激戦の結末
………全壊まで、あと1分を切った。
破壊の核を探す泉美。
「…くっそ。どこに…」
目を瞑り、気配を探った。そして見つけた。
「あった! …遠いけど、届くか?」
そこまで距離があったから、泉美は心配だった…
探すのに、10秒以上掛かってしまった。
(…まずい、あと30秒しかない!!)
泉美は、全力全開で自身を飛ばし、核へと近づいていく。
辿り着いた。しかし、あと15秒………
「…一か八か、なんて言ってられないな…。止めるしかないんだから…」
死を覚悟し、泉美は爆弾核を破壊することに集中。全力を注ぎこんだ。
あと5秒………
「…っ。いっけぇぇぇぇー!!!!」
その全力の叫びは夢芽や智歌にも聞こえるほどに大きな声量だった。
あと3………2…………
「…っ!!!」
1…………………
…………
……
…
……
………カウントは、止まった。
「…ふぅ…」
安堵の表情を浮かべる泉美。
しかし…
その爆弾核は、地球上に存在するマントルに近く、極めて人間が立っていられるような場所ではなかった。
そのため、泉美は力尽き…………
………その頃、夢芽と智歌。
「…終わったな。時間が来ても爆発すらしなかったわよ? 高良 夢芽さん?」
夢芽を仕留めに掛かる智歌。すると、
「…そん、な……バカ、な………」
夢芽は、破壊されてしまい世界を崩壊させられなかった事と、それにより泉美が死んだことを察知し、立ち尽くしてしまう。
「…っ!?」
そんな状態の夢芽を見て、智歌は攻撃を止める。
「…ゆ、夢芽……?」
だが、どう問いかけても夢芽は、
「…っ」
黙り込んでしまった。
…そんな時、智歌は何かを感じ取る。
「…っ!? 泉美…まだ生きてる!!」
そう。泉美は爆弾核の近くで倒れただけで、まだ息はあったのだ。
だが、マグマ内であるマントル内部。そんなところに、ずっと居ることは不可能である。
…智歌は、わずかな可能性を信じ、泉美のもとへと神速で飛んでいく。
「泉美…! 頼むから生きててくれっ!!」
全力で、智歌は願い、祈った。
………爆弾核の近くで、泉美は意識を失っていた。
夢も何も見ていることもなく、ただ静かに………
そこに智歌がたどり着き、泉美のもとへ。
「泉美、泉美! 死なないでよ!?」
涙を浮かべ、泉美を抱き締める。
「アンタが死んだら、新しい世界は誰が作り直すの!? 私じゃ出来ない…アンタにしか!」
そこまで言った時だった。
「…っう…。ち、智歌……か?」
泉美は、視界がぼやけている中で意識が戻ってきて、返事をした。
「泉美…!」
嬉し涙を流しながら、ギュッと抱き締めた。
「…っ! 私、生きてたんだ……!」
生きていることを実感し、泉美は彼女を抱き締め返した。
………地球の大地のほとんどが壊れかけていたが、表世界だけは残っていた。つまり、地球の裏側にあった魔法と超能力の世界だけが、跡形もなく壊れてしまったようだ。
泉美と智歌は、マントルから抜け出す。
「…最後に、夢芽の所に行かせてくれ…。私のこと心配してる…」
ボロボロになった泉美。本来ならば敵である夢芽と、また会うと言い出した。




