↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『凡人修仙伝』: 不死身を目指してただ逃げてたら、いつのまにか最強になってた  作者: 白吊带
第二卷: 煉気編一初めて世間に·血色禁地
PR
82/287

掩月宗

 

 韓立もそれを聞いてかなり心が動いた。修仙の道において、もし優れた師匠から少しでも指南を受けることができれば、絶対に回り道を減らせ、修練に大いに益があることはよく分かっていた。


 しかし同時に、この李師祖(りしそ)は騙しやすい人物ではなかった。自分の体には隠している秘密が少なくない。彼と長く接触すれば、おそらく不自然な点を見抜かれてしまうだろう。問い詰められれば、それはまさに自ら死を招くようなものだ。


 それに、先ほどの「忠言」を聞く限り、この人物が師弟の情などというものを語るタイプではないのも明らかだった。おそらく師弟の間でも、あの弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)を地で行き、宝物を奪い口封じをすることだろう。


 韓立の心に少し動きがあったものも、このように細かく考え直すと、すぐに大人しくなった。


 他の黄楓谷(こうふうこく)の弟子たちにはそのような懸念はなく、皆が拳を擦り磨き、士気は高まる一方だった。今や生存のためだけではなく、自らの前途をかけて戦う時でもあったのだ。


 韓立は無意識に陳師妹の方を見た。彼女は両頬を紅潮(こうちょう)させ、小さな拳を固く握りしめ、目には異彩(いさい)が輝き、決意を固めた様子だった。


 心の中でそっとため息をつき、韓立は黄楓谷の他の者に注意を向けるのも面倒になり、さっさと向かい側の清虚門(せいきょもん)の方を見た。


 あの道士(どうし)は、口角泡(こうかくあわ)を飛ばして配下の者たちに何やら熱弁をふるっていた。時折興奮した様子を見せると、若い道士たちが歓声を上げ、皆が血気盛ん(けっきさかん)に見える。どうやら洗脳は大成功のようだった。もちろん、年配の道士の中には、表情が終始落ち着いており、全く動じていない者もいた。


 韓立はそれが面白く、思わず見入っていた。その時、誰かが突然こんな大声をあげた。


「見ろ!掩月宗(えんげつしゅう)の連中が来たぞ!あれが天月神舟(てんげつしんしゅう)だ!」


 韓立はその言葉に驚き、目を空に向けた。


 天の彼方に白い光点が輝き、次第に近づいてくる。


 その速度は非常に速く、まもなく荒れ山の上空に到達した。それは巨大な青玉(せいぎょく)を彫って作られた大船で、船の外壁には金箔(きんぱく)で龍や鳳凰(ほうおう)が描かれ、贅沢(ぜいたく)の極みだった。さらに、船全体を包む巨大な白色の光の障壁(しょうへき)が存在している。


 船上には、男女半々の大勢の白衣(はくい)の集団が立ち、先頭には若妻風の魅力的な女性がいた。その一挙一動には万種(ばんしゅ)の風情があり、人々の心を強く揺さぶるものだった。


 この女性は、玉舟(ぎょくしゅう)が降り立つと光の障壁(しょうへき)を消し、杏(あんず)のような唇をほんのり開いて言った。

「お二人の師兄(しけい)、穹師叔(きゅうししゅく)、霓裳(げいしょう)、ご挨拶(あいさつ)申し上げます」


 李師祖(りしそ)と道士(どうし)はおろそかにせず、急いで応対した。しかし、穹老(きゅうろう)は歯を剥き出し(むきだし)にして笑うと、突然姿がかすみ、またもや空気の中に消え去った。残されたのは一言と、得意げな奇怪な笑い声だけだった。


「七日後、またここに来る。賭けの品は前もって用意しておけ!今回は俺の勝ちだ!」


 道士(どうし)と李師祖(りしそ)は顔を見合わせ、この老人がなぜそこまで自信満々なのか理解できなかった!掩月宗(えんげつしゅう)の弟子たちは、さっき観察した限りでは、自分たち両派の門下よりはるかに強いとはいえ、そこまで大口を叩く(おおぐちをたたく)ほどのものではなかったはずだ!


 若妻風の女性(霓裳仙子(げいしょうせんし))は、美しい目を動かし、好奇心に駆られて事情を尋ねた。賭けの内容をはっきり聞くと、思わず顔をほころばせ、花が揺れるように笑い、人の心を奪うほどだった。


 その若妻の風情(ふぜい)は、三派の多くの若い男性弟子たちを呆然(ぼうぜん)とさせ、ほとんど涎(よだれ)を垂らさんばかりに見入らせた。


 しかし李師祖(りしそ)たち二人は、目の前の美しい光景に構っている余裕などなかった。彼女がこの様子を見て、二人の心は沈み、大きな罠(わな)にはめられたという思いを強くした。思わず顔をしかめた(しかめた)。


 まさか掩月宗(えんげつしゅう)の今回の派遣に、両派を同時に圧倒できるような切り札(きりふだ)が本当にあるのだろうか?


 二人は身分を重んじ、腹の中は鬱憤(うっぷん)でいっぱいだったが、向こう側の美しい未亡人(みぼうしん)——霓裳仙子(げいしょうせんし)に事情を探るのは気が引けた。そして美しい未亡人(みぼうしん)——霓裳仙子(げいしょうせんし)は、もちろん知らぬ存ぜぬを通す方が楽しく、話題をそらし、他の面白い話を始めた。


 韓立ら黄楓谷(こうふうこく)の男性弟子たちは、早くも新しく来た大勢の女性弟子たちに目を奪われていた。


 彼らはかねてから聞いていた。掩月宗(えんげつしゅう)の門下は双修(そうしゅう)の術を提唱しており、収める弟子の少なくとも半分は女性で、しかも容貌(ようぼう)が上等でなければ決して採用しないと。


 今見ると、噂(うわさ)に違わず、この女性たちは皆、千嬌百媚(せんきょうひゅうび)、花のような顔に月のような美貌(びぼう)だった。彼らは涎(よだれ)を垂らし(たれ)、妄想(もうそう)にふけっている。


 韓立(かんりつ)はまだましな方で、一瞬は目移りしたものの、並外れた意志力に頼って、なんとか素早く心を落ち着かせることができた。


 その時になって初めて、掩月宗(えんげつしゅう)の女性弟子たちは、これほど多くの人々に同時に見られることに慣れているようで、平然と笑い話を続けていることに気づいた。中には、見つめている人に向かって色目(いろめ)を飛ばす者さえいて、相手を骨抜き(ほねぬき)にしていた。


 しかし男性弟子たちの反応は全く対照的で、一人ひとりが怒りの目を向けていた。特に自分たちのそばにいる少女たちにはことさら気を配り、見つめてくる者一人ひとりに睨み返したくてたまらない様子だった。


 韓立はほほえんだ。相手の男女が二人一組で立っている様子を見れば、これらの男女はたとえ本当の恋人同士でなくとも、修練の中で決められたペアであることは明らかだった。だから男性弟子たちはそれほど怒るのだ!彼らはおそらく、すでにそばにいる者を私有物とみなしている。たとえ女性弟子たちがそう思っていなくとも。


 韓立は、これらの男性弟子たちが睨み返す相手が、黄楓谷(こうふうこく)側だけではなく、なんと清虚門(せいきょもん)側にもいることに気づいた。


 好奇心に駆られて、彼は顔を向けて確かめた。案の定、血気盛んな(けっきさかんな)小道士たちが、時折少女たちをこっそり盗み見(ぬすみみ)し、そしてすぐに視線を戻し、まるで誰かに見られるのを恐れるかのように、実にこそこそとしていた。


 韓立は心の中で笑いをこらえるのに必死だった。声に出して笑ってしまいそうで!


 自分の錯覚かどうかはわからなかったが、韓立は掩月宗(えんげつしゅう)の女性弟子たちが小道士たちに向けて色目(いろめ)を飛ばす挑発的な動作を、黄楓谷(こうふうこく)側よりも多くしているように感じた。


 これには彼も少なからず呆気(あっけ)に取られた。


 しかし考え直すと、韓立は心の中で警戒した。彼ら弟子たちがここに来たのは、恋愛ごとをするためではなく、禁地(きんち)の中で生死をかけた戦いをするためだ。もし各派の若い弟子たちが、掩月宗(えんげつしゅう)の女性弟子たちと遭遇したら、戦いも始まらないうちに、まず三分は負けているだろう。何しろ、こうした嬌媚(きょうび)な女性たちに直接手荒(てあら)に手を出すことは、普通の人にはとてもできることではないからだ。


 さらに韓立が首をひねったのは、掩月宗(えんげつしゅう)の今回の弟子たちが、どうして男女を問わず皆これほど若いのかということだった。年長者は一人もおらず、これは全く常識に反している。もしこれらの者たちが皆、若返りを成功させた化け物じみた老いぼれだと言うなら、韓立は絶対に信じなかった。彼ら彼女らの軽薄(けいはく)な行動を見る限り、せいぜい二十歳前後であり、老成(ろうせい)したところなど微塵(みじん)もなかった。


 しかしこの血色禁地(けっしょくきんち)の試練は、死に行く旅として名高い。これほど多くの若者が自ら進んで死にに行くはずがない。仮にいたとしても、皆がペアで行くことはありえない。彼ら彼女らの感情が皆、生死を共にするほど深いというなら、それは韓立が死んでも信じられないことだった。


 黄楓谷(こうふうこく)と清虚門(せいきょもん)には、陣容(じんよう)の中に老人たちが何人か入っていた。


 彼らは大限(たいげん)が近づいており、この禁地(きんち)行きに参加しなくても、もう長くは生きられない。だから最後の一か八か(ばち)を狙っているのだ。もし本当に築基丹(ちくきたん)を手に入れ、さらに運よく築基期(ちくきき)に入ることができれば、一気に立場が逆転する。結丹期(けったんき)に進むことは絶望的でも、百余年長く生きられるなら、それはもうけものだ。


 このような考えで血色試練(けっしょくしれん)に参加する老人は多くはないが、両派合わせて七、八人はいた。しかし掩月宗(えんげつしゅう)には一人もいない。これは韓立の目には、確かに不気味(ぶきみ)に映った。


 李師祖(りしそ)と道士(どうし)も、どうやら不自然な点に気づいたようだった。二人の顔色はさらに曇った。口ではまだ掩月宗(えんげつしゅう)の霓裳仙子(げいしょうせんし)と話していたが、その上の空の様子は誰の目にも明らかだった。


 まもなく、残りの四つの門派が次々と到着した。韓立の印象に最も強く残ったのは、巨剣門(きょけんもん)と霊獣山(れいじゅうざん)の人々だった。


 巨剣門(きょけんもん)は全員が男子で、皆が黒衣(こくい)をまとい、背中には人の背丈ほどの鞘(さや)のない巨剣を背負っていた。表情は冷酷そのもので、一人ひとりが凄まじい殺気(さっき)を漂わせていた。


 一方、霊獣山(れいじゅうざん)の人々は、派手で目立つ極彩色(ごくさいしき)の衣をまとい、体には様々な袋や革袋が山ほど付いていた。そしてその中では何か生き物が蠢(うごめ)いているらしく、他派の弟子たちはそれを見て心底(しんそこ)ぞっとした。


 化刀塢(かとうう)と天闕堡(てんけつほ)の人々は、服装こそ異なるものの、韓立の目にはようやく普通の人に見えた。黄楓谷(こうふうこく)の弟子たちと同様、ひそひそ話をしたり、緊張した表情を浮かべたりしている者が大勢いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。