神源
“神源”
ここには、ある家族(一族)しか住んでいない。
一体この世界には何があるのか…
ーーーーー……魔源域、某所。
智歌が負けを認め、倒れている。
その横で、チカラを使い果たした亜久未が倒れていた。
その2人の間には“元々の友情”が芽生えた。
亜久未
「それにしても、前より強くなったね。智歌」
智歌
「そういう亜久未も、ね…」
その後も寝転がりながら会話を交わす2人。
そのそばで、泉美が目を覚ました。
「…あれ? 私…寝てた?」
倒されて意識が飛んだかと思ったら、疲労で眠っていたようだ。
「…えっ? 倒れてたんじゃなくて?」
智歌がツッコむ。
「知ってたよ。意識があったこと」
と、亜久未は言った。
「それはともかく、ツグちゃんと私は戻らないと。あの国に…」
と円が言う。
そう、円と亜久未は復興支援中だったのだ。
「そうだね、円。心配だから即行で戻ろう!」
亜久未はそう言い、円を自身の雷籠に包み込み、雷速で国へ戻っていった。
そうした2人を見送り、智歌は泉美に近寄る。
「負けたわ…。それに、亜久未に言われたわ。
『壊さなくても戻れるんだよ。世界に平和を求めるなら、まずは話し合う。もし出来ないなら、勝っても負けてもいいから全力でぶつかり合う。それが出来れば、思いは通じるから』
って。それをさっきの戦闘で学ばせてもらった。もうアタシは泉美に対しての戦意を持って無いわ、安心して?」
そう。この時この瞬間から、智歌も仲間になったのだ。
「うん、よろしく。歌聖神さん」
手を差し伸べ、握手を求めた。
智歌はそれに応え、握手を交わした。
そして智歌は、泉美に向けて治癒歌を歌唱した。
「心の傷も カラダの傷も
全て癒して 無に帰し 消えろ
痛みも傷跡も 苦しみも
全快させよ 全開で♪」
その歌を聴いた瞬間、みるみるうちに泉美のキズやダメージは全て癒えて、元気満々になった。
「すごいよね。魔力じゃないところが」
その治癒力に感化された泉美だったが、
「…それで、みんなを助けてあげて?」
と、倒された面々を癒すことを催促した。
しかし…
「…実はアタシ…限界がキテるのよね…。泉美に使ったチカラが最後で、もう使い果たしたから…明日にならないと回復しないわ、歌力は…」
実は、先ほどの戦闘で、体力を使い果たしていたのだ。
「…そっか。だったら…ここから先は、私と智歌だけで向かうしかないか…」
この発言に驚きを隠せなかった智歌は、すかさず、
「えっ? どこに行くのよ…?」
と、疑問をぶつけた。
「…?」
と首を傾げる泉美。そして告げる。
「なんか、向こうの方に…感じない?」
このとき泉美は、ある方角から感じる“無機質なオーラ”を感じ取り、不思議に思っていた。
「アタシは何…も……? あれ、アタシも感じ取れる……」
言われてから神経を研ぎ澄ましてみると、智歌もその不思議な空気を感じ取った。
「何だろう? この感じ…」
ーーーーー……神源、某所。
「…」
黙想して精神を研ぎ澄ませている女がいた。
「…ねぇ、シヴォ」
その女に話しかける女。
どうやら彼女は“シヴォ”と呼ばれているようだ。
「…ん? どうしたの、ニェンテ」
シヴォに話しかけた女は“ニェンテ”と呼ばれているようだ。
「さっきからね? 向こうの方から誰か来る感じがするんだ…」
右の人差し指でシヴォの頭上を指差し、方角を示した。
「…確かに、ね。…って、ニヒツは居ないの?」
もう一人の誰かを呼び始めるシヴォ。
「なんだよ、母上…」
そう言ってニヒツが現れた瞬間、シヴォは彼に向かって神速で“無源鋭刃”を投げた。
しかしニヒツは、それを回避し、
「…あっ。ごめん…」
と、とっさに謝った。
「ニヒツ? ここは私達の“集合場所”であって、家じゃないのよ?
『呼び方は場所によって変えなさい』
って何度も言ってるんだから、いい加減に直しなさい?」
シヴォは、あまり怒らず、落ち着いた口調で叱った。
「ごめん、シヴォ…」
しっかりと呼び方を変え、謝った。
「それはともかく…」
と話題を変え、シヴォは本題に入る。
「少し不穏な空気を感じるわ。誰かがこっちに向かってるようだし、戦闘態勢を整えるわよ?」
ニェンテ「うん!」
ニヒツ「おう!」
3人とも、戦闘の準備にとりかかる。
ーーーーー……魔源域、某所。
「…向かう先に待つのは、何だろう?」
泉美は、若干だが恐れていた。
向かう先から感じる、偉大なオーラと不穏な空気を……ーーーーー




