再会
「希水~! 会いに来たよ」
日曜になり、恭一と麻人と悠と彩音は希水のいる滝を訪れた。麻人は一番に声をかけ、滝を眺めている。
「やっぱり見えないや」
麻人は残念そうな顔をした。そこへ一緒に付いてきたビハクが麻人の横に立ち、
「ニャー」
と鳴き麻人を見上げている。麻人は、そっとビハクの頭に右手を置いた。すると、麻人は左手で口を押え驚いている様子だ。すぐさま恭一と悠も、ビハクに触れた。目の前には希水がいる。
「アサ、会いたかったよ。見た目は少し違うね」
希水は麻人に向かい、嬉しそうな顔で話しかけている。
「希水は変わらないね。僕は、今は麻人っていう名前なんだ」
麻人は目の前の希水に触れたいが、ビハクから手を離してしまうと希水が見えなくなる。
「彩音さんは、ビハクに触れなくても希水が見えるんだよね」
「そうね」
「普通に希水を見られるといいのに……」
麻人は、悲しそうに訴えた。
「アサ、これを持っていると僕が見えると思うよ」
「これは、羽?」
希水は黒に近いグレーの羽を麻人に手渡した。麻人は、ビハクから手を離した。
「本当だ! 希水、見えるよ」
麻人が希水を抱きしめている。恭一と悠は、ビハクから手を離せない。
「君達にも、特別にあげる」
希水はにっこりと微笑み、恭一と悠にもグレーの羽を渡した。
「綺麗!」
悠は羽を手に取り、羽を眺めている。
「これはね、僕の羽なんだ。これを持っていると、僕と触れ合えるんだ」
「いいなぁ。私も欲しい」
彩音は羨ましそうに眺めている。
「お姉さんは羽が無くても見えるでしょ。それに、お姉さんみたいな人が羽を持つと危険だよ」
「どうして?」
「お姉さんみたいな力のある人が持つと、色んな悪い奴らが寄ってくるからね」
「分かった」
彩音は、しぶしぶ承知したようだ。恭一は、どういう意味か彩音に尋ねた。
彩音の説明によると、彩音のように霊感がある人間は普段でも霊の存在に気付くし、相手から寄ってこられもする。希水の羽を持つと、より霊の感知が高くなり霊などを寄せ付けてしまう。害のない霊も多いが、中には悪意に満ちた霊も存在し、彩音が疲弊してしまうということだ。
「なるほど。姉さんも大変だな」
恭一は、姉を不憫に思った。
「彩音さんはスゴイね」
麻人は、彩音に対して素直に敬意を表している。
「その白い猫、アサが飼っていた猫の生まれ変わりだよね」
希水はビハクを見てニコニコ顔である。
「そうなの? 光白なの?」
麻人は、まじまじとビハクを見ている。
「正確には、神社の守り神さまが猫の体を借りている感じだよね」
希水はビハクを見ながら教えてくれた。
「そういえば、お爺ちゃんが白い猫は神様の使者だって言っていたわ」
彩音が嬉しそうにビハクに向かって手を合わせ拝んでいる。
「すごーい! ビハク様って呼ばないと」
悠もビハクに向かい手を合わせた。恭一も、2人につられて手を合わせた。
その様子が可笑しかったのか、麻人と希水はケラケラと笑っていた。




