06
直に宴会は始まった。
席には楊筍の友や、同郷の者が着いていた。
毎回、同じメンバーなので、すっかり顔も覚えている。
雰囲気もなかなかよくなったところで楊筍が立ち上がった。
「皆様方、程良く酔ってきた頃合いでしょう。此度の宴会では、酒ばかりではなく我が娘の楊麗による舞にも酔っていただきたい」
会場が盛り上がった。
楊筍が手で合図すると、待機していた楽器を持った楽人が演奏を始めた。
軽快な音楽に合わせて踊り子たちが輪を作って踊り始めた。
そしてその中央に舞踏服に身を包んだ楊麗が踊っていた。
まるで、楊麗が花の中で舞っているようだった。
出席している者は楊麗の踊りに魅了されていた。
雷飛も例外ではなかった。
雷飛には、楊麗は普段かわいい印象があるのだが、この時は美しい印象が強かった。
やがて、踊りが終わると、観客の拍手を浴びながら、楊麗が雷飛の横に座った。
「雷飛殿、どうぞ」
楊麗は丁寧な口調で酒を注いだ。
「あ、ああどうも…」
いつも気軽にはなしているのに、この時だけは緊張した。
天才と呼ばれた彼でも、元は18歳の青年。
恋には心が揺らぐのだ。
「半刻後に中庭にて」
現代風に言うと、一時間後に中庭で待っています。ということだ。
そういうと楊麗は室の中に入ってしまった。
注がれた酒を飲んだ。
そのとき、肩をたたかれた。
見ると、楊筍がニヤニヤしながらこちらを見ていた。
「そなた等のために一室用意した。今晩は泊まっていくが良い」
「は…はい」
一時間ほど立つと、酔いつぶれてくる者も出始めた。
歌い始めたり、寝始めたり、とにかく酔いすぎである。
雷飛はそんな中を抜け出して中庭へと向かった。




