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手負いの獣




「獣の神ラアタージュ?」

「あぁ、獣人ならば、等しくラアタージュ様の恩恵を受けておる」

「…………」

「……どうした? リヴィエ殿?」

「……いや、どこからツッコめばいいのか今考えてる」


 ツッコミが追いつかない。頭が痛いわ。


「ツッコむ?」

「……まず、殿下は自身の加護を軽々しく他人に漏らすべきではありません」

「リヴィエ殿は他人ではない、味方だ」

「……そこですよ、最初にツッコミたいのは。無条件信頼は味方でもまずいです」

「だがリヴィエ殿は味方だ。信用できる」

「……返答になってませんわね。……まさかとは思いますけど、討伐隊の全員に、一通り教えたんじゃ……」


 フェロア殿下? それは流石に正気を疑いますわよ?


「それはありえぬ。教えるのは、獣人が認める味方のみ」

「……ホッとしたような、複雑な心境ですわね。……それで、加護の効果だけど」

「うむ。至極単純。ラアタージュ様が与えた加護は窮地に陥れば陥るほど、強くなる」

「……それだけ? シンプルですね」

「ああ。だが、強い」

「……強い? ……んー……効果はシンプルだから、強い――ん? いや……そうか。なるほど、強い……のか?」


 最初聞いた時はイマイチ実感なかったけど、よくよく考えたら――


「――殿下は、”窮地に陥れば陥るほど、強くなる”と言いました?」

「無論。そうだ」

「まさかとは思いますけど、際限なく……?」

「ハッハッハ。際限なく――までは行かぬ。だが、数倍――大抵の相手をねじ伏せられるようには、なる」






 カラクリは簡単だ。

 目の前のピンチに比例し、力が増えていく。

 身体能力、運動能力、五感、全て。


 傷を負えば負うほど、体は頑強になる。

 追い詰められれば、逆に相手を追い詰める。


 手負いの獣とはよく言ったものだ。 

 また、加護の特性上、単身の戦闘で最大の効果を発揮するだろう。


 ただでさえ、獣人は身体能力優れているのに。

 本気を出せば、A級魔獣を軽々と凌駕するだろう。……今のように、ね。

 



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