想いの強さ
「……流石に兄上の事は騙せませんでしたか……」
ナズナは堪忍したようで溜息を吐きながらそう呟くとシオンにそう言葉を掛けた。
「……ふっ……相変わらず生意気な、奴、だ……」
流石にダメージが多すぎたようで、その言葉の後直ぐにその場に倒れてしまった。
「リリィ……兄上を回復してやってくれ……後、『クリュザンテーメ』も貸してくれ……それとジニア俺に付いて来て貰えるか?」
シオンが倒れた事を確認すると、直ぐに視線をリリィとジニアに向けてそう声を掛けた。
「う、うん……分かった」
「あ、あぁ……」
現在起きている状況をはっきりとはまだ理解出来ていない様子の二人は、鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしたままナズナの側まで駆け足で来た。
「……さぁて……どうせ最初から気が付いていたんだろう? フォンセ」
何も無い空間に向かってナズナが声を掛けると、そこにはいつの間にかフォンセが立っていた。
「……何故私の魔法が効いていないかも不思議ですが……ふむ……私の思い違いだったのですかね……ナズナさんよりもシオンさんの方が強い気がしたのですが……」
フォンセはこの状況にかなり驚いているようで、心底不思議そうな表情をしていた。
「……そんなに驚く事は無いだろう? 人間の強さ何て数値化出来るものじゃない……それは覚えておいた方が今後の為だと俺は思うぜ? まぁ、ここで死ぬ事になるお前に言ってもしょうがないと思うがな……」
ナズナはそう言いながら一歩また一歩とフォンセの方へと足を進めて行った。
「……なるほど……つまりナズナさんかシオンさんのどちらかが手を抜いているという訳ですね……それでは私自らが貴方の力を確かめてあげましょう」
ナズナのいう『想いの強さ』については全くと言って良いほど、伝わっていないようだったがフォンセはそう言うと、ナズナ目掛けて魔法を放ってきた。
「ジニア俺が奴の気を引き付けるだから……とどめはお前が刺せ……」
この口振りからするにもしかしたらフォンセがジニアの実の父親だと知っていたのかも知れない。それともただの作戦なのか、その真偽はナズナ本人しか分からない。
「……分かった……」
ジニアも言葉の違和感に気が付いてはいたようだったが、特に反論する事はせず素直にナズナの言葉に従った。
「……頼んだぞ……それじゃ……まずはこれを何とかしなければな……はっ!」
話をしている内に目の前にまで迫っていた大きな火の玉を腰に背負っていた刀で一閃すると、そのままフォンセのいる場所まで一気に迫った。それと同時にフォンセの死角になる位置へとジニアも動き出した。




