第一章 おもうさん 第一話 ありふれた戦国転生・・・じゃない!!
時空間に縛られない世界 天界 青龍 広徳王敖広。
応仁・文明の大乱は京師を焼き尽くし戦乱の炎は更に天下の隅々まで燃え広がった。
京師を守護する四禽の聖獣が一、賀茂川の化身たる青龍は大乱の穢れを早川の瀬で浄めていたが余りに酷く埒が明かないので穢れの元である乱世を治めようと考えた。
(しかし、天下を治めようにもそれだけの器量を持った漢が居ない。)
(居ないなら創れば良いと言う事で天界で流行りの異世界召喚を試みる。)
(どのような漢が良かろうか?)
(そうだな。)
(並行世界の少しばかり時代が進んでいる平和な時代の日の本の民が良い。)
(一寸先が闇どころか煉獄の平和を知らぬ民ではそもそも平和と言う果実の真の姿を思い浮かべる事すら出来ないであろうから・・・)
(さて、転生させるのはどの者が良かろうか?)
20xx年(令和xx年)1月20日(月) 23:27 〇〇新聞webNews配信
20日午後2時頃京都府京都市北区上賀茂〇〇町の交差点で「車が突っ込んだ。」と110番通報があった。
京都府警によると横断歩道で歩行者らが乗用車にはねられるなどして、〇〇県〇〇市の会社員〇〇△△さん(20)が死亡し、他に2歳の男児を含む男女7人が重軽傷を負った。
北警察署は、車を運転していた京都府京都市上京区〇〇通〇〇上る〇番町、無職〇〇△△容疑者(85)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで現行犯逮捕した。
「アクセルとブレーキのペダルを踏み間違えたかもしれないがよく覚えていない。」と供述しているという。
1518年(永正15年)初春 山城国愛宕郡上賀茂社領社家町 烏居大路邸。
綾小路 数麿 当歳。
意識が覚醒するとわんわんと大声で誰かが泣いている。
その声が自分だと理解するまで結構な時間が過ぎた。
泣き止んで静けさが戻ってくると周囲の音が耳に入ってくる。
落ち着いて耳を傾けると少しばかり状況が判ってきた。
僕の名は綾小路数麿。
どうやら僕は昔の日本に転生したらしい。
うっすらぼんやりでほとんど目が見えないから生まれたばかりだろう。
こんな状況で頭だけ明晰ってのは気味が悪いが、車に轢かれて転生ってのはもう二十年以上も使い古されたテンプレである。
今更文句を言ってもしょうがない。
歴史ものだと内政チートかなぁと内心ニマニマしながら睡眠と言うお仕事に突入した。
すやすや・・・・