05
「おーい楊麗ー!」
楊麗はこちらを向いた。
そして嬉しそうな顔をして手を振ってきた。
雷飛は楊麗のところへ走っていた。
「やあ楊麗、いつもの散歩か?」
「うん。雷飛もいつもの畑仕事?」
「まぁな」
「聞いたよぉ、軍の指揮をする事になったんだってね。こんなところで畑いじってていいの?」
「ああ、むしろこの方がいいんだ」
「ふぅん。雷飛の事だからきっと考えがあるんだよね。私にはわかんないけど」
「たしかに、難しいことをグダグダ言われるより結果を見た方が早いな」
「確かにね。そう言えば、今夜ね、私のうちで宴会をやるの。お父様も友達を呼んでも構わないっていったから。雷飛、くる?」
「宴会か。戦いの景気付けにやるのも悪くないな」
「なら決まりだね。私の新しい舞もやるから絶対来てね」
そういうと楊麗はとてとてといってしまった。
「舞か。下手をしたらもう見れなくなってしまうかもしれないな」
自分の冗談に笑い、雷飛は畑に水をまいていた。
その夜、李統の前にでる時と同じ服装で楊麗の家に向かった。
「おお、雷飛殿ではありませんか」
出迎えたのは楊麗の父、楊筍であった。
付近一帯の地主で、七日に一日、宴会を催すほどの宴会好きであった。
「貴殿のような方がこんなところにくるとは、小さな屋敷ですがどうぞお入りください」
「いえいえ、私ほどの者、探せば五万といるでしょう。それにこの屋敷は私の住んでいる小屋と比べることができません」
いつもこんな感じなのだ。
すでに、一種の合い言葉になってしまっている。
中に案内されると、コの字型に席が並べられ、その一つ一つに豪華な食事が乗っている。
雷飛は主人が座る席の右側に案内された。
「私がここですか?」
雷飛は案内した召使いに質問した。
「ええ、間違いないです」
雷飛は読めた。
楊筍殿も謀るな、と思いながら内心、嬉しかった。
つまり、楊筍は雷飛と娘の楊麗の関係に反対しておらず、むしろ歓迎しているのだ。
そして、おもむろに席に着いた。




