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不幸たる才  作者: 臥龍
6/15

05

「おーい楊麗ー!」


楊麗はこちらを向いた。


そして嬉しそうな顔をして手を振ってきた。


雷飛は楊麗のところへ走っていた。


「やあ楊麗、いつもの散歩か?」


「うん。雷飛もいつもの畑仕事?」


「まぁな」


「聞いたよぉ、軍の指揮をする事になったんだってね。こんなところで畑いじってていいの?」


「ああ、むしろこの方がいいんだ」


「ふぅん。雷飛の事だからきっと考えがあるんだよね。私にはわかんないけど」


「たしかに、難しいことをグダグダ言われるより結果を見た方が早いな」


「確かにね。そう言えば、今夜ね、私のうちで宴会をやるの。お父様も友達を呼んでも構わないっていったから。雷飛、くる?」


「宴会か。戦いの景気付けにやるのも悪くないな」


「なら決まりだね。私の新しい舞もやるから絶対来てね」


そういうと楊麗はとてとてといってしまった。


「舞か。下手をしたらもう見れなくなってしまうかもしれないな」


自分の冗談に笑い、雷飛は畑に水をまいていた。


その夜、李統の前にでる時と同じ服装で楊麗の家に向かった。


「おお、雷飛殿ではありませんか」


出迎えたのは楊麗の父、楊筍であった。


付近一帯の地主で、七日に一日、宴会を催すほどの宴会好きであった。


「貴殿のような方がこんなところにくるとは、小さな屋敷ですがどうぞお入りください」


「いえいえ、私ほどの者、探せば五万といるでしょう。それにこの屋敷は私の住んでいる小屋と比べることができません」


いつもこんな感じなのだ。


すでに、一種の合い言葉になってしまっている。


中に案内されると、コの字型に席が並べられ、その一つ一つに豪華な食事が乗っている。


雷飛は主人が座る席の右側に案内された。


「私がここですか?」


雷飛は案内した召使いに質問した。


「ええ、間違いないです」


雷飛は読めた。


楊筍殿も謀るな、と思いながら内心、嬉しかった。


つまり、楊筍は雷飛と娘の楊麗の関係に反対しておらず、むしろ歓迎しているのだ。


そして、おもむろに席に着いた。


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