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4つの交錯  作者: 幡賀 吉紗
~神源 編~
38/67

神源

 

神源ホライゾン

ここには、ある家族(一族)しか住んでいない。

一体この世界には何があるのか…



ーーーーー……魔源域ダークオリジン、某所。


智歌ちかが負けを認め、倒れている。

その横で、チカラを使い果たした亜久未つぐみが倒れていた。

その2人の間には“元々の友情”が芽生えた。


亜久未

「それにしても、前より強くなったね。智歌」


智歌

「そういう亜久未も、ね…」


その後も寝転がりながら会話を交わす2人。


そのそばで、泉美が目を覚ました。

「…あれ? 私…寝てた?」

倒されて意識が飛んだかと思ったら、疲労で眠っていたようだ。

「…えっ? 倒れてたんじゃなくて?」

智歌がツッコむ。

「知ってたよ。意識があったこと」

と、亜久未は言った。


「それはともかく、ツグちゃんと私は戻らないと。あの国に…」

まるが言う。

そう、円と亜久未は復興支援中だったのだ。

「そうだね、円。心配だから即行で戻ろう!」

亜久未はそう言い、円を自身の雷籠バリケードに包み込み、雷速で国へ戻っていった。


そうした2人を見送り、智歌は泉美に近寄る。


「負けたわ…。それに、亜久未に言われたわ。


『壊さなくても戻れるんだよ。世界に平和を求めるなら、まずは話し合う。もし出来ないなら、勝っても負けてもいいから全力でぶつかり合う。それが出来れば、思いは通じるから』


 って。それをさっきの戦闘で学ばせてもらった。もうアタシは泉美に対しての戦意を持って無いわ、安心して?」


そう。この時この瞬間から、智歌も仲間になったのだ。


「うん、よろしく。歌聖神セイクリッドさん」

手を差し伸べ、握手を求めた。

智歌はそれに応え、握手を交わした。


そして智歌は、泉美に向けて治癒歌を歌唱した。


「心の傷も カラダの傷も

 全て癒して 無に帰し 消えろ

 痛みも傷跡も 苦しみも

 全快させよ 全開で♪」


その歌を聴いた瞬間、みるみるうちに泉美のキズやダメージは全て癒えて、元気満々になった。

「すごいよね。魔力じゃないところが」

その治癒力に感化された泉美だったが、

「…それで、みんなを助けてあげて?」

と、倒された面々を癒すことを催促した。


しかし…

「…実はアタシ…限界がキテるのよね…。泉美に使ったチカラが最後で、もう使い果たしたから…明日にならないと回復しないわ、歌力うたは…」


実は、先ほどの戦闘で、体力を使い果たしていたのだ。


「…そっか。だったら…ここから先は、私と智歌だけで向かうしかないか…」


この発言に驚きを隠せなかった智歌は、すかさず、

「えっ? どこに行くのよ…?」

と、疑問をぶつけた。


「…?」

と首を傾げる泉美。そして告げる。


「なんか、向こうの方に…感じない?」

このとき泉美は、ある方角から感じる“無機質なオーラ”を感じ取り、不思議に思っていた。


「アタシは何…も……? あれ、アタシも感じ取れる……」

言われてから神経を研ぎ澄ましてみると、智歌もその不思議な空気を感じ取った。


「何だろう? この感じ…」




ーーーーー……神源ホライゾン、某所。


「…」

黙想して精神を研ぎ澄ませている女がいた。

「…ねぇ、シヴォ」

その女に話しかける女。

どうやら彼女は“シヴォ”と呼ばれているようだ。

「…ん? どうしたの、ニェンテ」

シヴォに話しかけた女は“ニェンテ”と呼ばれているようだ。


「さっきからね? 向こうの方から誰か来る感じがするんだ…」

右の人差し指でシヴォの頭上を指差し、方角を示した。


「…確かに、ね。…って、ニヒツは居ないの?」

もう一人の誰かを呼び始めるシヴォ。


「なんだよ、母上…」

そう言ってニヒツが現れた瞬間、シヴォは彼に向かって神速で“無源鋭刃キラーエッジ”を投げた。

しかしニヒツは、それを回避し、


「…あっ。ごめん…」

と、とっさに謝った。



「ニヒツ? ここは私達の“集合場所ホームグラウンド”であって、家じゃないのよ? 


『呼び方は場所によって変えなさい』


 って何度も言ってるんだから、いい加減に直しなさい?」



シヴォは、あまり怒らず、落ち着いた口調で叱った。


「ごめん、シヴォ…」

しっかりと呼び方を変え、謝った。


「それはともかく…」

と話題を変え、シヴォは本題に入る。

「少し不穏な空気を感じるわ。誰かがこっちに向かってるようだし、戦闘態勢を整えるわよ?」


ニェンテ「うん!」

ニヒツ「おう!」


3人とも、戦闘の準備にとりかかる。



ーーーーー……魔源域ダークオリジン、某所。


「…向かう先に待つのは、何だろう?」


泉美は、若干だが恐れていた。


向かう先から感じる、偉大なオーラと不穏な空気を……ーーーーー


 

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