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4つの交錯  作者: 幡賀 吉紗
~神源 編~
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43/67

平和

 

ーーーーー…某世界、某所。


「あれっ? どうやらシヴォ…いや、シュロナは、先にバルミとの案件を片付けたいみたいだね~…」

夢芽(ゆめ)は、少し不満げに呟いた。


「ふっ。やはり王国は潰しておきたいようだ。それでこそシュロナだよ…」

心底シュロナのことを信頼しているフォゲウス。


「それにしても、なんでまたフォゲウスより“王国”のことにこだわるのかなぁ? シュロナは」

父親の心配より復讐なシュロナを理解できない夢芽。


「それは知っているハズだろう? シュロナは元々“王国側”だったこと…」

フォゲウスは語り始める。


「最初は我が輩もシュロナのことを疑った…。王国側の人間が、帝王である我が輩に迫ってきた時にはな。王国の陰謀かとシュロナを疑ったこともあるが、シュロナは


『そんなの関係なく個人的に好き』


 と言ってくれたのだ…。そのせいか、我が輩も恋に落ち、シュロナと我が輩の間に、ニェンテとニヒツ…子供を2人も作ってしまってな…


 それからだったな。王国側が『シュロナは裏切った』と言って、彼女の名前から『ニダ・エフティルシパ』を剥奪したんだ…。そんな名前を失った彼女に、我が輩は


 『バーノ・シェガンゾフ』を与えた…


 今は『シュロナ・バーノ・シェガンゾフ』だが、旧姓は


 シュロナ・ニダ・エフティルシパ


 …つまり、バルミの実の姉なのだよ…」



シヴォの正体は、シュロナ。バルミの実の姉。


「そうだったんだ? そこまでは知らなかったなぁ~…」


実際、夢芽は2年前の破壊神(ダークマター)との戦闘で右足と左腕を失っている。失ってからは、自分の魔力で“義足”と“義腕”を再生した。そして、世界最強として覚醒し始めたのは、実は1年半前。


…どこかで聞き覚えのあるエピソードだ。


「我が輩とシュロナが嫁いだのは、15年も前の話だ。貴様が知っているワケが無かろう…」

過去話で少し盛り上がっているフォゲウスと夢芽。


「だから知れて良かったよ~? その過去なら、2人に因縁があるのも頷けるしぃ~」

少しハイテンションな夢芽。



ーーーーー……シェガンゾフ帝国、某所。


泉美と智歌(ちか)は、ニヒツに誘われたままにカフェで一休み。

「ゆっくりしてってくれ。ここの珈琲は格別、オレの個人的なオススメだ!」

そう言い、ニヒツは去った。


「…」

何かを感じた泉美は、智歌と話す。

「ねぇ、智歌…」

「ん?」

「ニヒツって、この国の王族か何かかな…?」


そう感じるのも無理はない。

現に、周りからのニヒツへの視線は、尊敬の視線が多かった。その上で、チカラに恐れて後ずさりしている者もいて、そう感じざるをえなかった。


「分かんないわ…。でも、アタシも何か感じたわ…。今まで感じたことのないオーラ…とでも言うのかしら?」

オーラを感じ取った智歌。


「…アンタ達、ニヒツ様を知らないの?」

カフェに同席していた女性が質問してきた。

「初めてここに来たから…」

「アタシもよ…」

初入国だということを告白する泉美とバルミ。

その2人に呆れ、ため息を吐く女性。


「いい? ここはシェガンゾフ帝国。シェガンゾフ一族が国を統べてるの。そのシェガンゾフ一族の1人が、あのニヒツ様よ? 覚えておきなさい!」

国の名前と、ニヒツのことについて語った。


「シェガンゾフ帝国…どこかで聞いたことがある…」

聞き覚えのある名前に、智歌は反応した。


そして智歌は、思い出す。

「…思い出した。確か“全世界最強”を誇る超能力を持ち合わせてる一族が国を統べていて、その能力は確か、


 無源魔能(アルケミック)…」



“無源魔能(アルケミック)”

魔法または超能力とはかけ離れている概念のもの。チカラの根元は存在せず(・・・・)、にもかかわらず魔法や超能力を繰り出す異能。

錬金術ともまた違い、オーラ感知も、ごく一部の種族にしか不可能とされている。


「…来る前に感じた“無機質なオーラ”って、この能力の一部…なのかな?」

その無機質オーラを感じたことを泉美は告白したが、その瞬間、周囲がざわつく。


「シェガンゾフ一族のオーラを感知した!? まさか、王国側の人間か!?」

「でも王国側なら、今からでも破壊活動してくるわよね? それをしないなら、王国側じゃないわよ…」

「だけど、王族しか感じれないオーラを感じてるんだぜ!? 王国側じゃねぇか?」


様々な声が聞こえる中、そこにニェンテとニヒツが現れた。


「初めまして。私はニェンテ、よろしくね?」

今度はニェンテが挨拶した。

「よろしく、ニェンテさん。私は高良(たかよし) 泉美(いずみ)…ん?」


泉美と慣れ合っているニェンテの態度に、また周囲がざわつく。

それにニヒツが耐えきれず、


「わりぃ、ちょっと場所を変えようか…」


と、2人の支払いをニヒツが済ませ、カフェを後にした。


そして外に出て、

「待って? おごってもらうのは悪い気がするから、ちゃんと払うよ」

ニヒツの肩をつかみ、泉美は言った。すると、

「いいって。今日は歓迎会のつもりで、な?」

おごってあげたい気持ち山々だと答えた。


ニヒツ、ニェンテ、泉美、智歌。

この4人で訪れたのは、人気のないレストラン。


「いらっしゃ~い!」

陽気に店主の男が歓迎する。が、

「…って、ニェンテ様とニヒツ様! 珍しいですね…」

と、2人の来訪に驚いていた。


「今日は外食の気分だったんだ。訪問者もいることだしな」


そしてそれぞれメニューを開き、食べるモノも決まり、あとは待つだけ。


3人とも、平和にのんびり過ごしている。

平和な時間は、刻一刻と終わりに近づいているとも知らずに……



ーーーーー……某世界、某所。


「…そろそろ動かないと、また平和ボケしちゃうね~…始めるかな~♪」


夢芽が動き始める。


 

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