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『凡人修仙伝』: 不死身を目指してただ逃げてたら、いつのまにか最強になってた  作者: 白吊带
第二卷: 煉気編一初めて世間に·血色禁地
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慕容兄弟

掌中雷しょうちゅうらい**:雷霊根の修仙者が掌から放つ基本的な雷系攻撃法術。瞬発力と破壊力に優れる。


**天雷連環撃てんらいれんかんげき**:複数の連続雷撃を呼び起こす中級雷系法術。法力消費が激しいが、持続的な攻撃力が高い。


**風霊根ふうれいこん**:風属性の異霊根。移動速度や法術の射程・速射性に優れる特性を持つ。


**法器ほうき**:修仙者が霊力で操る特殊な道具や武器。攻撃・防御・補助など様々な効果を持つ。


**法力ほうりき**:修仙者が体内に蓄え、行使する超自然的なエネルギー。霊気れいき煉化れんかして得る。


**連環雷術れんかんらいじゅつ**:複数の雷撃を連続で繰り出す法術の総称。威力と範囲は術式によって異なる。


**雲散霧消うんさんむしょう**:雲や霧が消え去る様子。比喩的に、物事が跡形もなく消え去ること。



韓立は岳麓殿がくろくでんを出ると、二人の赤衣せきいの人物に別れを告げ、法器ほうきを駆って百薬園ひゃくやくえんへ向かって飛んだ。


空中で、韓立は築基丹ちくきたん煉製れんせいのことを考えながら、足下に広がる連なる丘をぼんやりと眺めていた。突然、下からゴロゴロという轟音ごうおんが響き渡り、彼は驚いて思わず目を凝らした。


見ると、下の小さな山の一つで、稲妻いなずまのような雷光らいこうが走り、かすかに多くの歓声も聞こえてくる。韓立の好奇心が大いに刺激され、思わず法器を降ろし、音のする場所の近くに着地すると、自ら近づいていった。


慕容ぼよう兄弟、もう一つ見せてくれよ!」

「そうだよ、こんな近くで雷の形を見るのは初めてだ、すごく怖い!」

「……」

頂上に近づくと、韓立は前方から聞こえる騒がしい声を聞いた。そしてその「慕容兄弟」という呼び名に、心が動いた。


「入門したばかりの雷霊根らいれいこんの天才兄弟は、確かに慕容姓だったはずだ!さっきの大音響も、まさかこの注目の兄弟がここで腕を振るっていたのか?」


その時、彼は山頂に三、四十名ほどの年齢様々な弟子たちが、ゆるやかな大きな輪を作って、中央に立つ二人の十一、二歳の少年を指さし、興奮して何かを言っているのを見た。


輪の内側の地面には、いくつか焦げた大きな穴があり、その縁は高温で溶けたようになっていて、薄い青い煙を上げていた。微風が吹くと、焦げ臭い匂いが辺り一面に漂っていた。


この光景を見て韓立は急いで近づき、少年たちをじっくりと観察した。二人は眉目秀麗びもくしゅうれいで色白、よく似た顔立ちだが、まばたきする度に目が軽やかにきらめき、とんでもなく賢そうな雰囲気だった。


周囲の注目と称賛で、二人の小さな顔は興奮して真っ赤になっていた。互いに目を合わせると、同時に印を組み呪文じゅもんを唱えた。二人の手のひらに電光が走ると、続いて細い二本の稲妻が飛び出し、近くの地面を直撃した。二度の大音響とまばゆい白光が炸裂さくれつし、新たに二つの深い穴が開いた。


「これが雷属性の掌中雷しょうちゅうらいか?威力も音響効果も、火弾術かだんじゅつ氷錐術ひょうついじゅつといった同レベルの他の法術より圧倒的に強い。破壊力最強とうたわれる雷系法術の名に恥じないな!」韓立は心の中で驚嘆し、兄弟の霊根属性を大いに羨んだ。


明らかに、場外でこの思いを抱いていたのは韓立だけではない。他の観衆たちも、ほとんどが酸っぱい眼差しで二人を見つめ、なぜ自分は天の恵みを受け、こんなに人を羨む極上の霊根を持てなかったのかと嘆いているようだった。


周囲の歓声の中で、さらに数度雷撃術らいげきじゅつを繰り出した兄弟だったが、さすがに年が年だけに、やや息切れしている様子だった。


「なんだよ!雷霊根の威力ってこんなもんか。俺の風霊根ふうれいこんの方が上だぜ!」ちょうどその時、場の雰囲気をぶち壊すような男の声が、韓立の対面の人混みから響いた。周囲の人々は思わずそちらへ視線を向けた。


そこには、青年男女が肩を並べて立っていた。男は聡明そうめいで背筋が伸び、女は花のように美しい。明らかに熱愛中のカップルだ。男は傲慢ごうまんな表情で、慕容兄弟の掌中雷をまるで眼中にないかのようだった。女は大勢に注目され、顔を赤らめ、少し恥ずかしそうな様子がさらにつややかさを添えていた。


「あの男、誰だよ?すげえ生意気だな!」

「風霊根?これも異霊根いれいこんの一種だろ!まさかこの男も異霊根なのか?」

「あの人知ってるよ、陸師兄りくしけいだ。確かに異霊根属性で、風系法術ふうけいほうじゅつはすごく強いらしいぜ!」

「たとえ彼も異霊根だとしても、なんでそんなこと言うんだ?」

嫉妬しっとかもな!だって以前は下級弟子の中で異霊根は彼一人だけだったのに、今突然二人もそれ以上の資質の奴らが現れたんだ。そりゃあ面白くないだろ!」

「え?そんなに小心眼しょうしんがんなのかよ?」

「シー!静かにしろよ。聞かれたらまずい。あの人、すごく根に持つタイプで、目をつけられたら厄介やっかいなんだから!」

……


この青年の登場で、周囲の人々はみな互いに顔を寄せ合い、ひそひそと噂し合った。どうやらこの人物の人望はかなり悪いようだ。


「ふん!小僧ども、本物の異霊根がどんなものか、見せてやろうか!」青年は皆が自分についてそんな風に噂しているのを見て、顔を曇らせると、数歩進んで輪の中へ入った。そして高慢こうまんに言い放った。

「お前たち二人、好きなだけ雷系法術で攻撃してみろ。もし俺が一歩でも避けたら、お前たち小僧に土下座どげざして謝ってやる!」


慕容兄弟はこの陸師兄が無遠慮ぶえんりょにも、理由もなく自分たち二人を見下す態度に、小さな顔を真っ青にして怒った。

「避けない?」

「もちろんだ」

「法器も使わない?」

「構わん」

兄弟はさすがに双子、一人一言ずつで自分たちに有利な条件を固めてしまった。青年もまた、尊大そんだいで二人を全く眼中にない様子で、相手の条件に全く異議を唱えなかった。

「よし、それでは我ら兄弟、師兄にお会いします!」少年たちは怒りを込めて声を揃えた。

「陸師兄、そんなことして大丈夫なの?」青年の女伴おんなばらは心配そうだった。

「へへっ!小僧二人相手に何を心配するんだ、陳师妹ちんしてい、心配ご無用だ!」青年は気にしないように手を振り、大げさな身振りで慕容兄弟の正面に立った。


少年二人は目を見合わせると、突然互いに寄り添い、それぞれ片手を差し出してしっかりと握り合った。そしてもう一方の手を空に向け、全く同じ呪文を同時に唱え始めた!


青年はこれを見て冷たく笑い、さっさと防御法術を自身にかけた。彼の周囲に青い光の障壁が即座に現れ、彼をがっちりと包み込んだ。


天雷連環撃てんらいれんかんげき!」

双子の呪文がついに終わると、指を青年の頭上へと向け直した。すると、その真上に丈余じょうよほどの大きさの黒雲が現れ、雲の中を白光が走ったかと思うと、指ほどの太さの稲妻が落下し、青い障壁に直撃した。障壁は激しく揺らぎ、青年の顔色が一変した。明らかに稲妻の威力が彼の予想を超えていたのだ。


しかし、この一撃はほんの始まりに過ぎなかった。空中に浮かぶその黒雲から、「ビリビリッ!」と、同じ雷撃が次々と落ちてきて、障壁を打ち続けた。障壁は明滅めいめつし、色は薄れ、今にも砕け散りそうな瀬戸際せとぎわに立たされた。


青年の表情は険しくなった。突然、両手で目にも留まらぬ早さで印を組み、低くうなり声をあげると、両手を障壁の光壁に押し当てた。すると障壁は突如、青い光を放ち、元の状態に戻ったばかりか、最初よりもさらに厚く濃密のうみつになったようだった。


慕容兄弟も当然、得た優位を手放すつもりはなかった。彼らもまた空中に様々な法決ほうけつを打ち込み、黒雲を拡大させた。直径は数丈にもなり、落下する雷はより太く、より頻繁になった。


兄弟の手厳しい攻勢こうせいに、陸師兄は驚きと怒りが入り混じり、まったく手も足も出なかった。彼は万が一にも、相手がこんなに幼くして低級中階の連環雷術れんかんらいじゅつを習得しているとは思わず、一時的に反撃の術を繰り出す余裕すらなく、大勢の前で丸々恥をかかされたのだった。


こうして、一方では少年たちが必死に黒雲を維持し雷撃を続け、もう一方では青年が苦しみながら防御法術を施し、青い障壁を絶えず補強ほきょうする。この勝負は予想外の持久戦じきゅうせんへと変わっていった。


一般的に、一方が攻撃、一方が防御の場合、攻撃側が大きく有利で、防御側よりずっと法力ほうりきを節約できる。しかし、攻撃側である慕容兄弟は、まず先ほどのデモンストレーションでかなりの法力を使い、元々十分ではなかった。さらに、陸姓の青年は年齢がずっと上で、法力の純度と量は入門したばかりの彼らとは比べ物にならず、消耗戦しょうもうせんになればどうしても劣勢れっせいだった。


こうして衆人環視しゅうじんかんしの中で、黒雲は最後の数発の雷撃を放つと、雲散霧消うんさんむしょうし、晴れ渡った空に戻った。法力を使い果たした少年たちが、先に雷撃を止めざるを得なかったのだ。


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