表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/69

第40話「お~ い!! 衛兵さ~ん!! こっちで~す!!」

……よし! 考えはまとまったぞ!


大きく頷いたロジェは、面白そうに笑い、歩みを速めた。


待ち伏せている敵の所在地までは後3㎞……


そろそろ視認が可能な距離になる。


奴らからは、俺の姿を確認する事は不可能で、

ただじっと目をこらし、『獲物』が来るのを待っているに違いない。


そうこうしているうちに、奴らの姿が見えた。


街道沿いの岩陰、そして藪などあちこちに身を潜めている。


でも皆、すっげえ下手くそな隠れ方だ。


さあ、敵の分析、分析。


3人が、街道へ出たり入ったりしている。


そして、きょろきょろこちらを見ている。


3㎞先から視認し、偵察するロジェには到底及ばないが、

賊の仲間内で極力視力が良い者を選び、

見張り&偵察任務につかせているのであろう。


こいつらが『獲物』が来るのを待つ見張り役……


少なくとも見張り役だけは……弓矢、ボウガンなど飛び道具は持っていない。


まあ、隠れている奴が持っているかもしれないが、

30人の中に攻撃魔法を放てる魔法使いは居ないようだし、

どうせ、弓矢を持っていたとしても、矢を放つまでには若干のタイムラグがある。


狙いを定めるだけでも、俺は気配で感知してしまうし。

だから、矢で攻撃される前に速攻で対処してしまえば良い。


少しストレッチでもしておくか……


ロジェは手足を動かし、身体をほぐす。


よし! スタンバイOKだ。


頷いたロジェは、何も気づいていないふりをし、

たったったっと、ジョギングレベルで待ち受ける賊どもへ向かい駆けて行く。


待ち受ける3人の見張りが、自分達へ近づくロジェを見つけたらしい。


見張り全員が、手を大きく振り回している。


多分これは合図であり、

隠れている奴らに「獲物が来た」とジェスチャー込みで伝えたのだろう。


見張り役は3人全員、走るロジェへ近づいて来た。


対してロジェは、「初めて気が付いた」というリアクションで止まった。


見張り達が声を張り上げる。


「おい、ガキ! 武器を捨てろや!」


「有り金、荷物全てこちらへ渡して貰おうか!」


「抵抗したら、容赦なくぶっ殺す!」


……どこかで聞いたようなお約束のテンプレコメントのオンパレードだ。


対してロジェは大人しく言う事を聞く……わけがない。


「もしかして、あんたら強盗ですか? 残念ながら要望は全てお断りしますよ」


「何い!」

「ふざけるな!」

「おめえはたったひとりだろ? 俺ら3人に抵抗出来るわけがねえ!」


ムッとしたり、激高する賊ども。


「いえいえ、全然ふざけていないし、おっしゃる通りひとりですけど、抵抗はやってみないと分らんでしょ?」


そんなロジェの言葉を聞き、見張り3人は大笑い。


「はっはっはあ! 笑わせやがる!」

「いつまでそんな余裕こいてられっかな?」

「世間知らずのガキは困ったもんだよ!」


見張りの3人は再び手を大きく打ち振った。


すると残り27人の賊がばらばらばらっと現れ、

全員で街道に立ちふさがったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


仲間が全員出て来たのを見て、見張り役3人は勝ち誇ったどや顔。


その27人の中から、ひと際たくましい、まっちょな荒くれ男が進み出る。


どうやら、コイツがボスのようだ。


少し、かぎ爪団のボスに似ているなあと、ロジェは思い出し笑いしてしまう。


そんなロジェを見て、ボスは吠える。


「おい! 何が可笑しいんだ、このクソガキ!」


「はあ」


「こいつらから聞いたろ? 武器を捨て、有り金、荷物全てこちらへ渡せ。抵抗したら、容赦なくぶっ殺すぞ」


既視感(デジャヴュ)が半端ない。

セリフが殆ど同じのテンプレである。


ならば、こちらもテンプレコメントで反撃だ。


「そうですか……だが、当然、断るっす!」


「何い! 当然断る? クソガキがあ! 容赦なく、ぶっ殺されたいようだな!」


強盗ボスは短気らしい。


ロジェの『お断り』を『挑発』だと受け止めたようだ。


しゃきいいん!とさやから剣を抜き放った。


ボスの抜剣を見て、配下達もしゅらっ、しゅらっ、と次々に剣を抜き放った。


「これで、完全に正当防衛っすね」


ロジェはそう言うと、いきなり生活魔法『洗濯物を乾かす風』を強めにし、

ボスへ放つ。


どしゅ!


重い音を立てた空気の塊がボスに命中!


全く予想外の攻撃を腹に受けたボスは無様な格好で、あおむけに倒れた。


「おわあ!」


情けない悲鳴をあげ、倒れたボスを見て、賊どもは大混乱。


と、同時にロジェはダッシュ!


更には華麗にステップを踏み、慌てふためく賊どものど真ん中を

「するするっ」と避けつつすり抜け、突っ切って走る。


そして100mほど離れると、賊どもに背を向けたまま、振り返って見て、


「ざまあ! お尻ぺんぺ~ん!」


と叫び、べ~と舌を出し、自身の尻を「ぽんぽん」と数回叩いた。


まさに、これぞ最高の挑発!


当然、賊どもは怒っていきり立つ。


中でも激おこ状態なのは、不意をつかれ、ひっくり返ったボスである。


配下達に手伝って貰い、ようやく立ち上がったボスは、


「このやろ~!! ぜって~、ぶっ殺してやるうう!!」 


と顔を真っ赤にして絶叫した。


「ここまでおいで~!」


ロジェは再びお尻をぺんぺん。


これで賊は配下以下、完全に挑発に乗り、バーサーカー状態となった。


補足しよう。

バーサーカーとは、「怒り狂う」と言う意味もあり、

ここでは我を忘れるくらい暴力状態に陥る事である。


下手をすれば敵味方の区別なく戦う事もあるらしいが。


しかし、賊どもはそこまで自分を見失ってはいないようだ。


「あのクソガキを捕まえろ~!! ぎったぎたにしちまえ~!!」


ボスの命令で、賊どもは怒りを全てロジェへ向け、

追跡を始めたから。


ロジェは、そのまま余裕をもって目的地の村へ走り、ときたま立ち止まり、

お尻をぺんぺん。


これがロジェの仕掛けた罠。


こうやって賊どもの火のような怒りへ油をガンガン注ぎ、

ロジェへ執着させたのである。


結果、完全に型にはまった賊どもは、愚かにも村の目前まで追跡。


「お~い!! 衛兵さ~ん!! こっちで~す!!」


手をぶんぶん打ち振り、助けを求めるロジェの大声に応え、

急ぎ現れた村の衛兵は総員100人。


こうして……ロジェを襲った賊どもは、3倍以上の衛兵達にぐるりと囲まれ、

あっさりと捕縛されてしまったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、


⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中!》


⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》

⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ