12ー5 うちあげ 終幕
ついにこの時がきた。今日で劇場部は解散。だけど、わたしたちの友情は変わらないよ。
はからずして凪とは恋人になったけれど。一年後一緒にチョコを作るのが楽しみだし、なにしろ初デートだもんね。
ああ、髪ちゃんとカットしてもらって、服も買わなくちゃ。
こんな時、芸術肌の蓮に服を選んで欲しいけど。凪がヤキモチ焼くといけないから辞めておく。
けど、すごく楽しい。
受験勉強がひかえているのに、こんなに浮ついてていいのかな?
合格しちゃえば今よりもっと浮かれてそう。
だからこそ。毎日毎秒を大切にしたい。
時間はかぎりがある。だから、大切に生きたい。もうつまらない意地を張って、いろんなことをこじらせたくないんだ。
わたしはわたし。
だけど。
まだわたしの知らないわたしがきっといるから。だから、頑張る。
今回の浦島太郎みたいに、慎重にならなくちゃいけないことってきっとあるから。
「今回の浦島太郎は、いち花をイメージして書きました」
なぜだか突然、凪がそんな風に言うからあせるけど。
「わたしは鯛やヒラメの舞い踊りくらいなら見てもいいかなって思うよ?」
「それでも。知らない場所に誘われても行かないでしょ?」
「うん」
「そんなうんちくも入っていたりするから。ぼく、オリジナルをもっと書きたいな」
マジですか。凪さん、それは受験前なのにすごい発言だよ。
「本当。書くから。いつかまた、このメンバーで芝居したいね」
「そうだね。その時はわたしが部長じゃなくなってるのかな?」
「いや、いち花は部長でしょう」
そういえばわたし、紅一点だから部長やりなよって凪に言われたのがきっかけだったんだ。
そして、このメンバーでまたいつか、芝居ができるのを心待ちにしている。
毎日楽しいことばかりじゃないけど。今だけはひたっていたい。
そんな気持ち。
頑張れ、わたし。
頑張れ、みんな。
いつかまた。
さようなら。
おしまい




