12ー1
そして三月公演間近になった。
学校とは別に、ほとんど毎日凪と会ってる。本当に束縛されてるよ。
「ねぇ、凪。最後の物語はなにをオマージュするの?」
「そうだなぁ」
まだ考えてなかったか。まぁいいや。こうして毎日会ってるんだから、なにかしらヒントになるようなことがあるかもしれない。それを信じるし、凪も信じる。
「ぼくはこれまで、いろんな作品を手にしてきたけど。オリジナルはひとつだけだった。最後はみんなが知っていて、ドラマチックな作品を手がけたいと思っているんだ。そのためには、いち花の協力が必要なんだけど」
かまわないかい、なんて言うけど。断ることすらないのにな。
ドラマチックと聞いて、いくつかの作品が頭の中に浮かんで消えた。
「三月公演を終えたら、正式なデートに誘ってもいいかい?」
「……うん。いいよ」
できればロマンチックなデートがいいな。水族館かな? 映画館かな? それとも博物館? 今からとっても楽しみっ。
「いち花さぁ、思ってることが顔に出てる」
「嘘っ!? なに考えてたと思う?」
「初デートはどこに行くのかってことだろ?」
「……すごいね、凪。占い師かと思ったよ」
「いち花だからわかったんだよ。それで? どこがいい?」
それを聞きますか?
「いきなりお家デートはないかな」
「じゃあ家以外で」
「あのねっ、博物館に行きたい」
「よし、それから?」
……はて。デートってどこに行くんだろうか?
「ん〜。アクセサリー作りたいからパーツ屋さんにも行きたい」
「いいよ。作るんだ?」
「うん。凪にも作ってあげる。ピアスがいい?」
学校ではピアス禁止になってるけど、目立たないやつだったらあんまり注意しれないんだよね。それに、凪の耳ってピアスホールがたくさんある。
「ねぇ。いつかそのピアスホールの数だけの秘密を教えてもらってもいい?」
どうしてそんなにピアスホールを作ったのか、その意味を知りたい。
「いいよ。でも、そうだな。とりあえず、これあげる」
凪はさりげなくカバンの中からタッパーを取り出した。中に入っていたのは手作りのチョコマカロン。
「バレンタインには間に合わなかったけど、ホワイトデーもかねて。これからもよろしく、いち花」
…………。は、恥ずかしいっ。
「よろしく。わたしもチョコ買ってくるから」
「わざわざ買わなくていいよ。それより。来年のバレンタインは一緒に手作りしよう?」
「うんっ!! 約束!!」
小指と小指を結んで。顔が熱い。チョコ、溶けないといいな。
つづく




