16話目 今日から学園日和
「んじゃボクはショクインシツにイかなきゃだから、ばーいばいっ」
いつもの黒い服ではなく、しっかりとした黒いローブに身を包んでいるスーノは、そう言い残して遠くへと消えて行った。しかしやはり燃えるような赤の口紅は印象的である。
それとは正反対の青を基調とした制服を身につけている2人は、そう俺こと飯島来とラーテムだ。もちろん、学校へ通うためである。
ここは城下町メリストイに数校ある中の1つ
、《城下町メリストイ:イト地区学園》だ。イト地区というのはメリストイが4つに分かれているうちの1地区のこと。とさきほどスーノに説明を受けた。俺たちはここで学ぶ事となる。
しかし未だにこの〈アトゥム〉という世界の文明がわからない。村はもうRPGのような古ぼけたような木造だったがこの学校はなんだか現代の高校のような作りのようにみえる。今自分達が着ている制服もそれほど悪いものではなく、ドンキで売っているような質のものだ。……さらっとドンキって言ったらこれ現代小説っぽくなるよね!異世界ファンタジーだよ!
「なに一人ではしゃいでるんですか。……それにしても、来さんも学校に入るなんて聞いてませんよ!」ラーテムが本気では無いにせよ怒っていらっしゃるな。
「ま、まあ俺だってジェットブラック・ドラゴンの時とスーノの時、ミライさんの攻撃を見てるだけだったんだぜ? 俺だって戦い方とかを学びたいんだよ」
嘘ではない。嘘は言ってない。
「成る程…それなら一緒に頑張って行きましょうね?」良かったラーテムはそんなに頭良くないぞ。無理矢理入らされたなんて知られたらめんどくさいからな。
「……またなにか失礼なこと考えてませんか?」動物的なカンは鋭いようでいらっしゃる。
しかしなんとかごまかすことに成功する。
◎ ◉ ◎
いつの間にか、俺達は式の行われる広場へと到着していた。この世界にはスポーツがないのだろうか。体育館という設備がなさそうだった。
「皆さんまばらに立っていますね」
「クラスで分けたりしないのかなあ」
2人で雑談をしていると、ざわついていた新入生が静かになる。偉そうな、というか偉いであろう人が教壇に立っている。
「えー、ごほん。皆さん、イト地区学園へようこそ!我が校は未来ある皆さんが――」
◎ ◉ ◎
とまあ長い学園長の話も終わり、クラス分けをすることとなった。と言っても、希望を取りそれを振り分けるだけらしいのだが。
「ラーテムは何にした?」
「私はやっぱり魔法科ですかね、来さんは?」
「俺ももちろんそうだぜ」
体力は底なしだし。魔力も山のようにあるから使い方を学んでみようかなって思う。出来たら剣も学びたいけど。
「一緒のクラスだといいですね!」
「出た天然男殺し」
「来さんも大概ですよ?」
◎ ◉ ◎ ◉
ラーテムとは同じクラス、隣の席になることができた。担任がスーノと言うおまけ付きで。
「はいじゃあ新入生の皆さん隣の人とね、自己紹介なんかしちゃったりしてくださいね」
担任はニコニコと笑みを浮かべる。……あれはスーノの形をした違う先生だな。あくどい顔をしていないなんてスーノじゃない。うん。
「あの…」
そんなことを考えているとラーテムの反対の隣の席の女子が話しかけてきた。
「わた、私はユーキっていう名前です…よ、よろしくお願いしますねっ?」
青く長い髪を後ろで1つに纏めた…つまりポニーテールの眼鏡女子ドジっ子風……これは天然物なら高く売れ痛い痛い痛いラーテム耳を引っ張らないで
「へ、へえ…ユーキっていうんだ?よろしく、俺はライっていうんだ」
「は、はあ」
ほらユーキさん引いてるじゃねえかよおい。
「お2人はお知り合いで?」
ユーキさんがたずねてきた。
「えぇ!私と来さんともう1人でギルドでパーティを組んでるんですよ!私はラーテムっていいます!」
年の近い同性の友達ができてラーテムも嬉しいようだ。ミライさんは……ちょっといろんな意味で違いすぎるから却下。スーノは謎。
というかラーテムの年すら分からないんだけど。
「え、そんな年でもうギルドに?凄いんだね2人とも」感心したようにユーキさんが言った。
「そんな事ないよユーキさん」俺は謙遜する。うん。ほんとにそんな事ないんだよ……。
「あ、ユーキって呼び捨てにしてもいいよ?」
なんて話をしていると唐突にスーノが言う。
「はいじゃあ自己紹介終わった?終わった?」終わらせられたんだよお前のせいで
「そうそう君らに説明をしなくちゃね」
◎ ◉ ◎
スーノが長々と話をしやがったのでかいつまんで説明すると、
イト地区学園には寮がある。もちろん残念な事に男女分かれているのだが、そこに住むこと。
魔法科の他に、特待、武闘など他の科が3つずつあること。
この後魔力量などの身体テストがある。
あと私がサボっていても生徒会に言わないでいてほしいこと。
などの説明をされた。
俺たち魔法科2組は(最後のお願い以外)納得し、テストへと向かった。
◎ ◉ ◎ ◉
言ってしまうと何もなかった。
学園ファンタジーチートものによくある「なんでそんなに魔力あるの!?」的なイベントが何もなかった。何故なら……
「はい、ではありったけの魔力を出して計器にふれてくださいねー」
と職員に言われて出しすぎるのもあれだなーと思って魔力をちょびっとだけ出して出た数値がクラスのランクで下から数えたら一番早かったからである。つまり制御できなかった。
「そういうトコロライくんってダメダメだよねー」
くそ! スーノめ耳元で囁くんじゃねえ!
「ら、来さんそれはちょっと……」
やめろ! ラーテム慰めようとするな!
「ライくん、私1番魔力が高かったよ!」
ぐぶぅっ
「あ、ライくんがトケツした」
「ライくん!?ライくん!?」
◎ ◉ ◎ ◉
身体能力は1番をとってやる。大人気なくぶっちぎりで。
「じゃあ徒競走するから並んでー」
スーノが気だるそうに言う。
スタートの合図で俺は全速力で前に出る。
「ふはははは!これがチートのちかっっ」
全速力でつまずいた。
◎ ◉ ◎ ◉
「総合1位はユーキさんだね、じゃあユーキさんがクラス長となりまーす」
スーノの声のあとクラスで拍手が起こる。
「良かったですねユーキさん!」
ラーテムも嬉しそうだ。
「まさか身体能力も1位になるなんて思わなかったよー」
ユーキは恥ずかしそうに、嬉しそうにはにかんでいる。
「で、来さん。 総合最下位おめでとうございます」
「ありがとう最高の気分だよ」
今日はもう終わりらしいからさっさと寝てしまおう。
とは行かず。どうやら徒競走時に他クラスや先輩に見られていたらしく。
寮へ向かう足が度々止められ好奇の目と質問攻めにあいまくったのはベツのハナシ。
◎ ◉ ◎ ◉
や、やっと寮に着いた……。
寮は3〜4人ずつの部屋になってるらし……俺の名前が書いていない……?
戸惑っていると、管理人らしき老人がこちらへ話しかけてきた。
「あぁ、ライくんだね?ライくんは隣の寮だよ」
と、隣の寮?まさか女子寮――っ?
「うん、女子寮の反対の職員寮だよ」
え?
◎ ◉
指定された部屋に向かい、ドアを開けると…
「いらっしゃあいようこそぉ、ライクン」
ぱたんっ。
今うちの担任がいた気がするが気のせいだろう。
学園編は書くのが難しいなー




