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再び祠へ

「恭一、なんだかドキドキするよね。ワクワクというか」

 日曜になり、朝早く境内の掃除をしながら彩音が恭一に言った。

「姉さんは楽しそうだな」

 

 昨日の夕方、彩音は下宿先から自宅に帰ってきた。今日は、祠と石碑を一緒に見に行く日だ。恭一も、前世での知らないことを悠に聞くのは、楽しみのような怖いような複雑な心境である。


 掃除を終え、朝食もすませ恭一と彩音は出掛けることにした。畑までは彩音が車の運転すると言い出した。


「姉さん、運転は大丈夫なの?」

「久々だけど、大丈夫でしょ。田舎道だし」


 彩音は笑っているが、恭一は姉の運転を少し疑っている。やはり心配で、祖父が畑に行くので便乗させてもらうことにした。


「もぅ、恭一は私を信用してないのね」

 と彩音は拗ねていたが、祖父も運転は久々なのでやめておくよう注意していた。


 車を少し走らせた辺りで、悠に待ってもらっている。麻人には、友達と出掛けると言って出てくるようだ。


「今日は麻人君は来ないのかな?」

 祖父が聞いてきたので、麻人は用事があるらしいと恭一は答えた。


「お爺ちゃん、私達は祠と石碑の掃除をしに行くから畑は手伝えないからね」

 と彩音が念を押していた。

 祖父は少し残念そうにしていたが、孫達とのドライブを楽しんでいるようだ。


「悠ちゃーん」

 道の脇で待っている悠を見付け、彩音が窓から手を振った。


「おはようございます!」

 悠は明るく挨拶し、車に乗り込んだ。少し思い詰めたような顔つきの悠を、恭一は何も言わずに見守ることにした。


 ほどなく畑に到着し、恭一達は車を降りた。

 恭一は、麻人と悠と耕した辺りに目をやり、ちゃんと苗が育っているようで安心した。

 

「悠ちゃん達、畑を手伝ってくれたそうね」

「はい。あの辺りです」

「収穫できるのが楽しみね」

 彩音と悠が畑を見渡しながら会話している。


「あら、ビハクったらいつのまに」

 車から出てきたビハクを見て、彩音が驚いている。

「また付いてきたんだな」

 恭一は、やっぱりなと思い鼻で笑った。


「じゃ、お爺ちゃん後でね」

 彩音が祖父に声をかけ、恭一達は祠の方へと歩いて行った。


「姉さん、祠の方向が分かってるみたいに進んでいくな」

「そうね。だって向こうの方で男の子がこっちだよって感じで見てるよ」

「え~!」

 

 恭一と悠は、彩音の言葉にうろたえたが気を取り直し進むことにした。


 先頭を歩くビハクに彩音が付いていき、恭一と悠は後ろから従うように歩いていた。


「ビハクも男の子が見えているのかな?」

 彩音がビハクに向かって言うと、小さく「ニャー」と答えるように鳴いた。

 

「恭一様、なんだか緊張してきました」

「そうだな。俺もだ」

 恭一と悠は同じタイミングで深呼吸すると、彩音が振り返りニッコリと微笑んだ。彩音の優しい笑顔を見て、恭一は心が少し落ちついた。

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