神社での出会い。
おばけ屋敷の出口は小屋の裏側だった。手口のすぐ前に数段の石段がある。
「行ってみよっか。」
初めてのキスを終え、少しバツが悪そうな顔で慎也がいった。優奈ははにかむような笑みを浮かべて頷く。石段を上がると、そこはこの古びた集落には似付かわしくない小さな神社だった。綺麗に小さな石が敷き詰められていて、恐いぐらいに静まり返っている。誰もいないようだった。
「せっかくだからお参りしてこっか。」
慎也はそういうと優奈の手を引っ張った。
「何、お願いしたんですか?」
手を合わせたあと、優奈が少し上目遣いに慎也を見る。
「えー・・これからもずっと優奈ちゃんと一緒にいられますように・・かな?」
そういってから慎也は照れ臭そうに笑った。優奈の頬がポッと赤くなる。普段は絶対そんなこといわない慎也だから余計に嬉しかった。その時、社の後ろから真っ白な着物を着た老人が出てきた。髭も髪も眉毛も真っ白で険しい表情をしている。優奈と慎也が突然のことに躊躇していると、地下からはい上がってくるような声で
「決して後ろを振り返ってはならぬぞ。」
といった。
「・・え?」
慎也が思わず聞き返す。しかし老人は背中を向け、社の後ろに入ってしまった。
「何なんですかね?今の・・」
再び静寂が戻った神社の真ん中で優奈が首を傾げる。慎也もしばらく考えていたが、やかで
「これからの人生の教訓ってやつじゃねぇ?ここ、一応神社だし・・」
と笑った。
「もう行こ。」
まだ考え込んでいる優奈にそういってから、石段を下り始める。優奈も慌てて後を追い、神社を後にした。