表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/103

デタラメな攻撃




「危なかったわ……」


 まさに危機一髪だった。

 私はガーディアンの体にしがみつきながら、先まで立っていた場所を見つめる。


 そこには――でかいクレーターができていた。


 つい数秒前まで生い茂っていた緑が一瞬でなくなり、ジュージューと溶解している音が聞こえてくる。

 中に貯まっている大量の強酸が今にも底を侵食し続け、その深さを広げている。

 それだけにとどまらず、周囲に飛び散った強酸は、まるで自らのテリトリーを広げるかのように周辺の物体を溶かし始める。


(あの距離からブレスは届かないと考えていたが、やはりそううまくはいかないか)


 事前にいくつかの可能性を想定していたおかげで、初撃はなんとか回避できた。……後一秒遅れていたら、骨も残らず溶かされたんだろうな。


 この一週間、色々準備しといて功を奏した。


 直撃の寸前、周囲に待機していたガーディアンゴラが私に縄代わりの蔓を巻きつけ、全力で引っ張って移動させた。

 だって普通に考えて、いくら私の足が早くても、ブレスの範囲から逃げられるわけがない。


 ワイバーンの件を経験した私は、万が一の場合を考えて、対古代竜にも備えたほうがいいという結論を出した。


 具体的には、戦力になりそうなガーディアンタイプのマンドラゴラを十匹まで量産した。

 一体一体がトロール並みの力を持っており、マンドラゴラ精神ネットワークによる連携で大抵のことは対応可能、そして普段の警備も兼ねて盆地のあちこちに配置している。


 他にも死角をなくすように、最初の子達の何匹かを砕いてから加護で再生し、総数二百匹以上まで増やした。

 あらゆる角度、色んなとこから敵の姿を捉え、監視する二百匹のマンドラゴラからは逃れられない。

 精神ネットワークという特性上、瞬時に情報は共有され、マンドラゴラの演算能力によって最善の行動が導き出される。

 

 さあ、これできっと大丈夫――なんてことはなかった。


(何よ、あの攻撃。ふざけてるとしか思えない)


 射程、威力、速度。

 その全てが私の想定を上回っている。

 幸い最悪の状況を想定し、回避だけは全部振りした。……それでもギリギリだった。


(神殿時代にバケモンを間近で見たおかげで、なんとか初撃は躱せた。……アイツ基準で良かった)


 もっとも、マンドラゴラの演算能力と修正能力がどんなに高くても、見たことない攻撃は躱しようがない。


 私はガーディアンゴラの背中に乗りながら、ブレスを放ってから上空に飛び上がり、また旋回をし始める古代龍を睨みつける。


 ――襲って、こない。相変わらず私を見つめている気がするが、なぜか追撃してこない。


「……ん? 何? 先のブレスの分析が完了した?……『威力と範囲、射程から算出した結果、最大射程は五キロにも及ぶ』……冗談、だよね?」


 マンドラゴラの分析を聞いて、苦笑を浮かべる。

 冗談であってほしい。

 つまり何か? 私が五キロ先にいても、問答無用狙い撃ちされるってわけ?


「……まずいわね。どう思う? え? いくつかの仮説を立ててみた?……連発できない? それ、私もそう思ってるとこよ」


 違いがあるとすれば、私のは願望、この子達のは分析。

 あんなデタラメ攻撃、連発できてたまるか。


 恨みを込めた視線で見上げると――


「しかし、本当に襲って来ない……ん?……気の所為かな? アイツ、でかくなってない?……え? ポイントR1マンドラゴラより、ターゲットがポイントR3、R10を通過?……まもなくR19?要は、すごいスピードで迫ってきているってことねッ! 走りなさい!」


 考える暇はない。

 ガーディアンゴラを叩き、走らせる。


 ズドン。

 三メートル以上の巨体が、外見からはとても想像できない俊敏さで――飛んだ。





 ――景色が後ろへ後ろへと流れていく。


 私を抱えながら、ガーディアンゴラはジャングルの中を疾走する。


 髪が風に引っ張られて、乱れる。

 その隙間から、背後をちらっと見る。


(――近っ)


 まだ十分距離あるはずなのに、奴からのプレッシャーをひしひしと感じる。

 翼を広げた黒龍は、世界樹の枝の間を縫うようにすり抜け、着実に距離を縮めている。

 琥珀色の目は獲物――私を逃さんと捉え続けている


 このままでは追いつかれる――。


 その時。

 肩に捕まっているマンドラゴラが慌てて私を叩いた。


 それが合図。

 ブレスが、来る。


「―――避け、」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ