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3/3

第3話 騙される方が悪いんだわwww 欠陥装備で詰んだ連中を眺めるのは最高にメシウマ!!!

場所はS駅ダンジョンの森林エリアを、約半分程度攻略した段階。

俺たちは野営地から出て歩くと、ほどなくして豚異人の棲むという土地に足を踏み入れる。

辺り一帯はオークが管理する場所らしいから魔物自体が少ないみたいで、周囲の落ちたアイテムや素材を採取しながら探索をしていると、目の前にはランクE探索者には荷が重い大型魔物、オーク・ソルジャーが3体で陣形を組んでいた。

腐敗した死人のような緑の肌の豚鼻が特徴的な、体格に見合う剣と呼ぶのが適切なのかわからない鉄塊を持ったクリーチャーに向かって、俺におだてられて調子に乗ったサタン、茶子、次郎の三人は我先にと飛びかかっていく。


「ぎゃはは! 見てろよゴミクズ、本物の戦いをなぁ!」

「サタンさんマジかっけー! 次郎さん抱いて! 茶子さんエロ可愛くて最高!」


俺はドローンに向かってわざとらしく叫び、地面に座り込んで見守ってやった。

声を張り上げると配信のコメントも、あいつらに注目しはじめる。

だが数秒後、現場の空気が一変した。


「……あ? おい、なんだこれ。斬れねえぞ!?」


サタンが渾身の力で振った一撃はオークの分厚い肉に弾かれた。

いつもなら安物でもこの階層の魔物なら抵抗なく斬れるはずの剣は、まるでコンニャクで叩いたようにぷよぷよと力なく跳ね返る。


「え……な、なんで! 体が動かない……っ!」


次いで茶子が悲鳴を上げた。

俺が呪い武器から抽出した『一定確率で行動不能』の効果が、機能した証拠だ。

無抵抗になった瞬間オークが軽く横薙ぎに払っただけで、宙を舞って吹き飛んでいった。


「おい、おかしいだろ! 鎧が、全然機能しねぇんだけど!?」


次郎の鎧はオークの一発を受け止めたと同時に、ガラス細工みたく粉々に砕け散る。


「ヒッ、ヒィィィ! サタン、助けてくれぇ!!!」

「うるせぇんだよ! 俺だってどうすりゃいいかわからねぇんだよ! なんだよ、これ……!」


絶望に顔を歪ませる3人。

俺はその醜態を見て、ついに我慢できずに腹を抱えて爆笑してしまった。


「あははっ! 最高! マジで傑作だわぁwww」


[配信画面]

現在の同時視聴者数:232人


[チャット]

自認誠司郎:え、クズルが笑ってる!?

野獣:武器がコンニャクみたいに曲がったんだけどwww

?がらくた:これ絶対コイツの仕業だろwww

匿名:ざまぁwwwメシウマすぎwww


「ゴミクズ……何をしやがった……っ!」


地面に這いつくばるサタンが血走った目で俺を睨んだ。


「何をしたかって? 手入れしてやったんだよ、お望み通りにな。なんで俺がおまえらみたいなカスに、ペコペコ従ったと思う?」

「……これが目的だったのかよっ」

「ご名答! 武器も、防具も、お前らの信頼も……全部バラして谷底に落とすために決まってんだろが、バーカw」


俺はゆっくりと立ち上がり、ドローンを3人の絶望した表情のアップに固定させた。


「見ろよ、同接がうなぎ登りだ。俺だけじゃねぇ、おまえらが苦しむ姿を楽しみにしてる養分だらけだw他人の不幸は蜜の味ってな。ま、死なねぇようにせいぜい足掻けよw」


俺が背を向けて立ち去ろうとした瞬間、状況を静観していたオーク・ソルジャーの1体が、苛立ちに任せて俺の背中を強襲した。


「あ、危ない! ゴミクズ、後ろ!」


茶子が反射的に甲高い声を出した。

だが俺への心配からではない。

俺までやられたら自分たちを助ける人間がいなくなるという、浅ましい生存本能がそう叫ばせたのだ。


「……チッ、うるせえな」


俺は振り返りもせず、腰に差した強化済みの深紅の魔剣を抜いた。

この剣は高い攻撃性能と引き換えに『防御率低下(0.8倍)』のデメリットを持つ呪い武器。

だがそのリスクは次郎の防具へ移し、代わりに見せびらかしていた呪の槌から『痛恨の呪力』(攻撃力1.2倍)の効果だけを付与させた。

つまり3人の装備から抽出した攻撃特化のの性質が凝縮された、この階層では本来存在しない強力な武器を作り上げたのだ。

これはいわば簒奪者の魔剣、いずれネットの世界で名を轟かす三田ツズルならぬ簒奪ズル様の象徴となる武器だ。

振り向きざまに一閃。

たった一振りでオークの胴体は真っ二つに裂けていく。

血が四散したのと時を同じく、魔物の核となっていた妖しい輝きを放つ魔石が散乱した。


「……マジかよ!? たった一発で……」


呆然とするサタンたちを俺は見下ろして


「じゃあな。魔物に食われるか、自力で這い上がるか……せいぜい配信を盛り上げてくれよw」

「待て、楠人! 行くな、助けてくれ!!! おまえがいりゃもっと深い階層に潜れる! 取り分だって増やしてやるから!」


背後から聞こえる無様な命乞いをBGM代わりに、俺は闇の中に消えていった。

おまえらがやったことを、そっくりそのままやり返した。

恨み言なら横暴に振る舞った過去の自分に対して言ってくれ。


「ざまぁwwwスッキリしたわ」


悪縁を断ち切った俺の不労所得ハーレムライフを目指す物語は、ここから始まるのだ。

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