11
翌朝、雷飛は劉帯に話しかけた。
「将軍、昨夜は見事でした」
劉帯は先程、李統から金を貰う予定だったが、まだ戦は始まったばかりだからと辞退したばかりであった。
「軍師殿か。それがしはそなたの命に従ったまでです」
「いや、いくら良い策を出しても実行するのが愚将ならば愚策となります」
「ははは、そうであるか」
そのとき、伝令の兵が城に入ってくるのが見えた。
「将軍。私はそろそろ」
雷飛は劉帯に別れを告げ、李統の部屋に向かった。
「敵本陣が到着、陣を布きました」
「そうか。下がって良いぞ」
「はっ」
伝令兵は下がった。
「聞いたか雷飛」
「ええ、既に二千ほど減らしておりますので籠城も楽になるでしょう」
「そうか。人民を守るためならいつまでも時節を待つ」
それから十日がたった。
賊は城壁の前まで来て罵っていたが、雷飛は動くことを許さなかった。
ただ、
「時節を待ち、人民を守るのです」
の一点張りであった。
賊将の張宝は妖術をよく使うと言われているが、城壁相手では施す妖術はないらしい。
それに、妖術は雷飛にとって自分の知識を披露する材料にしかならなかったのだ。
さらに二日たった。
いつもの城壁からでなく他の城から伝令兵が来た。
「賊が制圧した城を奪還。戦利品は大量にあります」
雷飛は内心すごく喜んだ。
公然なので表には出さなかったのだ。
「ことは順調に進んでいるようですね。典勝殿に兵を休ませて賊の後ろを攻撃、と伝えて下さい」
「はっ」
伝令兵は下がり、すぐに出発した。
その後、雷飛は自室に居た。
「夕食です」
召使いの男が夕食を運んできた。
「ご苦労様です。やっとあなたの出番がやってきましたよ」
「そうですか。このきつい服ともおさらばできますな」
男は軽く背伸びをした。
「時が来たと周介どのに伝えて下さい」
「わかりました。兄者も首を伸ばして待っているかと思います」
召使いの格好をしていたのは周達であった。
背丈は他の人と変わらないが、武士であるので腕のあたりが少々きつかったらしい。
「では、手筈通りにお願いしますよ」
「御意」
周達は大股で部屋を出ていった。
「敵を騙すならまず味方から、か…。李統様には悪いことしたな」
雷飛は夕食に箸をのばした。




