表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/71

第21話 油断したら真っ黒――横浜ダンジョンは罠だらけ

3F。


新しい部屋に入るたび、敵と当たりやすくなってきた。

つまり――この辺りまで降りてきてるパーティがまだ少ない。


「……当たり前だけど、遭遇率上がってきたな」


「ふふん。みんなまだ上で探ってるってことよ。こっちは先に“中身”に触れてる」


ノエルが、俺の後ろでスマホを構える。


部屋を一つ開けるたびに、敵。

出てきたら、俺が剣で斬る。

ノエルは後ろで撮る――この流れが回る。


合計、六回。


だんだん敵が強くなってきた気がする


「油断できないな」


「そうね。油断禁物だわ」

油断してそうなノエルが答える。


この階だけで、小指サイズの魔石を三個ドロップした。


その途中――小部屋で、宝箱を見つけた。


「お、宝箱」


俺が言い終わる前に、ノエルが前へ出た。


「任せて! こういうのはテンポよ!」


「待て、ノエル――」


ガチャ。


蓋が開いた瞬間。


ボンッ!!!


派手じゃない。

でも、腹にくる爆発音。

小部屋の空気が一瞬で熱に変わり、粉塵がふわっと舞った。


「……っ」


ノエルが、ゆっくり顔を上げた。


真っ黒だった。


鼻先まで。

頬まで。

前髪の先まで、うっすら煤。


「…………」


『wwwwww』

『天使、顔面煤w』

『自爆芸助かるw』


俺は息を吐いた。


「……ノエル」


「……これは違うの。罠が悪いの。私は悪くない。ふふん」


全然ふふんじゃない。


それ以降、ノエルは宝箱に自分からは近づかなくなった。


爆発で中の瓶や紙っぽいものはぐしゃっと潰れていたが――残ったものもある。


みかんサイズの魔石が一個。

それと、黄金のベルみたいなものが一つ。


「……ベル?」


「ふふん。見た目だけで価値があるやつね。たぶん」


『金ピカやべぇ』


「あとで鑑定だな」


ひとまずリュックへしまう。


そして――下への階段も見つけた。


「よし。4F行くぞ」


「おっけー」



4F。


降りた瞬間、いきなり小部屋。

そして、堂々と宝箱。


開いていない。


「……罠か。まだ誰も来てないのか」


ノエルは一歩下がって、即座に宣言した。


「それ絶対罠あるやつ!」


「だよな。でも開けないのも癪だな」


俺はノエルを奥へ下がらせて、宝箱の前にしゃがんだ。

勢い任せに開けない。待ち伏せもあるかもしれない。


呼吸を整えて――そっと、蓋を持ち上げる。


パリン。


乾いた音。


次の瞬間。


紫色の煙が、ふわっと膨らんだ。


「……毒か」


「上、上! シンゴさん毒よ!」


ノエルは見た瞬間に、上の階へ避難した。

判断が早い。早すぎる。


煙が俺を包む。


でも――俺は思い出していた。


鎧の性能。


【状態異常無効】


「……助かった」


下層の毒は命取りだ。けど――今回は、鎧が勝った。


上から、呑気な声。


「シンゴさーん。大丈夫ーー? 死んでない?」


「死んだ」


なんとなく冗談を言いたくなった。


「生きてるじゃないー♪」


ノエルがテンション高めで降りてきた。


なんだこのやり取りは。


宝箱の中身は、ちゃんと残っていた。


みかんサイズの魔石が一つ。

金貨が入った袋。

それと、本が一冊。


ノエルが急にプロの顔になる。


「はい、みんな見て。これが“新ダンジョンの当たり”よ。魔石は当然として、金貨袋は現物資産。本は……たぶん技能か魔道具の情報。持って帰る価値、ある」


『急に解説ガチw』

『天使、仕事できるじゃん』

『本が気になる』


ひとまずまとめてリュックへ。

あとでまとめて鑑定する。



4F探索を続ける。


会話しつつ、通路を曲がり、小部屋を覗き、戻って――その繰り返し。


だが、ある通路に差しかかったところで。


ドン……。


低い。

腹に響く。

衝撃が、床から伝わってくる。


ノエルの表情が変わった。


「……今の、ヤな音」


俺もすぐに、体のスイッチを切り替える。


会話を止める。

呼吸を浅くする。

足音を殺す。


次の瞬間――


通路先の木扉が、内側から爆発したみたいに吹き飛んだ。


バァン!!


木片、石片、粉塵が一気に噴き出し、

空気そのものが叩きつけられる。


その爆圧の中心から――


小柄な影が弾き出された。


石床に叩きつけられて転がり、

それでも必死に体勢を立て直す。


薄い緑がかった銀髪。

長い耳。

華奢な体。

肩口の装備が裂け、血が滲んでいる。


少女は、俺たちを見つけた瞬間――焦りと必死さが混じった声で叫んだ。


「逃げてください!!」

【フォローで更新通知が届きます】

★評価・ハート・ブックマークで応援いただけると、めちゃくちゃ励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こんばんは。 お?天使の次はエルフさん? もしかしてパーティメンバーは人間以外の種族になるのかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ