分かち合う2人
ーーー…泉美vs鉄雄、綾巻vsバルミ。
このような組み合わせで戦闘が始まった。
泉美vs鉄雄
「っ…! 絶対に許さない…」
泉美は怒りに震え、軽く暴走しながら呟き、その刹那、鉄雄の背後に蹴りを入れ、その後瞬時に鳩尾に蹴り入れる。
速すぎて全く何も見えていない鉄雄には、この神速たる泉美の攻撃を全然防げずに、全てを直に喰らった。
「っぐぁっ!!」
覚醒して激増強眼を使っているのに、泉美には全くかなわず、太刀打ち出来ずにいる。
「…っ。オレは…世界を、壊す…んだっ…!」
死に物狂いで呟きながら、少しずつ士気を高めていく。
「壊す必要なんて、無いんだよ…鉄雄…」
そう言い、気力を最大に込めた拳を鉄雄に振りかざす。
チカラを振り絞ってガードする鉄雄。しかし、それでも防ぎきれずに大ダメージをくらう。
「うぐぁ…っ!」
力尽きた鉄雄は、壁に追いつめられ、そして、壁に寄りかかるカタチで地べたに座り込んだ。
そんな彼にも容赦なく、彼の頭の横スレスレで壁を思い切り殴り、そして言う。
「人々を容赦なく殺して…世界を壊して…。そんな方法で平和を望んでなんかいないよ、私は…。私の考える平和な世界は、争いの無い安全な世界…。誰だって話し合えば分かってくれるわ…」
「そんなの、お前の理想だろ…。話したところで分からない事だってあるだろ…? だからオレは、分かるように破壊活動を…」
そこまで鉄雄が言ったとき、泉美は彼の頬をビンタしていた。
「…ぃってぇ…」
あまりに痛かったため、頬を押さえる。
その彼を見ながら、泉美は続けた。
「だからって世界を破壊したら、自分の住む世界が無くなるんだよ!? そうしてまで壊す必要なんて、無いの…」
鉄雄は、泉美の優しい言葉を聞いて、少し殺害衝動を抑え込んだ。
そして、能力を解除し、無抵抗で泉美の前に座る。
そして…
「…すまなかった」と、土下座して謝罪した。
そうして謝ったあと、鉄雄は語り始める。
「俺は…最強だと認めて欲しかった…だけ、なのかもしれないな…。実際、終矢が出てきた時…アイツの異常なオーラが見えて“俺は最強じゃない”って思ってた。…けど、それを超えて強く…って考えてたら、いつの間にか破壊活動がエスカレートしてたな。世界っていう規模で破壊活動するようになってた。もちろんそれは泉美にバレたくなくて、ずっと隠してた…。悪かった」
「…分かってくれたなら、それでいいよ。テッちゃん」
前までの呼び方に戻し、彼に手を差し伸べる。
その手を優しく掴み、立ち上がる。そして…
「…バルミを…止めないとな…」
“破壊神”としての鉄雄は消えた。
平和への一歩が進み、あとの問題は、バルミだけ……ーーーー




