最強
「天世…そして泉美…。悪かったな…ずっと隠していて」
“開かずの扉”の真実の事を謝る羅生。
「隠すも何も、開けてないから知らなかったよ?」
と、親切さを見せて返す泉美。
しかし、率直に質問する。
「でも…ついてこようとした人を“殺す”必要あったの…?」
少し黙り込み、羅生は答えた。
「…私と同じ“修羅の道”を歩ませるワケにはいかなかったのだよ。死にまみれた世界へと行くのは、私だけで良かったからな…」
「…?」
終矢とバルミは、何のことだか分からなかったが、
「…“修羅の道”…」
と、天世と泉美は気づいた。
「…分かっていない倉井とバルミのために語ろう…」
と、教えてもいない名前を、いつの間にか記憶していた。
「な、なぜ俺とバルミの名前を…?」
終矢でさえ驚きを隠せなかったようだ。
「…悪いが、それは後に回す。先に私の話を聞け…」
と、羅生は話題を戻す。
「考えても見ろ。世界平和なんて完全には遂行できない。その理由は、例えば…
等しく与えられた能力があったとしても、それを“護身”で使う者と、悪用して“破壊”に使う者が必ず現れる。その周りに居る者も、どちらが正しいかを見て、結局のところ和解なんてしようとせずに対立し、和解しようとする“第三者”を邪魔者扱い…。
そんな世界を変えるには、その全ての考えを改めさせるために、
全ての3派閥の矛先を自分に向けさせて、意志を統一させる事を目的に、全人類へ“宣戦布告”を送り、そして“見えぬ者に破壊される世界”を実行したのだ…」
それを聞いていた天世も、泉美も、バルミも、終矢も、
(…そんな重役を担っていたのか、羅生は…)
と、世界のバランスを保とうとする命がけの戦意に、賛辞を惜しまなかった。
…ここで、真実にたどり着いた泉美は、語り始める。
「まさか…“破壊神”って……
能力者全員が矛先を向けるように仕向けた団体
……の事だったのか…っ!」
ここで、鉄雄やバルミ、終矢…天世。
この4人が“破壊神”の中で派閥が出来ていて、それぞれのリーダーだったという事に気づかされた。
「…オレや鉄雄、そしてバルミッフェ…更には天世…。こうして破壊神が生まれたのは…必然…だったとでも言うのか…?」
「その通りだ。私が、その必然を創り出したのだから」
終矢が投げかけた質問に対して、さらっととんでもない告白をしていた。
「創り…出した…!?」
真っ先に反応したのは、泉美。
「…そうね。泉美は知らなくて当然だったわね…」
天世は、羅生の“必然を創り出した”能力を知っている。
「…まさか…そんな能力が…っ!? でも、それは今まで伝説として語り継がれていただけのハズ…ッ」
バルミは、魔眼で見透かしていた。
「……っ!? まさか、その能力って…!」
終矢は、心当たりがあった。
羅生は、自発的に言い出す。
「…“能力創成”…それが私の能力だ…」




