表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/66

年末会

 大きく目を見開くレクスは、屋敷の二階の窓から身を乗り出す。


「俺のも、あるな!それに、母上や父上のも……!もしかして、屋敷の人間全員分あるのか!?頑張ったなぁ!」


 歓喜と感心を露わにし、レクスは満面の笑みを浮かべた。

すると、彼の横からひょっこり顔を出す人物が。


「相変わらず、やるとなったらとことんやるよね。でも、没頭しすぎて年末会(・・・)に遅れるなんてことになったら母上が怒るよ」


 そう言って、少し呆れたような素振りを見せるのはルークだった。

プリシラはハッとしたように顔を上げて、夕日に染まった空を認識する。


「(もうこんな時間?危ない危ない)うん、分かった。直ぐに戻るね」


 屋敷の二階に居るレクスとルークに手を振り、プリシラは手元に視線を戻した。

かと思えば、まず布を鞄に仕舞う。

続いて、精霊達の姿を模した雪像に手を伸ばした。


「皆の像は預かるね」


 精霊の愛し子であることを隠すなら他人に見せない方がいいため、精霊達の雪像を全て鞄の中に仕舞う。

そして、足早に屋敷へ戻ると、プリシラは自室に少し寄ってから広間へ向かった。


(何とか間に合った)


 まだ開始前の浮き足立った広間を前に、プリシラはホッとする。

────と、ここでライアンとヘイゼルが姿を現した。

至っていつも通りの格好の二人は、広間の中央へと歩を進める。

それに合わせて、この場は少しずつ静かになった。


「レーヴェン公爵家に仕える全ての者達、今年も良き臣下として時には友として励んでくれたこと心より感謝する」


「こうして、無事に年の瀬を迎えられたのは皆のおかげよ」


 広間の中央にて、ライアンとヘイゼルは使用人や騎士に感謝の気持ちを伝えた。

ちょっと涙ぐむ面々を他所に、二人はルークからワインの入ったグラスを受け取る。


「そのお礼と言ってはなんだが、ささやかな宴会の席を設けた。今夜は無礼講だ、思う存分飲んで食べて騒いでまた来年も私達を支えてほしい─────では、乾杯!」


 ライアンは挨拶もそこそこに、グラスを高く持ち上げた。

その刹那、他の者達も『乾杯!』と復唱して同じようにグラスを掲げる。

────そこから一気に和やかな雰囲気となり、賑やかになった。


 レーヴェン公爵家の年越しは、使用人や騎士も含めた皆で食事しながらワイワイするというもの。

完全身内のパーティーで、通称年末会と呼ばれている。


「全員注目!窓から、屋敷の裏手を見てくれ!プリシラが全員分の像を作ってくれたんだ!」


 バルコニーの近くを陣取り、レクスは声を張り上げた。

こっちこっち!と手を振る彼の前で、周囲の人々は視線を動かす。


「まあ、素敵!」


「さすが、プリシラお嬢様!」


「氷室で保存したいくらいですな!」


「そうだろう、そうだろう!」


 周囲の人々から送られる賛美に、レクスは我が物顔で頷いた。

その様子を見て、呆れる面々が。


「いや、だから何で兄上が得意げなの」


「自分が褒められたときより、嬉しそうね」


『わぁー、ダダ漏れー』


『シスコンって、本当ブレないねー』


『いつになったら、妹離れするんだろうねー』


『一生無理じゃなーい?』


『『『確かにー』』』


 自分達だってプリシラ大好きなくせに、それは棚に上げる精霊達。

ふー!やれやれ!と言わんばかりに(かぶり)を振る彼らを他所に、ライアンが口を開いた。


「あんな量の雪像、一体どうやって作ったんだ?」


「新しい魔道具でね、こう────」


 身振り手振りも加えながら、プリシラは例の布について説明した。

そこにすかさず、ツッコミを入れるのはルークだ。


「性能に反して、やることがショボすぎでしょ(雪限定とはいえ、自動で色んな形を作れるならイメージ共有や道具の型作りに活用出来る。それをただの雪像作りに使うって。まあ、プリシラの才能の無駄遣いは今に始まったことじゃないけど)」


「そうかな?」


 いまいちピンと来ていない様子のプリシラに、ルークは一つ息を吐いた。


「とにかく、あまり外部の人間には見せないようにね」


「はーい」


 いつもの調子で軽く返事し、プリシラは果実水の入ったグラスを傾けた。

────その後も楽しく時間が過ぎていき、ついに新しい年を迎える。


「明けまして、おめでとう」


「今年もどうぞ、よろしく」


「いい年にしましょうね」


 あちこちから年末年始を祝う声が上がり、年末会の盛り上がりは最高潮に達する。

そんな中、プリシラも家族や精霊達にこう言った。


「皆、明けましておめでとう。今年もよろしくね」


「「『『うん・ああ・ええ』』」」


 当然だとでも言うように迷わず頷く面々に対し、プリシラは頬を緩める。


(今年もいい年になりそう)


 温かくて優しい光景を前に、プリシラは幸福を確信するのだった。

『精霊に愛された錬金術師、チートすぎてもはや無敵!?』は、これにて完結となります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


本作はあらすじにも書いた通り初の三人称視点で、最初は手探りでしたし、ずっと『これでいいんだろうか?これでいいんだろうか?』と不安になりながら書いていました。

でも、慣れるとこちらの方が書きやすいです。

少なくとも自分には合っているな、と感じます。

よっぽど不評じゃなければ、今後はこのスタイルで書いていきたいですね!


あと、初の試みと言えばここまでガッツリもの作りをメインとして書くのも初めてだった筈です。

実はもの作りの描写に苦手意識があって、ずっと避けていたんですよね。

でも、読むのは好きなのでどうにか書けるようになりたいと思い、挑戦しました。

多分かなり無茶苦茶なところもあると思いますが、どうか大目に見てくださいませ……!



さて、私個人の話はこの辺にしてそろそろ本作の裏話に移ります。


・プリシラ達も、不老不死の薬を飲む予定だった

→『ルークを一人にしたくないから!』と家族全員で不老不死になる筈でしたが、それによる影響や周囲への対策も書くとなるとストーリーのテンポが悪くなりそうだったのでボツにしました。


・当初バーラン王国の国王が、プリシラに作らせようとしていたのは不老不死の薬じゃなくて、若返りの薬だった

→ルークの過去編で不老不死の薬が登場したため、そちらに変更しました。

ある意味、若返りの薬の上位互換だし、これで良くない?と。


・プリシラの性格は初期設定だと、もっと無邪気かつ破天荒だった

→まさに精霊達(可愛いけど、ときどき物騒)を、そのまま人間にしたようなイメージでした。

でも、そうなるとプリシラがサイコパスになって暴走しそうなので軌道修正しました。


・プリシラの恋愛描写、当初は少し考えていた

→精霊達&レクスのガードが固すぎて、諦めました。

この二大勢力を納得させられるようなヒーロー(相手役)なんて、そうそう居なさそうなので。



本作の裏話は以上になります。

少しでも、『へぇー!そんな設定や話があったのか!』と面白く感じていただけたら嬉しいです。



それでは、改めまして……

本作を最後までお読みいただき、ありがとうございました!


また気が向いた時にでも、プリシラ達の物語を見に来ていただけますと幸いです┏○ペコッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
恋愛要素を無理やり入れなくてよかった(なぜか女性主人公は恋愛要素入れないとダメな傾向があってせっかくの才能無駄にしてて苦手
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ