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65 EVENT《LS》3


 うへへ。

 沙耶ちゃんと同じ。


 お揃っお揃っ♪

 胸につけた小さな銀色のバッジを何度もちらちらと眺めちゃう。だらしなくニヤニヤしてしまうのも仕方ない。いいでしょー。

 そんな幸せなゆるゆるした気分に浸って学園長についていくと、なんだかとっても怖い顔をした美人のお姉さんが現れた。


「いったい何処に行ってたんですか、学園長!!早く試合開始の合図をしてください!王族もお見えになっていますので、これ以上の延長は出来ませんっ」


 ひゃうっ!

 びっくりした。すごい怒ってる。

 もしかしてミラが迷惑かけちゃった?


 あわわ。違うの、悪いのは学園長じゃなくてミラなの。わがまま言ってごめんなさい。

 しゅーん。反省。


 それもこれも、じいちゃんがミラを甘やかすからいけないんだ。


 ちらりと学園長を見上げたら、ニッコリ笑ってくれた。良かった。ミラはどうやら怒れないですみそうだ。

 これが、大人かー。

 そういえば、学園長もたいがいミラに甘いよね。

 そこがいい。

 イージーモードだ。


 だめだ、やっぱりだめ。なんでミラの周りの大人は、ミラに甘々なんだろう。


 ミラは沙耶ちゃんみたいにビシッと凛々しくなりたいのに皆が甘やかしすぎるから楽な道を選んでしまう。むー。


「さて、行きますかな。ミラ様」

「うん!」


 まっいいか。

 そんな小さな悩みより大事な事を優先しよう。


 仮想決闘場が起動して、座標がリング中央へと転移が開始しだす。そういえば第1世代型は意識だけを量子データに変換して転送してるからいちいちタイムラグがあるんだよね。あと転移ポイントも狭いし。

 ワープの概念が失敗した産物にすぎなくて、実像が転移が出来るのは第4世代型からだけど、技術不足をあえて仮想空間として使うという発想はなかなか面白いと思う。


 そんなわけで、ミラは沙耶ちゃんを追っかけて大会に飛び入り参加ですっ。

 沙耶ちゃーんん。


『大変永らくお待たせしました。これよりラストスタンド開催にあたり学園長より挨拶があります』


 ファーストのアナウンスが聞こえる。

 うへへ。これで、沙耶ちゃんと同じ舞台に立てるんだ〜。


 わくわくしてきた。

 近くで沙耶ちゃんの勇姿が見れるよおお。ヤバい。ミラは大興奮です。

 ふふふ。

 でもでも、あくまでもミラは観客なのです。

 プレミアムシートよりも近い場所から沙耶ちゃんを眺めるんだ。


 しゅたっと着地してポーズを決める。

 10点満点!


 ドームの中央の一段高くなったステージに学園長にエスコートされて華麗に参上!



 沙耶ちゃん見てくれた?ミラの登場シーンを。

 会いに来ちゃった。えへっ。

 どこに居るのー?


 ひうっ。

 華麗に参上したんだけど、予想外の大勢からの疑惑の視線を感じて思わずたじたじになる。沙耶ちゃん以外の視線は求めてないのに。

 うえええ。

 沙耶ちゃんを驚かすつもりが逆にミラがびっくりしちゃった。


 いったい、なんなの?

 屈強な参加者達と、ぐるりと囲うようなギャラリー達の大勢の視線とヤジがミラに突き刺さってきた。


「遅いぞ!いつまで待たせるんだー!」

「なんか隣に誰かいないか。なんで子供?」

「はあ!?なぜ戦いの場に子供を連れてきたんだ?」

「いや待てよ、あの幼女は見た事ある!黒い噂があるラッキーガールだ。確か名前は一文字ミラだったはず。システムを不正操作したり、学園長と黒いパイプで繋がってる隠し子だろ」

「不正だと!?汚えぜ。ブーブー!」


 むー。なんだか色々と失礼な事を言われてる気がする。

 ミラはサプライズゲストだけど、そこまで言われる筋合いは無いよ。文句は、じいちゃんと学園長に言って欲しい。


 学園長が、そんなミラから注目を奪うかのように両手を広げて吠えた。


「注目っ!! 俺はアード学園長のソードリアンである。待たせたなレディース&ジェントルマン。だが、喜びたまえ。なんと、今日は重大発表がある」


「うるせー、格好つけてんじゃねー!いつまで待たすんだ」

「さっさと始めろや!!」

「ここは託児所じゃねーぞ」

「いくら賄賂を貰ったんだーー!」


 凄いブーイングが巻き起こったけど、それを学園長は余裕な顔して鼻で笑った。


「フンッ。黙りたまえっ。雑魚どもが。そんな事は些細な問題だ。ここに宣言しよう。今日は歴史を変える一日になると」


 ざわざわと、疑惑の目が今度は学園長に向けられた。よしっミラは無関係〜。

 そんな事より、沙耶ちゃんを探さないと。


 駄目だ。見えない。

 一段高いステージにいるのに、ミラの背が低くすぎるから全然見えない。


 そうだ!学園ちょー、沙耶ちゃんを呼んで欲しい。

 と裾をくいくい引っ張って可愛くアイコンタクト。


 学園長がニッコリ笑って頷いてくれた。


「分かっておりますよ、ミラ様。このソードリアンめにお任せください」


 と小さな声で答えてくれた。

 おお、以心伝心。

 よろしく、と学園長を見つめる。


「聞きたまえ!弛んだ参加者よ!!なんと、今日はここにいる一文字ミラ様が、不甲斐ない弱小な貴様らのために指導参戦してくださるのだ!」


 ざわっ・・・・

 と会場がどよめいた。

 何を言ってるんだ、このジジイと。


 うん。ミラだってそんなの聞いてないよ。

 もー全然お任せ出来ません。


「ミ、ミラ!?」


 おおっ、その時。沙耶ちゃんの凛々しい声が人混みから聴こえた。

 これは、もしや


「す、すみません。通してください。」


 人混みを掻き分けて沙耶ちゃんが来てくれた。ミラのために。

 うへへ。

 びっくりしたお顔の沙耶ちゃんを発見。



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