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「柳瀬先輩凄いわ、タラシの才能あるんじゃないですか? あんな美女3人から告られるなんて。 いや、あの子達ダメンズが好きな可能性も微レ存……」
「ゆいちゃん失礼でしょ? 柳瀬君はそれはそれで困ってるのよ」
「気持ちは嬉しいんですけどここまでなんてとても経験ないんでどうしたらいいか。 それに同じところに住んでるわけだし」
「そんなの柳瀬先輩が別な場所に引っ越せばいいじゃないですか?」
「それは考えた事はあったけど……」
「そんなの止められるに決まってるじゃない。 柳瀬君が彼女達にそんな酷い事出来るわけないし」
「え? ああ、乙川先輩も相当あれですもんね」
「あれって? 何々?」
休憩時間になりタバコを吸っていると滝沢がやって来た。 こいつもタバコ吸ってるから休憩時間はよく話す。
話すと言ってもまたあのメンバーでどっか行こうとかそういうのだけどな。
「そういやお前まだ篠原とやり取りしてるの?」
「それが聞いてくださいよ、好きな人出来たからってブチられたんすよ! 彩奈ちゃんそいつにベタ惚れしてるみたいでどんなクソ野郎かと」
「あー、ろくな奴じゃないかもな」
そのクソ野郎はお前の隣に居るけどな。 マジで手に負えないから誰かもらってくれなんて言えないしなぁ。
「でも彩奈ちゃんだけじゃなくて莉亜ちゃん麻里ちゃんも相当っすよね、彩奈ちゃんがダメなら他の2人を…… ってアイドルみたいに可愛いし流石にイケメンの彼氏でもいるかもっすよねぇ? あの時は居なくても」
「そ、そうかもな」
聞いていてグサグサと心に刺さる。 イケメンでもないしそいつらがなぜか俺に気持ちが向いてるとか相談したらぶっ飛ばされそうだ。
「柳瀬君そういえば今日は暇?」
「え? はい、特に何も用事は……」
「じゃあさ、仕事終わったら私と付き合ってくれない? 昨日オープンしたばっかりのカフェ行きたくて」
「是非行きます」
「あはは、即答だね」
こんな状態で何ホイホイ付いて行くんだと思うかもしれないけど先輩の誘いは断れない。 行くしかない! と自分に言い聞かせる。
今日は夕飯いらないと神崎にメッセージを送り俺は先輩とのディナーを楽しみに仕事を嬉々としてこなしていた。
「キモいです柳瀬先輩、ニヤニヤしてて」
「え? あーごめんな」
「なんですかぁそれ? 乙川先輩に誘われたからってデレデレしすぎですよ」
「だって先輩に誘われたらこうなっちゃうだろ?」
「はぁ〜、あたしも柳瀬先輩ちょっといいなぁって思った事ありましたけど入れ込んだら苦労しそうだから遠くで見てるのが1番楽だと早めにわかって良かったですよ、第一あんな可愛い子達と張り合えないですもん、乙川先輩くらい美人だったらまだしも」
「いやいや、つーか俺のどこがいいわけ? 言ってて悲しいけど」
「んー、なんて言うんですかねぇ。 なんか先輩って背は高いけど童顔でたまにひたむきなとこもあって母性本能くすぐるっていうか。 それに…… ってなんであたしがこんな事言わされなきゃいけないんですか!? ジュース買って来て下さい柳瀬先輩の奢りで!!」
「お、怒るなよ、わかったわかった」
自販機に行き適当なジュースを買っていると神崎から返事が返ってきた。
”楽しんできて下さい” と。
神崎らしい返事だな、あいつに好きって言われてからも神崎とはそれ以外は特段前と変わりないからな。
仕事が終わり先輩とカフェに行き食事をしていた。 俺は先輩が好きだ、なのに先輩以外のあの3人も急に意識するようになってしまった。 これは二心ありとかそういうレベルじゃなくなっている、そんな俺を好きと言ってくれた先輩にも顔向け出来ないぞ、顔は向けてるけど。
「柳瀬君また難しい顔してるよ? 柳瀬君の事だから何かは想像つくけどね」
「先輩、俺って如月が言うようにダメ男です、やっと憧れの先輩に好きって言えたのに今頃になってあいつらの事気になり出したとかシャレになりません。 なんで先輩はこんな俺に優しくしてくれるんですか?」
「好きだからだよ」
「え?」
「柳瀬君だから麻里ちゃんに好きって聞いた時からこうなるんじゃないかなってなんとなく思ってたから。 柳瀬君って仕事は大体器用にこなせてるけどそこら辺は不器用そうだし」
「す、すいません」
「それにね、今私と付き合ったとしても柳瀬君はきっとあの子達の事が頭を過ぎると思うの、柳瀬君優しいから。 でもそんな柳瀬君だから、入社して以来ずっと見てきたから。 好きだから」
先輩はニッコリ笑ってそう言った。 先輩にそう言われて感涙ものだ、カフェの飯の味なんてもうわからなくなったというか気持ちがいっぱいで喉を通らないかも。
「あ、いらないならこれ貰っちゃお!」
先輩は俺の皿からポテトをフォークで取ってパクッと食べた。
「先輩もしかして凄く腹減ってます?」
「あ、バレた。 もうペコペコだったの、量少なくて足りるかなぁ? って思ってたの」
「なら俺のもう少し食べていいですよ」
「え? 柳瀬君ここのお料理気に入らなかった?」
「いえ、先輩と居るだけでお腹いっぱいです」
「何それ〜? うふふッ」
先輩とのディナーも終わり帰って来ると廊下に居た篠原とちょうど会った。
「おかえり清っち。 弥生さんと楽しめた?」
「ま、まぁそれなりに」
「あら〜? スッキリした顔しちゃって何してきたのかなぁ?」
「ただ飯食っただけだよ! ていうか無意味にベタベタすんな」
「むふふ、いい反応! 私にこんなにされてるから当然そうなるよねぇ、今までがおかしかっただけで。 それにそれが清っちだから尚更面白い」
「ぐッ…… 日向は居ないんだな?」
「麻里なら今お風呂だよ、てか目の前の私が居るのに麻里の事言い出すなんて私に失礼だよねぇ」
「彩奈、柳瀬さんお疲れなんですからそう絡まないであげて下さい」
「あら莉亜、休憩?」
「はい、区切りが付いたので」
「そっか、期末テスト近いもんな。 篠原も少しは神崎を見習って勉強したらどうだ?」
「あっははは! 私が本気出したら1番なっちゃうから」
「彩奈ったらまったく…… 柳瀬さん何か飲み物でも入れますか?」
「あ…… じゃあコーヒーでも飲もうかな」
今飲んできたばっかだけど…… 「わかりました」と言って神崎はキッチンの方へと向かっていった。
「相変わらずガリ勉眼鏡ね、勉強してるあの子って色っぽさのカケラもないわ」
「そうか?」
「そうか? ってまさか清っちあの七三眼鏡のガリ勉姿もいける口なの? あ、普段とのギャップ差萌えってやつ?」
「い、いや別に今までそんな風に見てなかったし」
「なら私も真似しちゃおっかなぁ」
「そうですね、彩奈はもう少し見た目を大人しくした方がいいと思います」
振り返るとカップを持った神崎が居た。
「どうぞ」
「あ、サンキュー」
「ふぅーん」
「ジロジロと見ないで下さい」
「どこからどう見ても麻里より地味ね」
「麻里に失礼です」
「今度のテストも良い結果になるといいな」
「はい! やるだけやってみます」
いきなり笑顔になってぱあああッと微笑んだ神崎は地味な姿でも可愛かった。 ギャップ萌えなのだろうか?




