛けられた防御・攻撃・転移などの術や陣法(じんぽう)。


**霊薬(れいやく)**: 修仙の修行や突破に用いられる薬草や丹薬(たんやく)。


**天闕堡(てんけつほう)/霊獣山(れいじゅうざん)**: 修仙者の派閥名。

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