第3話:ビギナーズ大礼包(たいれいほう)
「やったぞ!」
俺は歓喜の声を上げながら、両手を高く突き上げた。
パネルのポイント欄には、はっきりと「300」の数字が表示されている。
[概ねその通りです。ユーザーが物資を収集し、メインシステムが回収・判定を行ってポイントを還元します。ユーザーはそのポイントで商品を購入する、というサイクルです]
パネルが再度浮かび上がり、俺の行動を肯定した。
「よし! この調子でどんどん行くぞ!」
興奮で血が沸き立つようだ。
そこへ、また一羽の怪鳥が突っ込んできた。さっきの個体の番だろうか。
「キャプチャー!」
半透明の触手が再び出現する。
怪鳥を捕らえると、緑色の光が走り、両者は空気の中に消えていった。
[捕獲:クレイジー・フェザント×1、300ポイント獲得]
「ナイス!」
俺は意気揚々と怪鳥の巣へ駆け戻り、そこにあった卵をすべてメインシステムへと転送した。
[捕獲:クレイジー・フェザントの卵×7、210ポイント獲得]
鶏は群れで動く動物だ。ここに一対いたのなら、近くにもっといるはずだ。
俺は顔を上げ、あたりを見渡した。
案の定、少し離れた草むらに、さらなる怪鳥たちの姿があった。
俺は迷わず、彼女たちに向かって突き進んだ。
「キャプチャー!」
「キャプチャー!」
「キャプチャー!」……
一通りの交戦を終え、さらに八羽の怪鳥と40個以上の卵を捕獲した。合計で3050ポイントだ。
だが、詳しく計算してみると、どうも数字が合わない気がする。
俺は疑問を投げかけた。
「メインシステム、金額が間違ってないか? 獲得ポイントはもっと多いはずだろ?」
システムは即座に回答をよこした。
[解:初回捕獲の獲物は、システムが原価で還元します。以降、同種の獲物を捕獲した場合、還元ポイントは継続的に減少します]
[ユーザーが雄雌を揃えるか、あるいは獲物の品質が極めて高い場合に限り、多くのポイントが還元されます。積極的に世界を探索し、新種を提出することを推奨します]
「そういうことか……」
高品質な獲物が高く売れるのは理解できる。
だが、雄雌を揃える……?
……なんだか裏がありそうな話だ。
「……考えるのはやめだ! 喉が渇いた、まずは水を買おう!」
激しい戦闘を繰り越したせいで、全身汗だくだ。プール一杯分でも飲み干せそうなほど渇いている。
俺は慌ててメニューを開き、ミネラルウォーターを購入した。
[ユーザーが商品を購入しました:ミネラルウォーター 600ml。10ポイント、決済完了]
キャップをひねり、ボトルの半分を一気に煽る。
「ぷはぁ! 生き返る!」
味は元の世界のものと同じだ。
なんというか……安心する味がした。
その時、パネルに突然通知が飛び込んできた。
[告知:当該ユーザーは目覚めから一時間以内に、すべての初心者ミッション(システム起動、冷蔵庫の開閉、カスタマーサポートの利用、メニュー閲覧、商品購入、および10回の捕獲行動)を完了しました。積極的な行動により、女神様へ自身の決意を証明しました。本システムは『ビギナーズ大礼包』をアンロックします。有効に活用してください!]
「ビギナーズ大礼包(初心者ギフトセット)?!」
俺の目が一瞬で輝いた。
急いでパネルを操作し、右下の「バッグ」欄を確認すると、ギフトボックスのアイコンが出現していた。
迷わずクリックする。
画面に説明が表示された。
[ビギナーズ大礼包は二つのモードから選択可能です。
A箱:ランダムで有料商品20個を付与。範囲は一星〜二星。
B箱:ランダムで有料商品9個を付与。範囲は一星〜二星。加えて特殊商品1個を付与。範囲は三星〜四星]
「AかBか……」
つまり、前者は「量」、後者は「質」に強みがあるわけだ。
さっきメニューを見た限りでは、商品が高価になればなるほど、その効果は常軌を逸していく。
B箱はもらえる総数が10個少ないが、この「特殊商品」1個の価値が、一気に戦況をひっくり返す可能性を秘めている。
どうする……。
どっちを選ぶべきだ?
「……メインシステム、B箱の特殊商品にはどんなものがあるか教えてくれないか?」
[解:ユーザー自身でメニューを確認してください]
「……」
範囲も教えずに選べってことかよ……。
仕方がなくメニューを開き、三星と四星の商品ページを探す。
「うわ……多いな……」
ざっと数えても100種類以上はある。範囲が広すぎる。
……おや?
これは何だ?
「この『瑤池仙姫の缶詰』ってのは何だ?」
不可解に思って尋ねてみた。
[解:これは缶詰類の商品です。中には一本の杏の種が封印されており、肥沃な土壌に植えて清らかな水を与えれば、十年後、その杏の木は歌い踊り、音律に精通した仙女へと変化します]
「……」
妙だな、急に饒舌じゃないか。
さっきは権限不足で詳細は教えられないと言っていたはずだ。
もしかして……B箱の特殊商品の中に、この「瑤池仙姫の缶詰」が入っているのか?
うん、可能性は高い!
歌って踊れる仙女か……。
これこそ正真正銘のSSR(最高レア)じゃないか!
なら、迷うことなんてない。
ガチャを回すまでだ!
俺は興奮気味に右側のB箱ボタンを押した。「十年待つ」という事実は、完全に思考から除外されていた。
パネルに抽選画面が流れ出す。
[獲得:爆破缶詰×1]
[獲得:聖なるミネラルウォーター×1]……
道中の景品なんてどうでもいい。俺が見ているのはメインディッシュだけだ。
SSRをよこせ!
九回目まで過ぎたが、目を引くものは一つもなかった。
そして、十回目の画面が表示される。
目に飛び込んできたのは、眩いばかりの黄金の光だ。
「こ、これは?!」
その瞬間、長年のガチャ生活で鍛えられた直感が告げた――勝った。
ついに俺にも彼女が……ゲフン!
冒険のパートナーができるんだ!
しかし、運命の女神は俺を裏切った。
[おめでとうございます! 武神のちまき(三星)が当選しました! 食用後、肉体は強化され、轅門で戟を射抜くことも、長坂坡を縦横無盡に駆け抜けることも造作なくなります!]
「ふざけるなあああ!!!」
俺の怒号が森に響き渡った。
無数の鳥たちが驚いて空へ飛び立ち、パニックを起こして鳴き喚く。
もし目の前にテーブルがあったら、間違いなく宇宙の果てまでちゃぶ台返しを決めていたところだ。
なんてクソガチャだ!
俺が欲しかったのはしなやかな仙女で、筋肉モリモリの豪傑じゃないんだよ!!!
こうして、異世界での最初の一日は幕を閉じた。
いろいろと予想外のことは起きたが、結論から言えば……。
あのちまき、めちゃくちゃ美味かった!!!




