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戦闘! 戦闘終了! 解散!

 剣を構えると自分が元Bランクパーティ所属だという事を思い出す。なるほどジョシュアの言う通り、今までの僕は力が足りなかったかもしれない。だが今は必要なものが全てある。


「おらあ!」


 相手が状況把握に頭を働かせている隙をつき、まずでかいハイオークの懐に潜り込む。そのままの勢いで剣を振るうと巨木のようにどっしりとしたその胴体が一気に両断される。


「まず一匹目!」


 突然の事態から突然の事態。仲間がやられたにも関わらず周りのモンスターはいまだに反応できていない。隙に隙を畳みかけるつもりでポイズンワームに一瞬で肉薄し、心臓の位置を深く貫いて絶命させる。


「二匹目! うおおお!」


 それから更に敵が呆然としている隙をついてワーグを両断。その隣にいたもう二匹のワーグも一振りで両断。まだ敵が反応できていないので地面を蹴って包囲の反対側にいたサイクロプスの目を潰す。更にその隙をついてそばにいたトロールメイジの


「七匹目……いやちょっと待て、なんだこれ?」


 隙だ隙だとさも戦法の上で優位に立っているように振る舞ってきたが、戦闘の最中でこんな永遠のような隙が作り出せるものではない。


 攻撃の手を止めてすっと棒立ちしてみる。モンスター達は僕めがけて半狂乱で攻めてくる。


 そこからまた適当なモンスターに肉薄し両断するのを繰り返す。モンスターは僕に触れる事すらできない。隙があってもなくてもモンスターは僕に反応なんてできていない。


 もう全ては明らかだ。戦い方なんて関係無い。ただ僕が速過ぎるだけなのである。


「えっと……20匹目……」


 気付けば隙という概念を完全に放り投げ、ただ敵に近づいては斬るという雑なローテーションに移行していた。そして特にそれで困るという事もない。力任せ速さ任せでただ敵を倒す。


「戦闘って……こんなのだっけ? なんか思ってたのと違う……」


 モンスターに近寄る。剣を振る。モンスターが死ぬ。


 反応もできないモンスター相手にただ剣を振るだけの単純作業だ。能力差があり過ぎて僕の側には何の技術も必要とされていない。技術というのは弱さの中にあって生まれるものである事を知る。


 気付けばモンスターももはや僕に近づこうとさえしない。武器だけは構えつつただ怯えたように距離を取るのみである。僕の方ももう完全に戦う気を無くして、剣を持つ手をぶらりと下げている。


「とにかく強さは解ったし、もうさっさと下りるかな……」


 来たのと反対側を見て地面を蹴ろうとする。もうここに用はない。そもそも山の上に魔物がいたからもののついでに戦っていただけなのだ。


 だがその途端、辺り一面が巨大な影で覆われる。先程まで無風だった山頂に強風が吹き荒れ、モンスター達が目に見えて取り乱しだす。ほんの一瞬だけ、急に大きな雲に覆われて天気が変わったのかと、そんな事を思って僕は上を見上げた。


 そこには爬虫類めいた皮膚を持つ、超巨大なモンスターが浮いていた。ウロコの一枚一枚がその場のどんなモンスターよりもでかい。頭一つで小さな町一つに匹敵するのではないかというインパクトを放つ、空に浮かぶ島のような魔物。


 有体に言えば、それは計り知れない大きさを持つドラゴンだった。いや、より正確に言えばドラゴンという種族の中でも特に最上級の格を持つ……。


「ワイアーム!」


 およそ見た事もないほどの規格外のモンスターが目の前に降り立った。その島のような巨体が着地したとは思えないほどのまったくの無振動で、その竜は山の上に覆いかぶさっている。


 その瞳は数多のモンスターを残らす捉えていた。当然、その中で戦っていたちっぽけな一人の人間の事も。

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