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【WEB版】ナナイロ雷術師の英雄譚―すべてを失った俺、雷魔術を極めて最強へと至るー【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二部

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60.襲撃

 その日の空も雲一つなく、青く澄んでいた。

 心地良い日差しが、人や植物を豊かに育たせる。

 前触れなどない。

 突然、青い空は黒く染まり、王都の街は影に包まれてしまう。


「遂に来たようだね……悪魔が」


 黒い影の中心に、二つの人影がある。

 彼らが見つめる先には、同じく見返す五人の姿があった。


「頼むよ、みんな」

「「「「はい!」」」」


 戦闘開始。

 の、三十分ほど前――


 アルフォースに連れられ、シトネたちの三人が闘技場に集まった。

 闘技場にはすでに、四人目であるアクトの姿もある。


「待たせたね」

「いえ、お気になさらないでください」


 淡々と会話をするアルフォースとアクト。

 二人は幼少期の頃から面識があり、少なからず交流もあった。

 名門エメロード家の長男であるアクトは、当代の聖域者のほぼ全員と会ったことがある。

 短い期間だが、手ほどきを受けたこともあるという。


「さて、まだ二日目だがそろそろ警戒を強めたい。君たちには日中、すぐに動けるよう準備しておいてほしい」


 四人が頷く。

 闘技場には、臨時で転移用の魔道具が設置されていた。

 一人分の台座が四つ。

 転移の術式が組み込まれ、結界の起点である各地に一瞬で移動が出来る。

 ちなみに、学校は現在臨時休校中で、彼らと一部教員以外誰もいない。


 アルフォースが席を外す。

 ナベリスの所で話があるといい、闘技場を去っていった。

 残った四人は、絶妙な空気のまま襲撃に備える。

 静寂が続く。

 楽し気に話せる状況はないが、会話一つないというのも居心地が悪い。

 そんな静寂を破ったのは、意外にもアクトだった。


「君たちはリンテンスの友人だね?」

「え、はい!」


 一番近くにいたシトネが反応した。

 アクトはシトネに尋ねる。


「アルフォース様から聞いたが、リンテンスは修行中なのだろう?」

「はい。二日前から」

「そうか……」


 切なげな表情を見せるアクト。

 何となく、心配している様子がシトネに伝わる。


「あ、あの!」

「何かな?」

「リンテンス君が言ってました。いつか、お兄さんとちゃんと話がしたいって。だからその……」

「……そうか」


 アクトは小さく笑う。

 そんな彼を、意外そうに見つめるグレンとセリカ。

 リンテンスからアクトのことを聞いていたシトネは、その笑顔にどこかホッとする。


「俺も話したいことがある。また後で、全てが片付いたら話に行くよ」

「はい。待ってます!」


 ニコニコ微笑むシトネ。

 会話の節々から、リンテンスに近いものを感じていた。


(何だかリンテンス君と話してるみたいで落ち着くなぁ)


 二人の会話をきっかけに、少しだけ場が賑やかになった。

 穏やかな時間が過ぎ、迫る脅威に対する警戒が、少しだけ緩まる。

 そんなとき、圧倒的な魔力を感じ、全身が震えあがった。


「こ、これは!」

「上だ!」


 グレンが叫んだ。

 四人が天井を見上げると、そこには青空ではなく、黒い影がかかっている。


「ゲートだ!」

「研修のときと同じだな」


 そこへアルフォースが駆けつけ、四人に指示を出す。


「みんな配置につきたまえ! 転移後三秒が術式発動の合図だよ!」

「アルフォース様! リンテンス君は?」

「残念ながらまだ修行中だ。こうなれば仕方がない。彼の修行が終わるまで、僕が何とか時間を稼ごう。君たちも頼むよ?」

「はい!」


 転移装置を作動させる。

 全員が配置につき、指輪の術式を発動させると、薄緑色の結界が学校を覆い隠した。

 その直後、ゲートから大量のモンスターが投下される。


「やはりそう来たか。魔術師団を王都中に配置したのは正解だったようだね」


 グレンからの報告を聞き、魔術師団は国中に散っている。

 こうなることを予想し、備えてきた。

 国民には安全のため、家から出ないように伝えてある。

 王都全域には特殊な魔道具が張り巡らされており、非常時に発動させることで、建物を攻撃から守ることが出来る。

 モンスターの殲滅は、魔術師団がしてくれるだろう。


「さてと」


 ゲートが消失し、二人の悪魔が空中に浮かんでいる。

 見つめる先にはアルフォースがいて、昇って来いと訴えているようだった。

 やれやれと口にするアルフォース。

 飛翔魔術を発動させ、悪魔たちの前に立ち塞がる。


「ようやく来たかよ」

「貴方がこの国で最強の魔術師アルフォース・ギフトレンですね?」

「おやおや、僕のことを知っているのかい?」

「ええ、もちろんです。脅威となり得る存在の情報は、すでに頭に入っていますよ」

「なるほど。悪魔に脅威と思われるなんて光栄だね」


 悪魔は二人。

 丁寧な口調で話す一人は、人間とほとんど変わらない見た目をしている。

 肌の色は白く、眼の色は淀んだ青で、髪色も濃い青色。

 悪魔の特徴である二本の角と、腰からは尻尾が生えている。

 もう一人の乱暴な口調な悪魔は、もっと悪魔らしい見た目だ。

 ドラゴンのようにごつごつとした肌は、黒に近い鼠色をしていて、手足の爪は強靭かつ鋭利。

 それも剛腕が四つ。

 身体の大きさも、隣の悪魔より一回り大きい。

 見るからに肉弾戦が得意そうだ。


 そして、どちらの魔力量も、人間のそれを大きく上回っていた。

 間違いなく、悪魔の中でも上位の存在だろう。


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