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「え!? 私が柳瀬さんの家にですか? いきなり過ぎませんか?」

「そうだよな、じゃあやっぱ断っておくか」

「そんな…… 帰ってあげて下さい。 お正月なんですから」

「じゃあお前は1人でここに留守番してんのか?」

「はい、私はそれでいいですから」



意外に神崎は少し寂しそうな顔をする。 こいつ寂しがり屋なのかな? 夏休みの時はどうしてたんだろう? 俺は帰ると言っても1日程度だけどな。



夕飯を食べた後親からメールが来ていたのだ。 正月くらいは家に顔を出しなさいと。 まぁ言われなくても帰るつもりだったけどな。



そう切り出したら神崎は今みたいに少しシュンとしていたので日向や篠原が帰って来たらという事にしようと思ったけどこいつらと違って正月休みはそんなに長くないし次の日神崎と行ってその日の夜には帰ろうと思った。 



だけどこいつは寂しそうだから一緒に連れて行ってやるかなんて言っても納得しない性格なのはわかっている。



「俺は正月休み短いから出来るだけグータラして休みたいんだ。 家に帰るのもいつでも出来るから正月だからって特別帰るのも面倒なんだ、だから神崎がついて来ればお前にも予定あるとかこれからお前を連れて用事済ませに行くからとか適当な事言って早めに退散出来るから早く戻ってきてそのまま休み明けまで寝て過ごせるだろ?」

「あなたは麻里ですか? そんな面倒くさがり屋の麻里だって帰ってるのに」

「俺は車持ってるからな、親が迎えに来なくてもいいからそこら辺は自由だし」

「はぁ、呆れます。 私をダシにして…… 」



適当なことを言って神崎を唆すがそんなの神崎だってわかってるだろうな。



「そだな、お前が居ると都合いいんだ。 だから付き合ってくれないか?」



別に帰るのも面倒じゃないしなんでお前を連れてくるのが俺に都合がいいなんて言ってる事めちゃくちゃだけどなんとなく1人で寂しそうにしてるこいつが放っておけなかったからだ。 



なんか帰っててもそのせいで今頃寂しくしてんだろうなと想像すると気が散るしな。



なら一緒に連れてってやればいいだろう、 親父はともかく母さんは住んでるのが俺以外女子高生とかって少し不安がってるとこもあったしこいつのバカ真面目振りでも見せれば少しは安心するかなと思ったところもあるし。



「じゃあ神崎がここに残るなら俺も行かなくていいわ、面倒だし」

「わ、わかりました! 行けばいいのでしょう? 行けば!」

「おう、良かった。 適当に済ませて早く帰れるわ、ありがとな」

「なぜ私がそのような事を…… はぁ」



部屋に戻ろうとしたら神崎はハッとした顔で俺と一緒に俺の部屋に入ろうとする。



「まだなんか言う事あんのか?」

「いえ、そういえば麻里と彩奈が居ないのでその間は私が柳瀬さんの部屋掃除などしなくてはいけないのですが明日は朝に行くのならそんな余裕ないかと思いまして……」

「あー、それな。 篠原も言ってたけど毎日部屋掃除なんてする事ないってさ、やるにしたって洗濯とか他の事くらいだろ? この部屋掃除するとこなんてあるか?」



神崎に部屋を見せる。 俺的にはもう立派だ。



「彩奈はそんな事を…… 確かに一見綺麗そうに見えますが床掃除などは私は毎日やります! 雑巾掛けなども大事です、あの2人はやりましたか?」

「うーん、そこまではしてないかも……」

「だったらやる事はありますよね?」

「マジで? やるの今から?」

「当然です」



うわぁ…… 面倒くせぇ、そこまで求めていないのだけれど。 



「そんな大袈裟な事してる間俺はどうしてればいいの?」

「え? そうですねぇ…… とりあえずお風呂にでも入ってこられたらよろしいんじゃないでしょうか?」

「ああ、そっか」

「はい、お着替えはこれでいいんですか?」



神崎は篠原が洗濯して俺が床に置いていた服を渡した。 



「…… ? 違いました?」

「いや、お前っていちいちなんかある度に悲鳴あげたりしてたから普通にパンツまで渡してきたから意外だなって思って」

「あ…………」

「あ!」



余計な事を言ってしまった。 それまで意識してなかったのか今の俺の言葉で神崎の顔が見る見る紅潮していく。



「あ…… ああッ! ふぐッ!?」

「おっと!! 悲鳴あげるなよ? 今のは俺が悪かったよ」



神崎の口を手で塞いで悲鳴をあげそうになるのを阻止した。



「ぷはッ! あ、ああああなたは今何を!? ビックリするじゃないですか!」

「え? いや俺がビックリしそうになったんだけど?」

「いきなり口を塞ぐなんて…… 」



あ…… そっちね。



「俺もう風呂入ってくるからささっと掃除済ませてくれ、よろしく!」

「あ! 私の話は!」



ややこしくなりそうなのでとっとと風呂に入る事にした。 自分でやるとか言ってたくせにそんな事で動揺するなよなと思うけど今回は俺のせいだしな。



少し長めに入浴して部屋に戻るともう神崎の姿はなかった。 どうやら終わったらしい。 



テーブルを見るとホットミルクが置かれていた。 飲んでくれって事なのかな? 前にもこれ持ってきてくれた事あったな……



ひと口飲むとやはり蜂蜜入りの甘いホットミルクだった。 




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