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私が彼女と出会ったのは、小学生六年生の頃。
両親は不仲で、四つ下の妹と毎晩怯えていた。
私たちに危害を加えられるなんてことはなかってけど、
それでも辛かった。笑えなかった。
そんなとき。
登下校は妹と一緒だった。
私はものすごく暗いから友達なんかいなくて、
反対に妹は気が強すぎて友達がいなかったからだ。
その日は少し遠回りして帰っていた。
隣の小学校の校区内に足を延ばしていた。
妹は疲れたと言って拗ねていたけど、
私は馴染みのない景色にドキドキしていた。
目の前には、田んぼ。
その真正面、つまり私の真後ろには来年から
通うであろう、公立中学校が建っている。
来年は中学生か。
友達は…、期待しないほうがいいか…。
少しだけ落ち込んでいると、妹が
私のランドセルをけり上げた。
そういえば疲れたと言っていたな。
その弾みで、ランドセルにつけていた
ストラップが取れてしまった。
ストラップは私が昔ビーズで作ったもので、
妹も同じものを付けている。
妹は悪い事をした認識があるんだろうか、
バツが悪そうに俯いていた。
ビーズが道に散らばっている。
少し億劫だけど、拾わなきゃな。
屈んだ。
「どうしたの?大丈夫?」
影が落ちてきて、頭上で女の子の声がした。
顔を上げると、隣の小学校の制服を着た垂れ目の女の子と、
どこかその子に似ている男の子がいた。
「あ、あ、いえ…。何にもないです…」
「ん?隣の小学校の制服、だよねー?」
「あ、はい…」
彼女はニコ―ッと笑った。
ふと後ろに立っている男の子を見た。
無表情だった。
と、思ったら、泣きだしていた妹を
なだめていてくれてた。
「あなた、ビーズ、拾ってたの?」
「え、あぁ…、はい…」
「なら手伝うよー!私ね、リッカっていうの!」
リッカちゃんか、少し変わった名前だなぁ。
「あなたの名前は?」
「葉摘、吉川葉摘、です…」
「じゃあ葉摘って呼ぶね。私のことはリッカって呼んで!」
リッカちゃんは、ひまわりみたいに明るい笑顔を向けてきた。
可愛いな。
素直に憧れてしまった。
さっさとビーズを拾い、リッカちゃんは柔らかい手にビーズをいっぱいに詰め込んでいた。
「これで全部、かなぁ?」
「え、あ、うん。大体揃って、ます…」
「そっかそっか!良かったぁ」
スカートを軽く整え立ち上がる。
私より背が小さいんだって、初めて気付いた。
「私ね、来年からそこの中学に通うんだよ。葉摘は?」
「い、一緒…!そこの中学…!」
「なら、来年会えるんだね!楽しみ!」
そうして、彼女は手を振った。
私もつられて手を振り返した。
妹は小さく「ごめんなさい」と言った。
私は妹と手をつないで帰った。




